15 Oct 2019
新作発表を控える台湾のアクセサリーデザイナーKai。翔平のもしもし台湾 vol.4

こんにちは。俳優の松㟢翔平です。すっかり涼しくなった東京で、過ぎてゆく夏を寂しく思います。タピオカブームの熱も過ぎ去りけり……。
いつも、このコーナーでは台湾在住の友人に電話をして色々な話を聞いていますが、今日は台湾から日本に移り住んだ友人に話を訊いてみようと思います。
本日のゲストは….
Kai
アクセサリーデザイナー
instagram: @chinkaishin
Shohei: 今日はありがとう。いつも通り、最初はおすすめのタピオカミルクティーを教えてもらいましょう!これは今回で最後になるかも……。
Kai: インタビューは緊張するね。タピオカは……お店は特にこのお店っていうのはないんだけど、冬瓜ミルクティーにタピオカを足すのが好き。日本には冬瓜ミルクってなかなかないよね。台湾に来たら、日本では飲めない種類のものがいっぱいあるから、ぜひ試してほしいな。
Shohei: 台湾のタピオカのお店は、お茶の種類もタピオカの種類もいっぱいあるから楽しいよね。ナタデココとかゼリーも追加できるし。Kaiは東京に住んでどれくらい経つ?東京に住むのはどんな感じ?
Kai: まだ4年。東京は美味しいカレー屋さんがいっぱいあるし、季節の移り変わりを感じれて、とても居心地がいいよ。
Shohei: それはよかった。明大前に「ハミングバード」っていう洋食屋さんがあって、そこのビーフカレーがおすすめだから、ぜひ食べに行ってみてよ。ところでKaiは台湾にいるころからアクセサリーを作っているんだよね。どうしてアクセサリーを作っているの?
「ハミングバード」
住所: 東京都世田谷区松原2-28-17
営業時間: 12:00〜15:00, 17:00〜21:00
定休日: 火曜日
最寄り駅: 明大前駅から徒歩5分
Kai: 2年前から始めたよ。その前は大学でメディアアートの勉強をしていて。アクセサリーを作る理由はいっぱいあるんだけど……。アクセサリーって高級品でしょう?「高級品を身につけたい」っていうニーズは確実にある。でも、私にとっては、形容できない自分の思考みたいなものを置き換えられる物だと思ってる。なんて言ったらいいのかな……毎日身に着けておける儀式みたいな?宗教的なことだけではなくって、みんなそれぞれ信じていることがあるでしょう。美学とか哲学、信条、体験といったらいいのかな。自分の人生の指針のようなもの。そういったことを忘れないための証としてのアクセサリーを私は作ってきたし、これからも作っていきたいと思ってる。
Shohei: 素敵だね。例えば、結婚指輪や婚約指輪もその一種だよね。俺も左手の中指に指輪を着けているんだけど、これは前から大好きだった雑誌にモデルとして参加したときに、そのお給料で買ったんだ。台南の露天商から買ったから、おもちゃみたいな値段だったんだけどさ。お給料をもらった日に散歩していたら偶然みつけて、記念になるなと思って。
Shohei: Kaiの作品で、ノーズカフがあるでしょう?すごくいいなと思って。アクセサリーを作るときは何から着想を得る?
Kai: ノーズカフは、昔の写真に写る様々な場所のトライブたちと彼らの装飾品からインスピレーションを得て作ったの。例えば熱いところに住んでいるトライブは、服装がとても身軽な代わりに季節ごとに生茂る草花や、風を追ってやって来た鳥が落とす羽をつかった装飾品を身につけている。私は花とか木、動物とか、自然というものからすごく影響を受けていて、そういった写真集を見るのも好き。ジョアン・フォンクベルタの写真とかね。他にも、クリムトの絵や、映画だったら『ブレード・ランナー』。劇中のファッションやアートワークが好きなの。
Shohei: 今度出る新作アクセサリーシリーズについて聞かせて。
Kai: 新作は日常着によりフィットするようにデザインしたの。装飾を最小限に留めて、いつ身につけてもフラットな印象を保てるように。今回は友人から頼まれたので、初めて男性用のリングも2パターン作ったよ。季節の色や温度、雰囲気、それによって作られる人間の気分、そういったものと調和するようなシリーズになったと思う。
Shohei: アクセサリーのデザインの他に、なにか仕事はしているの?
Kai: あるジュエリーブランドで海外営業の仕事をしてる。年2回パリに行って、コレクションの期間中にプライベートショーのオーガナイズをしたり。間近でアクセサリー・ジュエリー業界の仕組みや状況を見ることがいい経験になってる。
Shohei: 次は台湾に住んでいたころの話を聞かせてほしいな。台北ではどう過ごしてた?
Kai: 大学生だったころの話だね。私の通っていた臺北藝術大學は海の近くにあったから、クラスメイトと「浅水湾海浜公園」っていうビーチに行くのが好きだった。人もまばらで、綺麗な景色を独り占め出来るような場所。静かで平穏で……。
「浅水湾海浜公園」
住所: 新北市三芝區後厝裡北勢子淡金公路252
営業時間: 日中
Tel: 02-2636-2111
Shohei: 淡水の近くのビーチは静かでいいよね。俺もたまに友達に連れてっていってもらってた。美味しい臭豆腐のお店があってさ。俺は臭豆腐、結構苦手だったんだけど、その「大吉祥香豆富」ってお店の臭豆腐麺はすごい美味しかったな。週末はなにしてた?
「大吉祥香豆富」
住所: 新北市淡水區北新路182巷3弄28號
営業時間: 11:00〜20:00
定休日: 不定休
Tel: 02-2621-0719
最寄り駅: MRT淡水駅から徒歩10分
Kai: 週末は友達と街に出掛けて。あとは「誠品書店」って知ってる?台湾で一番大きな本屋さんなんだけど、そこで一日中本を読み漁ってたよ。あとは「moom book shop」って芸術系の本屋も好きでよく行ってたかな。
「誠品書店」
住所: 台北市敦化南路一段245號2F
営業時間: 24時間営業
定休日: 年中無休
Tel: 02-2775-5977
最寄り駅: MRT忠孝敦化駅 6番出口から徒歩5分
「moom book shop」
住所: 台北市大安區忠孝東路三段251巷8弄16號
営業時間: 12:00 〜 20:00
定休日: 不定休
Tel: 02-2750-4001
最寄り駅: MRT忠孝復興駅から徒歩5分
Shohei: 誠品書店は俺もよく行ってた!代官山蔦屋のモデルらしいね。深夜も開いてるし、みんな地べたに座って本を読んでるのがびっくりした笑。静かでゆっくりした時間が流れている良いところだよね。最初は『台北の朝、僕は恋をする』って映画で舞台に使われているのを見て、ずっと行きたかったから、初めて行ったときは感動したな。
Shohei: 今日はありがとうね。Kaiが好きな場所を聞いたりするなかで、Kaiの作るアクセサリーの温度が感じられて面白かった。さっき「静かで平穏で」って言っていたけれど、まさにKaiのつくるアクセサリーを形容するような言葉じゃないかな。
Kai: こちらこそありがとう。基本的にはリングもノーズカフもオーダー制を取っていて、予算があるときは金や宝石を使うこともあるのだけど、私が一番気に入っている素材はシルバーで。自分の世界観を一番表現できる素材だと思ってる。新作のコンセプトとしても言ったけれど、自然のようにフラットであることが大事だと思っている。それが私のなかでの最も美しいものだから。そういうアクセサリーを今後も作っていく予定だよ。
edit: Aguri Kawashima cover design: Taro Kambe(PRETEND Prints & co.)