キャッシュレスで買い物を楽しみ、タピオカをたくさん飲んでラグビーに湧いた2019年。一年経つのがどんどん早くなるけれど、好きなものは増え続けるからDigるのはやめられない。そんな好奇心旺盛に今年もめいっぱい楽しんだみなさんに、“2019年のMYベスト3”を聞きました。本誌でもお馴染みのビューティライター、AYANAさんのベスト漫画とは?
2019年のMYベスト。ビューティライター、AYANAさんの心が浄化される漫画BEST3
AYANA/ビューティライター
@tw0lipswithfang
私にとって漫画はコーヒーに似ています。ないと人生が潤わない、毎日必ず摂取するエネルギー源みたいなもの。昭和生まれですが、テレビのない家庭で育ったこともあり、漫画に親しむのは早いほうだった気がします。『りぼん』や『なかよし』はもちろん、大島弓子や山岸涼子の漫画を小学校3年生くらいから読んでいました。
人生のいろんな局面で漫画に支えられてきたなぁと思うし、ストーリーもコマ割りも絵もキャラ設定も名言も、すべて操ってしまう漫画家という職業にはリスペクトしかありません。作家にお金を落としたいし、漫画喫茶に行く時間もないので、気になったものはすぐ購入します。
好きなジャンルを言葉で説明するのが難しいのですが、ロマンティックなラブストーリーよりは、冒険を通して主人公が成長していくようなものに惹かれる傾向がある気がします。『進撃の巨人』『鋼の錬金術師』みたいなファンタジーから『よつばと!』『凪のお暇』みたいな日常系(?)まで色々読みます。
2019年も漫画を愛してやまなかったのですが、読んでいて魂がすっと洗われるような「浄化漫画」と呼びたくなる作品に多く出合いました。なかでも好きな浄化漫画を、3つご紹介したいと思います。
1.『私の少年』高野ひと深
30歳OLの多和田聡子と小学校6年生の男の子、早見真修。ふたりはひょんなことから友人になり、心を通わせあう──。と聞くと、オネショタもの?と思ってしまいますが、単純にラブストーリーとも言い切れず、なんだろう?関係性のなかでふたりが成長していく魂の救済の物語という感じです。展開も読めず、巻を追うごとに面白くなります。最初はカメラマンの男性と少女という、性別設定が逆のストーリーでネームが進んでいたそうですが、作者がイマイチ乗り切れず今の設定に変えた(大正解)という逸話あり。男性と女性で異なる「30代」や「幼少期」という年齢の重みについても考えさせられます。なお少年・真修の姿が半端なく美しい。絵って発光するんだ。知らなかった。
2.『北北西に曇と往け』入江亜季
舞台はアイスランド。17歳の御山慧が、探偵業で日銭を稼ぎながらフランス人の祖父と暮らしている話。ファンタジーやサスペンスの要素もあるのですが、どこか淡々としたロードムービーという感じで、かといって一切飽きさせず、圧倒的に美しい世界を堪能できる作品です。「あ、私も今月で会社やめてアイスランドいっちゃおっかな〜?」ってなること請け合いの、スコーンと振り切れた浄化感があります。作者の入江亜季さんは前作『乱と灰色の世界』も最高でしたが本当に絵がうまい……眼福です。『乙嫁語り』の森薫さんと仲良しと聞いて勝手に納得。
3.『センコウガール』永井三郎
ブラウザに広告が出てきて興味を持った漫画。絵の描き方がすごく個性的で、最初はホラーとかサスペンスかな?と思うのですが全然違います。非常に美しいのだけど頭がちょっと狂ってる?って感じの女子高生・如月民子が命を燃やして、周りの人たちに影響を与えていく物語。みんな色々な事情があるんだよなぁ、と切なくも清々しい気持ちになります。センコウって閃光のことなんですよね。何度も読んでは「生きるぞーーー!」ってボロボロ泣いています。デジタルのみだったのが、人気が高まり2020年には紙で書籍化!バンザイ!
最近Twitterで話題になっていた『タッチ』を全巻大人買いし、こんなに面白い漫画だったのか……!と震えました。ラブストーリーは趣味じゃない!とか嘯(うそぶ)かずに、2020年も先入観なく、新作も旧作もメジャーもインディーズも、いろんな漫画を楽しみたいものです。漫画って生き方を教えてくれるものだと思っているので、守備範囲が広いほど人生も面白くなるのかな、なんて。おすすめの漫画ありましたらぜひDMで教えてください。
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AYANA
化粧品メーカーで商品開発に携わっていた経験を活かし、アートやウェルネスの観点からも美容を見据えるビューティライター。女性たちが自分自身や世界を美しく捉えなおすきっかけをつくるため、ライティングにとどまらず、ブランディング等の分野でも活躍する。
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