私のGINZAレディ:ウェイトレスから政治家に。29歳、米最年少下院議員オカシオコルテス

私のGINZAレディ:ウェイトレスから政治家に。29歳、米最年少下院議員オカシオコルテス

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今日も明日も同じ毎日――なんてことは決してない!ファッション、映画、気になることはなんでも……素敵なものや人のことを知って、あなたの心が動いたなら、それで間違いなし。「これが好き」「こんなふうになりたい」って憧れを持つことは、人生のパッションにつながる大切なことだから。情熱を持って活躍する世界の”ニューヒロイン”たちを紹介。


11月6日(現地時間)に投開票された米中間選挙の連邦下院選(ニューヨーク州14区)で、米民主党候補アレクサンドリア・オカシオコルテス(29)が米共和党候補のベテラン議員アンソニー・パッパスを破った。

多くのメディアがこぞって報じているけれど、それもそのはず。なぜなら、彼女の当選は、アメリカ史上最年少史の下院女性議員の誕生を意味する、ビッグニュースだから!

 

ウェイトレスから政治家に

ニューヨークのブロンクス地区で生まれた彼女の母親は自治領プエルトリコ出身で、父親はブロンクス南部で零細企業を営んでいた。労働者階級の家に育った彼女の生活は決して恵まれたものではなかった。

米CNBCによると、オカシオコルテスはボストン大学で政治や経済を専攻しながら、学生時代には民主党エドワード・M・ケネディ上院議員の下でインターンを経験し、移民問題に取り組んできた。

そんな彼女を2008年、悲しい出来事が襲う。一家を支えてきた父親が急逝し、会社は倒産。資産は差し押さえられ、家計は火の車に。母親は清掃のパート、オカシオコルテス自身も、バーテンダーやウェイトレスの仕事を掛け持ちし、時には1日13~15時間働いて家族を支えた。

1年前の今頃もそうだ。ユニオンスクエア裏の小さなレストランで注文を取ったり配膳したり…。希望に溢れた学生生活から一転、きらびやかなニューヨークの街並みの裏側でアルバイトに忙殺される日々。しかし、彼女は夢を諦めなかった。「ブルック・アベニュー・プレス」という児童文学を扱う出版社を立ち上げたり、ヒスパニック系移民を支援するNPOで教育に携わりながら、チャンスを待っていた。

 

アメリカン・ドリームの瞬間

アメリカの選挙活動は日本とは比べ物にならないほどのお祭り騒ぎ。PR映像やSNS投稿など、あの手この手を使って熾烈な選挙戦を繰り広げる。ともすれば、立候補者が集めた選挙資金の大小が、影響力の一定の指標として考えられる……。

オカシオコルテスの名が脚光を浴びたのは、6月の民主党予備選(今回の連邦下院選に出馬する党内候補を決める選挙)で現職の大物下院議員、ジョー・クローリーを破ったとき。彼女が集めた選挙資金は30万ドル(約3300万円)。かたや、対立候補のクローリーは4370ドル(約3億7000万円)と、10倍以上の潤沢な資金を確保していた。

金額も知名度も、現職に大きく後れを取るオカシオコルテスにとって圧倒的に不利な状態だったにも関わらず、勝利を掴んだ要因は何だろう。答えは、彼女の熱意に尽きる。PR動画で彼女は、「私みたいな女性は、選挙に出るべきではないとされている。私が生まれたのは、お金持ちの家でも有力者の家でもない。自宅の郵便番号で運命が決まるような場所」と、赤裸々に身の上を語った。自らを労働者層の擁護者と位置づけ、エリート層の現職候補とは対照的に、弱者に寄り添う姿勢と公約を掲げたことが多くの共感を呼んだ。

結果は数字に表れた。NY市民が選んだのは、ベテラン議員ではなく、この29歳、ヒスパニック系、女性、オカシオコルテスだ。

 

気になる彼女のファッション

勝利の瞬間、彼女が身を包んでいたのは深いブルーのドレス。

なんとなく、政党によってイメージカラーがあることをご存知の読者もいるかもしれないが、これはオカシオコルテスの所属する民主党のイメージカラーと同じ。ブルーはデモクラ(民主党)を象徴する色で、反対にレッドはリパブリカン(共和党)を象徴する色でコンサバティブなイメージ。

彼女の選挙戦の舞台となったニューヨーク州は、Blue State(ブルー・ステート)=リベラルな州の代表格。

オカシオコルテスは選挙戦中から、生まれ持っての華やかさからスタイルも注目されてきた。ニュースサイト「The Siver Times」によると、彼女が着ている洋服は、「高価なものではない」そうだ。

人前に出るときは大体、冷静で知的、さらにエレガンスなイメージを大切にしているという。ワードローブはドレス、ジャケット、パンツがスタメンの模様。黒、濃い青、灰色といった落ち着いた色を好んで着る。

ヘアスタイルは、滅多に奇抜なことはしない。(政治家だし当然かもしれないけど…)つややかなロングヘアをセンターパーツでダウンに。それか、タイトに纏めたスタイルが定番だ。

注目したいのはリップ。服装やヘアスタイルは控えつつも、華のある顔立ちに深紅のリップをオン。これはオカシオコルテスのスタイリングで毎度のことで、明るい口紅は、彼女のトレードマークにもなっている。

 

米最年少下院議員の気になる主張は?

選挙戦で重点的に訴えたのは「全国民に医療保険を」。カナダやイギリス、フランスにもそうした医療保険制度がある、と彼女は繰り返し主張してきた。

米CNNの番組に出演した際、「全国民が公的医療保険に加入すれば、国民全体で大幅な節約になる。単なる絵空事ではない」と論説を展開し、「医療保険予算の拡大がより良い未来をもたらすことを、私たちは自覚する必要がある」と訴えた。

オカシオコルテスは選挙戦の中心テーマの1つに米移民・関税執行局(ICE)の廃止を掲げ、ドナルド・トランプ米政権が今春から強化した不法移民の収容に反対する姿勢だ。実際に親子が離れ離れに収容されている現場を訪れ、「人権侵害に加担している」とICEの取り組みに疑問を呈し、トランプ政権の対移民措置を非難するスタンスを隠さない。歯に衣着せぬコメントで支持基盤を拡大させていった。

 

彼女の登場で何が変わるか

2017年にトランプ政権が発足してから、アメリカ政治は激動の連続だった。バラク・オバマ前大統領が推し進めていた、医療保険制度改革(オバマケア)を廃止。これによって保険料は約10%の上昇が試算され、2027年までに保険を失う人数は1300万人にのぼるとワシントンポストが報じていた。移民や低所得者層といった社会的弱者に負担を強いる流れがアメリカに押し寄せていた。

彼女が公約をどう実現させていくか、定かではないが、彼女が支持を集めたことに野党民主党内のリベラル層にとって追い風になったのは確か。民主党の重鎮を、無名の若い新人候補が破ったのは、権力に対し「熱意」が勝ることを証明したことになるから。

トランプ大統領は、2期目続投を望んでいるし、結局はアメリカ経済を潤したことが評価され、弱者の声はおざなりにされると目論まれていた。しかし、オカシオコルテスの当選は、半ば諦めの気持ちで受け入れられようとしていた未来を切り崩す、スタートの砲声と言えるかもしれない。

Photo: From top Wikimedia Commons,@Ocasio2018 Edit: Norie Satou

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