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『ミステリと言う勿れ』7話「炎の力でつらい子供たちを助ける」香音人の意外な正体

『ミステリと言う勿れ』7話「炎の力でつらい子供たちを助ける」香音人の意外な正体

『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ 月9)は、田村由美の同名人気マンガのドラマ化。整(菅田将暉)は、放火事件の鍵を握る下戸(岡山天音)と香音人(早乙女太一)の話を聞いているものと思っていたら、実は……。衝撃の第7回を、ドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。オカヤイヅミのイラストもお楽しみください。第6回はこちら(レビューはネタバレを含みます)。


整の”考える顔”にしてやられた

今回の事件は、真相が判明したあと、6、7話をもう一度改めて観たくなった人が多いに違いない。

6話で放火犯の一人、下戸(岡山天音)に襲われた整(菅田将暉)がどうなるかと思っていたら、7話は冒頭から時間をかけて丁寧に先週を振り返りつつ、真相に迫っていった。赤いものが見られない下戸が整のスマホについたオーナメントの赤に怯んだすきに、整は彼にトマト缶を突きつけ、先輩である香音人(早乙女太一)が待つ家へと案内するよう要求する。そこで香音人から語られたのは、不慮の火事によって母親から解放された自らの生い立ちと、「炎の力を使ってつらい子供たちを助ける」という信念のもと、放火で次々に虐待家庭の親を殺害してきた事実だった。

整が香音人らの家に着いてからこっそり電話をかけた先の風呂光(伊藤沙莉)は、「2人としゃべっているふうなんですけど、相手の声は同じなんです」と異変に気づく。実は香音人は下戸だけに見えていた存在だった。過去に助けた青年から「(過去に救った子供たちは今)みんな苦しんでる」「(親が偶然死んだあんたと)俺は違う、俺は親を殺した」と言われ、放火をやめようとした香音人を下戸は殺してしまった。その後も下戸は自分のしたことを認められず、香音人がいると信じて犯行を重ねていたのだった。

振り返って見てみると、たしかに整は下戸が先輩の存在を話すたびに不審げな顔をしている。けれどいつも何にでも疑問を持ち、考え込む彼だから、その表情には違和感がなかったのだ。まんまとしてやられた。

明かされる整のルーツと将来の夢

整が放火を犯したことそのものよりも怒りを抱いたのは、彼らが放火で親を殺すことを子供に決めさせたことだった。香音人(のふりをした下戸)が、下戸の家に放火したことを回想して話したときも、「(香音人は)陸さん(下戸)に決めさせたんですか?  陸さんの許可をとった?」と問い詰めている。整はこれまでも常に子供の立場から話をしたり、子供の気持ちに寄り添ってきた。その理由が7話では初めて語られた。

「お前何者なんだよ」と下戸に言われた整は答える。「学生です。教師になりたいと思っています」。彼は、おそらくは苦しかった自分のような子供を救うために教師をめざしていた。下戸が教師にされたひどい仕打ちを語っても、「僕はいつもいろんなことに気づきたいと思っています」とその決意は揺るぎない。

整のルーツのような出会いも描かれた。整が家に帰りたくなくて図書館の庭で過ごしていた子供の頃、出会った女性(水川あさみ)から「当たり前にそこにあるもの、ある言葉、なぜそうなのか、誰が決めたのか。いっぱい考えてみるといいよ。そしてそれを誰かに話そう」と声をかけられたこと。以来整は彼女の言う通り、考え続けて、話し続けてきたのだ。整はそのときの女性のように、下戸に声をかける。「身のまわりにあることすべて考えて考えて考えて考えて、誰かに話してください」。

子供の頃、親から虐待を受けて、子供を救いたいと思った。そこまでは同じだ。けれど整は教師を目指し、香音人や下戸は子供たちの親を殺すという方法をとった。実際、ライカ(門脇麦)のように香音人に「助けられた」という人もいる。整はそれでも、自分の思いを曲げず、いろんなことに気づく教師を目指し続けるのだろう。

整のまわりの謎多き人たち

5話で整は「この世ならざる存在」と語り合い、6、7話では「自分以外に見えない存在」とともに犯罪を行う男が登場した。こうなってくると、香音人たちの部屋に警察が踏み込んだ瞬間姿を消したライカの存在はどうなってるんだ、と思ってしまう。けれどライカは整以外の人にも見えているし、干渉もできた(縛られていた虐待親と会話し、さるぐつわをはずしたりもしている)し、買い物もできている(整を救うことになったクリスマスプレゼントのオーナメントを売店で買っている)わけだから、単にめちゃくちゃ身のこなしが素早い人、ということでいいのだろうか。

香音人になにかあったと気づき、真相を知るため整を事件に導いたらしいライカのことも気になるが、放送も折り返して終わりが見えてくると、あの人のことも思い出される。3話で「彼と再び会うことになる。でもそれは、彼の長い長いおしゃべりのあと、まだすこし先の話だ」という言葉を残した我路(永山瑛太)だ。彼はいつ、整と再会するのだろう。

『ミステリと言う勿れ』公式サイト(フジテレビ)

脚本: 相沢友子
演出: 松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
出演: 菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、門脇麦 他
原作:『ミステリと言う勿れ』田村由美/小学館(『月刊フラワーズ』連載中)
主題歌: King Gnu『カメレオン』

Profile

Writer 釣木文恵 つるき・ふみえ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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Profile

Illustrator オカヤイヅミ

漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。趣味は自炊。
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Edit: Yukiko Arai

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