🎨CULTURE
『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』ネットストレンジャーによる深夜動画便 Vol.4
よなよなネットの世界をパトロールするGINZA編集部のエンタメ好きライターが、寝る間を惜しんででも見たい作品をピックアップ!
ストッキングを履き、ヘアセットをして、ルージュを引く。その仕草が80sらしいネオンサイン風に描かれるオープニング。『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』は80年代アメリカの実在の女子プロレスリング番組を基にしたNetflixで独占配信中のオリジナルシリーズ。
個性的なキャラと、メッシュやファーにスペンデックスなど、煌びやかなリングコスチュームも魅力だ。70sの空気を継続したスポーティな練習着も含めて、まるで古着屋をひっくり返したような楽しさ。一番の推しキャラは、目の周りを黒く塗ったミステリアスな狼女のシーラ。S1・E4冒頭の彼女のメイクアップシーンは、変身することで生まれる自信やアイデンティティが共感を呼ぶ。「毎朝の化粧やカツラやファッションは誰かのためじゃない。自分のため」という告白は、程度の差こそあれファッション大好きな私たちにも当てはまる話だ。
物語はS1から示唆に富んでいる。売れない女優の主人公はある日のオーディションで男性役のセリフを読んでしまう。男性のセリフは物語の核を描くが、求められた女性のセリフはこれだけ「奥様からお電話です」。LAのTV業界が舞台なだけあり、当時の#meetoo的な状況や、LGBT、女性の貧困までをもさらっと描き出す。S2のクライマックスでは男女のスリリングな共犯関係をゴージャスなリングマッチに置き換えていて、あれ、ただのプロレスのはずなのに、なんだか泣けてくる!
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川島あぐり
エディター。『GLOW』当時のTV放送はYouTubeにあるよ!
Illustration: Naoki Shoji Text: Aguri Kawashima