青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポーによるユニット、NUUAMM(ぬうあむ)。現代社会のせかせかとした流れとは異なり、彼らは悠悠緩緩としている。そんな2人のペースに乗っかり、ゆっくりと静かにインタビューが始まった。
「NUUAMMは自然に生まれたんです。2013年に知り合い、なんとなく会う度に歌詞や音をシェアし、曲を作っていた。当初はアルバム名のはずだったんですが、〝新ユニットNUUAMM結成!〟ってなっちゃって」
と青葉は当時を振り返る。2人はそんな成りゆきに身を任せ、思いのままに音楽を産みだしている。
「ここは誰にも干渉されない僕たちだけの場所。絶え間なく移り変わる外の空気に惑わされないよう、窓を閉めっぱなしにしている部屋とかシェルターみたいな」(マヒト)。
「一緒にいると、自然と密な音楽作りの時間になる」(青葉)
と2人はNUUAMMの存在は特別だと語る。
「新作アルバム『w/ave(うぇいぶ)』は、〝流れ〟や〝波〟に斜線を入れているイメージ。ここではないどこか別の世界に行こうとしていて、1つずつ自分や人間としてのルールを外している〝過程〟かな」
とマヒトは語り、対して青葉は
「現実と夢の両方を詰めた宝箱をいろいろな方向から見たり、くるくる回して万華鏡を覗いているような」
と今回のアルバムに込めた思いを表現する。近藤聡乃が手がけたジャケットに描かれた「NUU」と「AMM」というキャラクターにも注目してほしい。
「彼らを主人公にし、普段抱えている〝こうあるべき姿〟というしがらみから解放されているんだ」。
キャラクターを通してNUUAMMは存在を確立し、さまざまな感情や思いを具現化しているようだ。
「人の好みや興味、時代やものの変化はどうにもならないこと。でもその中で絶対に変わらない何かが必要。僕らには、常に変わらない2人がいる。だから怖いものはない」
とマヒトは話し、青葉も
「これまでは私たちだけの遊び場で2人を遊ばせていたけど、これからはもっと広い新たな場所に進んでいく。2人が道を踏み外した時だけ軌道修正する。なんだかワクワクしています」
とまるで子どもの成長を見守る両親のように語る。新たなスタート地点に立ったNUUAMMの今後に期待!
NUUAMM『w/ave』/十三月の甲虫
2年半ぶりの2ndアルバム。“ようこそ”と“さようなら”の2つのAVEという意味。「時代を超えたような、浮いている感覚」とマヒトが説く不思議な世界を体感して。