「パルコ」の2022年のウィンター&クリスマスキャンペーンのビジュアルが発表された。アートディレクターを務めるジェイミー・リードが、コンセプトである「TEAM HARMONY」について語ってくれた。
ジェイミー・リードが「パルコ」と奏でる希望の音楽。広告ビジュアルに込めた想いは
オーロラのもと、白い雪原に現れた楽団。仲間とともに踊り、歌い、音を奏でる喜びが弾け、見ているこちらもふっと笑顔になる。2022年「パルコ」の年間広告キャンペーンでジェイミー・リードがたどり着いたのは、ファンタジーのワンシーンのようなビジュアルだ。
創業以来、いつだってクリエイティビティを尊重し、ファッションに留まらず日本のカルチャーシーンを広く彩ってきた「パルコ」と、気鋭の英国人アートディレクターとのコラボレーションは、今年で3年目。掲げたられのは、「TEAM HARMONY」というコンセプトだ。
「連帯や調和という感情と、それに向かう強い想いを表現したいと思ったんです」(ジェイミー・リード)。シーズンごとに1つずつ、年間4つのストーリーが創られた。春は大勢が支えるトランポリン、夏はイカダに乗った海賊風の一団、秋は木の家を建てる6人組…そして、冬は音楽隊。結束することのパワーと、チームで働くことの楽しさは、プロダクション過程から溢れていたそう。
「今回、とても素晴らしいメンバーとチームが組めてラッキーでした。スタイリストのアイ・カモシタはロンドンの若手デザイナーのルックを集めてくれ、モデルの人選ではキャスティングディレクターのサラ・スモールが信じられない力を発揮してくれました。そして、グリーンバックの前に組まれたセットの中でモデルが演じる様子を、チャーリー・エングマンが躍動感のある写真に収めてくれたんです」。
コロナ禍、たくさんの人がいろいろな「断絶」を経験した。「TEAM HARMONY」で作り上げられたビジュアルには、そんな心に染み入るような、前向きで優しい光景が繰り広げられている。
クリスマスキャンペーンでは、年間広告で登場したキャラクターが全員集合し、さらに幻想的な世界を表現。背景にはプラネット・ブリジットによるキッチュなイラストレーションを組み合わせ、写真との対比で超現実感を生んでいる。
「たまたま雑誌で見かけて、今回のプロジェクトにとても素敵なコラボレーターになると直感し、彼らをチームに加えました。また、これまでのシーズンビジュアルに登場した全てのキャラクターを集めることで、クリスマスキャンペーンでは『調和』への想いを拡大したいと思ったんです」。
そんな意図はもちろんムービーにも共通していて、強いエネルギーとシュールリアリズム的な雰囲気が感じられる。
ジェイミー・リード
イギリス出身のジェイミーは、2012年に自身のデザインスタジオを立ち上げ、2015年には英ファッション雑誌『デイズド&コンフューズド』のアートディレクターに就任。みずみずしくも大胆なリデザインで話題を呼んだ。書籍、広告、ファッションブランドなどで幅広く活動し、次世代を代表するクリエイターである彼にとって、「パルコ」とのプロジェクトはどのような経験となったのだろうか。
「パルコは非常に協力的なパートナーで、常に私たちのクリエイティビティを育ててくれました。東京を歩きながら、街のいたるところで私たちの広告や映像が流れているのを見て、とても誇らしい気持ちになりました。パルコは、私が好きな多くのアーティストらとコラボレーションしてきた長い歴史があり、自分がその一部になれたことを、とても光栄に思っています」。
誰かを想い、つながることが、不安を乗り越える力になる──「パルコ」とジェイミーがこの冬奏でる音楽は、そんなメッセージを運んでいる。
【PARCO2022 Winter & Christmas「TEAM HARMONY」】
CREATIVE DIRECTION: Jamie Reid Studio
PHOTOGRAPHER & DIRECTOR: Charlie Engman
STYLING: Ai Kamoshita
ART DIRECTION: Emmanuel O’Brien, Jamie Reid Studio
SET DESIGN: Polly Philp
MAKE UP ARTIST: Anne Sophie Costa
HAIR STYLIST: Kiyoko Odo
ILLUSTRATION: Planet Bridget(Christmas Campaign)
Text: Motoko KUROKI