前回のお話… vol.20 その未来予想図に明日はあるか?
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.21 忘れられない恋だけが恋?
昔から思ってたんですけど、人と人の関係って、弱肉強食ですよね。
と言っても、恋愛弱者はつねに食い物にされるとかそういう殺伐とした話ではありません。人間って不思議なもので、自分が強く出れる人に対してはつねに強気でいられるけど、なぜか苦手というか、弱く出てしまう人に対しては、つねに弱い立場にある。強い人はいつでも強いし、弱い人はいつでも弱い。それが、人間関係の弱肉強食。
恋愛に関しても一緒で、強く出れる人にはすごく強く出て自分勝手に振る舞えるのに、弱く出てしまう人に対しては、いつも相手の顔色を窺ってしまう。
こればっかりは、取り合わせとしか言いようがない。年齢がとか、相手との社会的立場がとかは関係ない。そして、その関係性は、そう簡単には覆らないんですよね。
で、面白いんですけど、こちらがいつまでも忘れられなかったり、執着してしまう恋って、なぜだか、相手に対して強気に出てた恋ではなく、弱気になってた恋が多い気がするんです。相手=強い、自分=弱い、の取り合わせ。
例えば、付き合う時からして、「え?いま誰もいないなら、付き合っちゃう?」なんて半分ノリで言いだしたりして、付き合った後も、散々こっちが振り回して、好き勝手ふるまってた、っていう彼氏と。すごく好きで、いつもいつも相手の態度にビクビクして、相手が自分を好きなのか分からなくて悩んだり、いつまでも好きでいてもらうためにどうしたらいいのか悩んだりして、散々振り回されたあげく振られた!みたいな彼氏。どっちのことをよく覚えているかって、不本意ながら後者だったりする。
自分の思い通りに行かなかった恋は、追いかける恋で、どうしても執着しやすい。自分が傷ついた分だけ、忘れられない恋になる。
結局、自分が相手に対して弱い立場にいた時の恋のほうが、よく覚えていたりするんですよね。ネガティブな感情のほうが、人間は強い印象を抱きがちだからなんでしょうか。褒められた100の記憶より、けなされた1の記憶をクヨクヨ悩んでしまう、というのと同じで。
本当は、自分が傷ついたのと同じくらい、自分もまた他人を傷つけていたりする。他人の気持ちをちゃんと顧みず、自分勝手な行動をして、振り回していたりする。でもそれが、自分の受けた傷でないせいで、記憶の中から滑り落ちてしまう。
そう考えると、人間とは因果な生き物だな〜と思うのです。
「いえいえ、自分はモテないので、他人を傷つけたりしてないです」と思う人がいるかもしれませんが、よ~くよく考えれば、全然眼中に入っていないだけで、どこかで誰かがあなたのことを好きになって近づいてきたのに、無意識にシャットアウトしてしまったりしたことがあるかもしれません。人間は、自分が好きになってほしいと思って意識を集中している人以外に対しては、案外無関心なものです。
自分はこんなに好きになった人から振り向いてもらえてない!ってことばかり考え込みがちですが、そんなあなたのことも、実は陰で好ましいと思っている人はいる。
そういう、自分を好きな人(=自分から見たら強気に出れる人)にも目を向けていれば、きっと恋のチャンスは2倍に増えるし、うまく行く確率も上がるはずなんですが、残念ながら人間は、つい自分より強いタイプの人に惹かれてしまう。
その人の気持ちを自分に向けさせたくてやきもきしてしまったりする。自分を好きな人に対しては、とことん冷淡な一方で。
ところで付き合うなら、この力関係、強いほうがいいのか弱いほうがいいのか、どっちでしょうか。相手に対して何も言えないような、こちらの立場が弱いのはもちろん精神衛生上もよくないですし、長く付き合っていくには不向きですが、あまり相手のことを尊重できない関係も、自分が増長してしまい、相手に無理を強いるので長く続かないと思います。
結局は、バランス。強すぎるVS弱すぎる関係は自分がどちらの立場でも、バランスが崩れやすいので、やや強いVSやや弱いくらいが一番理想なんじゃないでしょうか。そのうえで、結婚するなら、ちょこっとだけ女性の方が強い位がいいんじゃないかと私は思います。どうせ男性は、いつだって自分が一番かわいくて、自己中心的な考えをしがちな生き物ですから(もちろん例外の人もいますが)、多少女が強いくらいでちょうどいいバランスだと思うんです。
家庭内で男が威張りすぎていると、家事をするにも、育児をするにも、不満が溜まりそうです。そもそも女性がやらなきゃいけない部分が多いのでね。
「嫁に尻に敷かれてる」なんて笑い話になるくらいがちょうどいいんじゃないかしらと。(笑)
振り返ってみて、忘れられない男のリストは多分、相手に振り回されてきた歴史だと思います。ですが、忘却の彼方に行ってしまった、自分が振り回していた男性陣、自分に対して弱く出ていた男性陣のこともどうか思い出してみてください。きっと、忘れているだけで、自分のことを好きでいてくれた人たちがいるはずです。
そういう人たちは、決してせつない恋の思い出ではないでしょうけれど。もしかしたら、未来へのヒントはそっちの側にあるかもしれません。
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恋愛部長
20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho
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カシワイ
装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。
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