恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.9 恋はできても恋愛はできない

恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.9 恋はできても恋愛はできない

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秋ですね。恋の季節です。なんだか空気が冷えてくると、急に胸キュンしたくなる不思議。
さて、いつも片思いばっかりしてる人、いませんか。
見つめるだけ、想うだけ、その人にばったり会うとドキドキして、それだけで胸いっぱい、お腹もいっぱい、もうそれ以上何も望まない!だって、見つめているだけで私幸せだもの!っていうね。
でも、私よく言うんですが、「片思いと恋愛は違うから!」と。片思いなら、ぶっちゃけ誰にでもできる。アイドル歌手だって、韓流スターだって、スポーツ選手だって、何なら大統領にだって。一方的に見上げて見つめてドキドキするのは自由。つまり、恋するだけなら簡単なんです。

でも、恋愛となると話は別。相手に振り向いてもらわないといけない。好きになってもらわないといけない。さらには、「これから二人はおつき合いしますよ~」と、宣言して、他のすべての可能性を絶ってステディになる、それなりの覚悟を持ってもらわないといけない。つまり、自分だけが「好き好き」と盛り上がって、楽しんでいればいいわけではない。相手の気持ちが関係してくるわけです。その時点で、不確定要素だらけ。自分だけの想いだけではどうにもならないことだらけです。
そもそも、相手が振り向いてくれなかったら、ジ エンド。それまで。ちょっと振り向いてくれたように見えても、他の女の子になびいてしまえば、それで終わり。そして、頑張ってステディになるまで行きついたとしても、その先で、二人いっしょにいる時間が盛り上がらなければ、付き合いが継続できず、終了。関係を始めるのは簡単でも、持続するのはすごく難しいものです。

だから、片思いばかりしている子には、いつも言う。
「片思いはまだ恋愛でもなんでもないよ!」「さっさと片思いのぬるま湯を出て、リアルな彼にぶつかってみて、恋愛を始めないと!」ってね。
もちろん、ずっと妄想の世界で暮らしていきたい人は別です。アイドルの追っかけ、全然有りです。幸せですよね。そのまま突き進んでください。でも、そうじゃない、本当のリアル彼と、リアルにデートして、彼氏になってもらって、その先も幸せな日々をいっしょに過ごしていきたいと思っているなら。片思いほど意味のないものはありません。私は、自分自身に対しても、「片思いは半年まで!」という決まりにしていました。

片思いは、長引くとろくなことはない。なぜなら、妄想の中の彼の像がどんどん膨らんで、実体の彼とはかい離して行っちゃうからです。
人間て、ホントに、付き合ってみて初めて見えてくる実体ってのがあって。ほぼ100%、見た目で受けていた印象とは別物だったりします。今まで、付き合う前に「こんな性格かな~?」と思ってたのと、付き合った後も一致してた人は、皆無。みんな、外に見せる顔と、身内に見せる顔は違うんだよね。片思いが長くなると、そういう、見た目の性格を彼だと思い込んでどんどん未来予想図を広げてしまうので、結局彼ではない、何か別の人格を好きになっているってことなんですよね。それが結局彼から見ても、「なんかこの子は俺のイメージだけを好きなんだな」って白けられちゃう原因になるんですよね。

片思いの弊害は、それだけではありません。
片思いって、結局は、「見上げる」行為だと思うんです。自分よりもずっと素敵な部分がある。他の人に比べて、ここが素敵!あそこも素敵!って、いいところばかりが見えている状態。もしかしたら、冷静に見たら、欠点にあたるような部分でさえ、恋は盲目、すべてが魅力的に映ってしまう。片思いは、彼を絶対化します。彼こそが、神。彼の見方、彼の考え方、彼の趣味嗜好、それが絶対的な価値だと思い込んでしまう。彼を絶対的な正しい存在だとしてしまえば、自分は彼より劣った存在にしかなりません。それが、「見上げる」状態です。

この、「見上げる」状態、恋には、最高ですが、こと恋愛になってからは、害悪でしかありません。恋愛関係が上手に回って行くための必須条件は、「二人の力のバランスが取れていること」です。どちらかだけが力が強く、いつも片方は言いなりになっている、我慢を強いられる、などの関係性はいびつで、長続きはしません。

「見上げる」関係も同じ。付き合ってからも、彼の価値観こそがすべてで、彼に合わせてばかり。彼の一挙手一投足に振り回される毎日は、健全な恋愛とは言えません。こっちが良くても、彼の側が良くない。何を言ってもYESしか言わない。自分のコピーしかしない彼女、自分の機嫌ばかりをうかがう彼女では、彼も物足りなく、相手に敬意を持つことができません。
「私なんかに、あなたはもったいない・・」なんてへりくだった態度をいつも取られていれば、不遜な態度を取り出すのも時間の問題です。人間とは、置かれた環境、相手の態度によって、人間性をどんどん変えてしまう生き物なのです。出会った時は、すごく丁寧で紳士的で、やさしかった彼が、いつの間にか、相手を小馬鹿にしたような、尊大な態度をとる冷めた人間に変わってしまうことだってあるんです。それもこれも、すべては、こっちの態度の問題。こっちが相手を「見上げて」いるからいけないのです。

恋愛の基本は、つねに相手と対等であることです。
目線は同じく、です。
たとえば、仕事などの能力面では彼が上だったとしても、それ以外の、たとえば生活面では、こちらのほうが能力が上、みたいなことでバランスを取るのもいいでしょう。この分野では彼が主導権を握るけど、この分野では私!というのがそれぞれにあって、お互いに尊重し合えればいいのです。
ケンカした時も、つねにどちらかが謝っている状態は、お互いにとって良くありません。どちらも、自分が悪い時は、素直に謝る。相手を尊重して、自分を制することができる、そういう関係でなくては、ストレスばかりが溜まるのです。

恋愛において、目線が同じになるにはどうしたらいいか?
それは、一刻も早く、片思いの状態を抜けて、リアルな彼と、やり取りをすることです。
恋愛とは、エゴとエゴのぶつかり合い。たとえば、こちらが「今日はどうしてもそばにいてほしい!」と思っても、彼自身は、「今日は何が何でも家に帰って仕事しないとヤバイ!」と思っていたら、そこは、お互いのエゴのぶつかり合いになります。どちらを優先させるかどうかは、どこまで我を張れるか、相手を思いやれるか、にかかっている。
そういう、細かいエゴのぶつかり合い、どろどろした想いのやり取りが、たくさん積み重なって毎日を形成して行くのが、「付き合う」ということ。それが、恋愛関係にある、ということだと思います。その中で、いろいろな経験を二人でして行くうちに、お互いに、「こういう場面では引いたほうがうまくいく」とか、「この人はこの部分では絶対に曲げないんだ」などと学んでいく。そして、お互いに心地よい関係を築いて行くことができる。
その時ようやく、相手を見上げてばかりではなく、等身大の自分と同じ生身の人間だと認識し、パートナーとして、同じ目線で対することができるようになるんです。

「恋は奪う、愛は与える。」とはよく言いますが。恋は、相手から何かを与えてもらうのを待つ状態。でも恋愛になったら、お互いに、与えたり、返したり、自分を押さえたり、する。もっともっと豊かで、深い人間関係になるんだと思う。
いつまでも片思いばかりしている人は、恋愛のステージがいつまでも初級者のまま。
何も傷つかない代わりに、経験上何も得るものはありません。
それよりは、たとえ別れて傷ついたりしても、誰かと恋愛関係になって、様々なやり取りをして、そこから自分だけの生身の経験をすることのほうがよっぽど大事だと思います。

それこそが、最終的に、人生でたった一人のパートナーに出会うためのステップになる。
いま、ふわふわとした片思い時期を、半年以上続けてしまっている人がいたら。
その恋を、「進める」か、「止める」か、どちらかに舵を切りましょう。いきなりやめるのは無理だと思うので、一歩前に出る勇気を持ってください。(一歩前に出るための方法は、また今度!)
片思いを抜ける、という意志さえあれば、絶対に、すべての恋には答えがあります。
そう、「進め」か、「止まれ」か。そのどちらかしか、本当はないのです。恋の先にある恋愛は、誰にでもできるものではありません。でも、その先で見える景色は、誰にとっても、素晴らしいものであることは確かです。どうか傷つくことを恐れず、恋のステージを上げに行きましょう。
振り返れば、きっと、「なんであそこで立ち止まってたんだろう!時間がもったいなかった!」と思うはずですよ。

恋愛部長 れんあいぶちょう

20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。
著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。

HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho


カシワイ

装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。

HP: sankakukeixyz.wixsite.com/kfkx
instagram: @kfkx_
twitter: @kfkx_

Text: Renaibucho Cover Illustration: KASHIWAI

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