「いい写真を撮るには?」という問いに、「ピンボケしないこと。被写体の目と鼻を見て、ニッコリ、“チーズ!”だ(笑)」。
終わりまで撮り続ける、92歳の最高にチャーミングなジイさん『Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代』(16)
耄碌するどころか、皮肉たっぷりなジョークで答える最高にチャーミングなジイさん、ロバート・フランク、現在92歳。昨年冬、東京藝術大学大学美術館で行われた「Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo」展も連日長蛇の列をなした、20世紀を代表する伝説的写真家が大いに語るドキュメンタリーが公開される。
23歳で故郷スイスから単身NYへ渡りファッション写真家として活躍した彼は、ペルーへの旅をきっかけにフリーに。1955年、かの有名写真集『The Americans』を制作。当初は、“この国を嫌う不幸な移民の視点”と批判され、評価されるまでには10年の歳月を要した。60年代には、ビートニク詩人らを映像で記録することに熱中。ローリング・ストーンズの北米ツアーに同行し、まさにセックス、ドラッグ、ロックンロールを赤裸々に映した『コックサッカー・ブルース』(72)が上映禁止になったことも武勇伝として残る。 「インタビューは苦手」と、作品を通してのみ語ることを是としてきた堅物を動かしたのは、彼の映像編集に30年以上携わってきた友人でもある、女性監督ローラ・イスラエル。フランクは語る。 「何でも面白がること。立ち上がり、恐れず、瞬きせずに」と。
その妥協なき人生に私たちを退屈させる余地は、1ミリだってない。
『Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代』(16)
時代の波に翻弄されながらも我が道を歩んできたフランクの人生を、過去作品を織り交ぜ綴る。ボブ・ディラン、パティ・スミスなどが楽曲提供。4月29日より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開。
映画『Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代』公式サイト
©Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC ©Photo in Robert Frank’s studio by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC ©Photo of Robert Frank by Sid Kaplan from contact sheet, copyright Sid Kaplan ©Film still by Robert Frank, copyright Robert Frank