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吉高由里子×松下洸平『最愛』8話。後藤(及川光博)も人間だった!事件の鍵を握るペンの存在

吉高由里子×松下洸平『最愛』8話。後藤(及川光博)も人間だった!事件の鍵を握るペンの存在

しおり(田中みな実)が遺体で発見されたと同時に消えた後藤(及川光博)を探す梨央(吉高由里子)たち。新薬承認のために必死にやってきた梨央の前にまたも障壁が立ちはだかる──。ドラマを愛するライター・釣木文恵とイラストレーター・オカヤイヅミが『最愛』8話を振り返ります。あと2話!


会社のために全てを投げ打つ後藤の姿

このドラマで映し出されるのは、自分がたいせつにしている誰か、もしくは何かのために全てを投げ打つ姿だ。「最愛」の対象は、人とは限らない。たとえば後藤(及川光博)のように。

しおり(田中みな実)は梨央(吉高由里子)に「梨央さんの人生もまもなく一変します。汚れた会社が作った薬、薬事審査に通りますかね」と言い放った翌日、転落死しているのが発見された。同時に、梨央の会社の専務・後藤(及川光博)は姿を消す。

7話は後藤と加瀬の存在が重なって見えたけれど、8話では今まで以上に二人の存在の近似が気になった。会社のためを思って不正を働き、その証拠を隠滅すべく姿を消した後藤。行方を探す加瀬(井浦新)と梨央は、梨央の母・梓(薬師丸ひろ子)に教えられた会社の別荘へ向かう。

後藤が運んでいた大きなスーツケースには不正の証拠である帳簿だったらしい。証拠隠滅のためにしおりのPCを力まかせに破壊する手つきも慣れていない感じが出ているし、裏帳簿を燃やそうとしては「あちっ」と言ったりしている。大輝(松下洸平)や優(高橋文哉)はパーカーがなじんでいるけれど、後藤のパーカー姿はそれ自体新鮮だ。

学生時代から陸上部でならした大輝の走る姿と比べてしまうと、加瀬から逃げる後藤はずいぶんともたついている。悪事に手を染めている人間には違いないけれど、ここにきてこんな人間味を出されてしまうと、後藤がかわいらしくさえ見えてくる。

「君も私の立場になったらやったはずだ」「あの場所が私のすべてだ、他にはなにもないんだ。なにもないんだよ」という後藤の言葉に感じ入る加瀬。梓と後藤の関係性は、そのまま梨央と加瀬に重なる。加瀬だって、梨央のために多少の強引な手は使ってきた。

梓と後藤について「30年近く支え支えられの関係だからな」と言う加瀬に、「加瀬さんと私の倍ね」と答える梨央。それに対して「まだ半分かって感じだな」と加瀬。それでもこの二人は、15年支え、支えられてきたのだ。

「私のすべて」である存在に殉じる人々

巨額の不正を知ってしまった梨央はこの先を思い途方に暮れる。加瀬はそんな梨央を元気づける。「私のことどう思ってるの?」「嫌にならない?」という梨央の言葉(これはずっと彼女が加瀬に対して見せてきた甘えの一種だろう)に少し間をとって「ならない」「何度も言うけど、家族だと思ってる」「幼い頃に家族を失った辛さはわかるから」と答える加瀬。今回の「君に夢中」タイムはここだった。どんな気持ちであれ、加瀬にとっては梨央が「私のすべて」というくらいの関わり方であることは間違いない。

警察の山尾(津田健次郎)にも、後藤や加瀬との共通項が見え隠れする。「あの地位につくまで何人の部下が使い捨てられたか知ってるか?」と噂されるように、部下を犯人逮捕のための駒としか思っていない姿。山尾から大輝をうまく使うように言い渡された桑田(佐久間由衣)も、山尾に反発を抱いているようだ。山尾も警察という場所が「すべて」の人なのかもしれない。

8話は梓の怖さを改めて感じる回でもあった。後藤の不正について追求する加瀬に「こういうときのために加瀬くんがいるのよ」、同じく不正のことを聞く梨央には「梨央に話したところでどうにもならないわよね」と言い放つ。後藤の居場所を「みーつけちゃった」という姿は恐ろしすぎた。失踪した優をいち早く見つけたのも彼女だ。一方でかつての夫・達雄(光石研)が梨央のために犯した罪について「私も同じことをしたと思う」とも言う。親としての愛情からくる言葉だと思うが、これは本当に「もしも」の話なのだろうか。

ようやく通じ合う大輝と梨央の想い

生活安全課に異動になった大輝は「夜寝れるようになった」だけあって心の余裕ができたのか、改めて梨央に「二人で考えんか、これからのこと」と伝えた。先週はついそんな物言いになった直後「そういう意味じゃない」とごまかしたけれど、今度はまっすぐに。ただ、“今にも!”な大輝に対して梨央も同じ気持ちながら「事件解決して薬できたら」と答える。「クビになったんやってえ?」とどこかのんきな大輝の母の声や、「観光協会の吉田さん」と名前だけで一緒に笑える二人の姿を観ていると、30歳越えているのに手を繋ぐ姿さえ初々しい二人を観ていると、梨央のセリフがいわゆるフラグにならないことを祈るばかりだ。

優(高橋文哉)はバイトをはじめ、梨央が開発している新薬の治験もスタートする。これも明るい要素のはずだけれど、これだけ梨央を追い詰めるできごとが次々やってくると、「昨日も記憶をなくした」という優の、その瞬間何が起こっていたのか、それが後からこの姉弟に厄災として降り掛かってくるのではないかと気になってしまう。

終盤で、事件の鍵を握るペンの存在が明らかになった。昭の殺害現場にあったペンを持っているのは梨央、梓、後藤、梨央の兄・政信(奥野瑛太)、加瀬の5人。
『最愛』のサイトのトップページには、12人の顔が出ている。回が進むにつれ、このうちの一人として脇役ではないのだと改めて思う。

『最愛』公式サイト(TBS)

脚本: 奥寺佐渡子、清水友佳子
演出: 塚原あゆ子、山本剛義、村尾嘉昭
出演: 吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉 他
主題歌: 宇多田ヒカル「君に夢中」

Profile

Writer 釣木文恵 つるき・ふみえ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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Profile

Illustrator オカヤイヅミ

漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。趣味は自炊。
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Edit: Yukiko Arai

吉高由里子×松下洸平『最愛』8話

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