大人になる前に知っておきたい日本の言葉、季節のあれこれ。
ギンザ淑女のニッポン教養 7月「土用の丑」になぜ鰻を食べるの?
今月の言葉
中国伝来の陰陽五行説では「木火土金水」の五行を基本に森羅万象を捉えます。春夏秋冬をそれぞれ「木」「火」「金」「水」になぞらえ、「土」は各季節の終盤18日間を指し、これを「土用」と言いました。つまり他の季節にも「土用」はあります。1年でもっとも暑さが厳しい立秋(8月8日)の前の18日間の土用のうち、丑の日に精のつく物を食べる習慣が生まれました。丑の日だから「う」のつく名前の食べ物が良い、というわけで栄養価の高いウナギを食べるようになったとか。夏の間に土用の丑の日が2回巡ってくることもありますが、今年は1回きりで、7月27日です。
織姫・彦星おりひめひこぼし
今月の神様
奈良時代以前に日本に伝わった中国の民間説話「牛郎織女」によると、天帝の娘であり機織りばかりしていた真面目な織姫(織女星)を神が憐れんで、牛飼いの彦星(牽牛星)と結婚をさせたところ、二人は途端に怠惰になってしまった。神は怒って二人を引き離し、年に一度7月7日だけ会うことを許したのです。五節句のひとつである「七夕」は元来「しちせき」と読みましたが、布を織って水神に捧げる「棚機つ女」の語呂とも相まって、「たなばた」と言うようになったとか。織姫を祀ることから、裁縫や染織の技術、ひいては芸事一般の上達をこの日に願うようになりました。
五色糸ごしきいと
今月の和菓子
手芸や裁縫の技術上達を願う七夕の時季には、糸や糸巻きの形を模した菓子をよく見かけます。7月7日の宮中行事「乞巧奠」において五色の布を祭壇に捧げたり、笹竹に五色の糸を結んだりする習わしにちなんで、さまざまな結びの形を表現したのがこのお菓子です。和三盆糖をベースに、薄荷・生姜・梅肉・柚子・肉桂がほのかに香ります。
五色糸 ¥1,600*通年販売(とらや 赤坂店)
蛇腹便箋じゃばらびんせん
今月のたしなみ文具
昔の手紙は、巻紙に筆で文字をしたため、文章が終わったところで紙を切る。考えてみればとても理にかなった形でした。この「蛇腹便箋」も、蛇腹折りになった便箋の一区画ごとにミシン線が入っていて、適当なところで切り取れるという優れもの。小さいサイズならちょっとしたメモやお礼のひとことを添えるのにとても便利です。
ちいさい蛇腹便箋*封筒5枚付き 箱10.5×5.2cm 各 ¥500(榛原 )
Photo: Chihiro Oshima Illustration: Hisae Maeda Text&Edit: Mari Matsubara