大人になる前に知っておきたい日本の言葉、季節のあれこれ。
ギンザ淑女のニッポン教養 8月に増える「篠突く雨」を知っていますか?
このところ夏場は日本各地で激しい雨に見舞われることが多くなり、「ゲリラ豪雨」なんていう言葉が普通に使われるようになりました。でも「篠突く雨」という昔ながらの表現も知っておけば、よりオトナな感じがしませんか? 篠とはヤダケやメダケという種類の竹のことで、細くて何本も一カ所に群生します。地面に向かって叩きつけるように激しく降る雨を、篠竹が一斉に生えている様子になぞらえて、こう言い表すようになりました。夏の季語ではありませんが、やはり盛夏の頃の夕まぐれにいきなり降ってくる大雨にぴったりの表現です。
大物主オオモノヌシ
今月の神様
あるところに活玉依毘売という美女が住んでいました。そこへ夜な夜なイケメンが訪ねてきて、とうとう子どもを身籠りました。あの男は一体誰なのか?不審に思った毘売の両親は、男の衣に麻糸を通した針を刺しておくように言います。翌朝、男が帰った後、糸は戸の鍵穴からするすると外へ出て、部屋には糸が三把(みわ)だけ残っていたとか。糸は三輪山の神の社まで伸びていたので、男の正体は三輪山の大神であるオオモノヌシだったのです。ちなみに奈良県三輪地方は素麺の産地でもあり、長い糸を垂らして山へ帰ったオオモノヌシの姿を、素麺の神様として祀るようにもなりました。
浜土産はまづと
今月の和菓子
竹籠の中に立派な大きさのハマグリが。これだけで何だろう?とビックリしますが、殻の間に爪を入れて開けると、中には琥珀糖の寒天に浜納豆が一粒。海や磯辺を思わせる貝、透き通った中身の涼しげな見た目、つるんと口に入る冷たい食感もうれしい、夏のお菓子。「つと」とは藁などで包んだもののことで、それが転じて包んで持参する土産物の意になりました。
浜土産 5個入 ¥2,350*9月中旬まで販売(亀屋則克)
六つの花扇子むつのはなせんす
今月のたしなみ文具
六つの花とは「雪輪」のことで、雪の結晶をモチーフ化した、日本に古くからある柄です。六弁の花のように結晶化するので、この名があります。この柄は着物にも使われますが、夏の装いによく見られるのは見た目に涼感を添えるためなのです。季節外れの雪をグラフィカルに散らした扇子から涼風が吹いてきます。
江戸扇子 ¥3,800(いせ辰)
Photo: Chihiro Oshima Illustration: Hisae Maeda Text&Edit: Mari Matsubara