大人になる前に知っておきたい日本の言葉、季節のあれこれ。
ギンザ淑女のニッポン教養 正しい「小春日和」は11月です。
だんだん近づく冬に向けて、寒さに身を縮ませる日々の中、急に穏やかで暖かい陽気が戻ってくることがあります。晩秋から冬にかけて、突然春がやってきたような暖かさのことを「小春日和」と言います。小春とは旧暦10月のことで、現在の11月から12月上旬のこと。寒い時季に限って使える言葉なのです。春先に「小春日和」と言うのは間違いですからご注意を。
ヤマトタケル
今月の神様
朝廷に服従しないクマソタケルの殺害を命じられ西国へ向かい、敵を欺くために女装までして見事征伐したヤマトタケル。その後東の平定を命じられた際、叔母に草薙剣を与えられました。甲斐(山梨県)、信濃(長野県)などを平定したものの、三重の能煩野で命果ててしまいました。その時、ヤマトタケルの亡骸から白い鳥が西方へと飛び立ち、最後は河内国に舞い降りたのです。これを祀って大鳥神社(大阪府堺市)が建てられました。
亥の子餅いのこもち
今月の和菓子
古くから、亥の月(旧暦10月)の初めの亥の日、亥の刻(午後9時〜11時)に餅を食べると無病息災で過ごせると言われました。また、猪が多産なことから子孫繁栄を願い、収穫への感謝の意も込めました。『源氏物語』にも登場するほど古い歴史を持つこのお菓子、猪の子の丸っこい体を非常にシンプルな形で暗示しています。それこそが和菓子の表現の美なのです。
きな粉・干し柿・ごまを混ぜ込んだ餅製の生地で御膳餡(こし餡)を包む。亥の子餅 ¥450*11/1〜30の期間限定販売(店舗によって異なる)(とらや 赤坂店)
縁起熊手えんぎくまで
今月のたしなみ文具
東京・浅草の鷲神社が発祥地と言われる酉の市は毎年11月に、各地の大鷲(鳥)神社で行われます。祭神ヤマトタケルは鷲神社に戦勝のお礼参りをした時に、武具の熊手を松の木にかけて感謝しました。もう一柱の祭神、天日鷲命は天の岩屋戸が開いた時にいた鷲なので開運・招福の象徴とされました。現在では、白い鳥をはじめ数多くの縁起物をつけた熊手を買うことで、商売繁盛・家内安全を祈ります。
大判小判、鯛、米俵、打出の小槌、お多福など縁起物がどっさりと熊手についている。この熊手で福を「かき寄せる」。価格は大きさ次第。購入が決まると威勢のいい三本締めの声がかかる。