ファッションフォトグラフィーに欠かせない存在であるフォトグラファー・Nick Knight。彼が編集長として手がけるメディア「SHOWstudio」キュレーションによる展示会が7月30日(日)まで開催中。そして展示の被写体は、なんとスターモデル・Kate Moss。
Nick Knightが撮影してきたKate Mossの貴重な映像作品だけではなく、彼女のキャリアを物語るように30人のアーティストが様々なキャットウォークシーンを描いた作品も並ぶ。
SHOWstudioとは?
そもそもNick Knight が手がけるメディア「SHOWstudio」とは、どのようなメディアなのだろうか?
まだiPhoneすら登場してきていない2000年11月に設立された「SHOWstudio」。Nick Knightのキャリアを振り返れば、1986年に出版したYohji Yamamotoのカタログから始まり、90年には『i-D』誌のフォトエディターとなり、テリー・ジョーンズ(VOGUEUKの元アート・ディレクターで、『i-D』の共同創始者)とともに雑誌で新境地を開いてきた。そのように紙のファッション雑誌がパワーを持っていた時代に生きてきた彼が、まだウェブメディアも普及していない時代に新たに開拓したプラットフォームだ。それは写真について「社会を追うだけではなく、自分自身も社会に変動を起こしたい」と語る彼の姿勢そのもの。
ホームページでは、ファッションフィルムやデジタル時代とともに広がっていく動きのあるイメージなどを表現する場として、自身の作品から若手作家、インタビュー動画など様々なコンテンツを配信。
Yohji YamotoやMartin Margiela、JUNYAWATANABE、J.W.Andersonなど数々のブランドのパターンがダウンロード可能だったり、1998年に撮影したデザイナー・Lee Alexander McQUEENの貴重なインタビューを始めKanye WestやLady Gaga、Bjorkなどのインタビューも自由に観ることができる。
また、コレクションの時期になるとエディター・Lou Stoppardを率いるモデレーターとファッションに親和性のあるゲストを呼んだディスカッションも行われる。PRADAからVETEMENTS、若手ブランドまで幅広くコレクションについて語り、時には途中から放送禁止になる程、ディスカッションが白熱してしまうことも。
3つの部屋で構成される「SHOWstudio」の世界
本展では、タイトル「Moving Kate」通り、1階で総勢30名・年齢問わずアーティストによるKate Mossがモデルとして輝く瞬間を捉えた作品を展示。アーティストの中には、若手映像作家として注目を集める・Rei NandalやGUCCIのInstagramプロジェクトで一躍注目を浴びたイラストレーター・Gil Buttonも参加。加えて、Nick Knight撮影による2000年代のKate Mossの映像作品も観ることができる。シリアスな表情からパーティを楽しむ表情まであらゆる彼女の一面を覗ける。
2階ではNick Knightが2010年から2012年にかけて自身の庭から摘んできた花たちを写した写真を展示。まるで絵画のように写る花の造形美、生命感と死の表裏一体の世界観を表現している。ほぼ毎日Nick KnightのInstagramでも自身の庭から摘んだ花のポートレイトを投稿しているので、ぜひチェックしてみて。
隣の部屋では、2001年に「SHOWstudio」より出版された印刷物や写真などを含む、限定版BOXセットの作品を展示。BOXセットには、アンディー・ウォーホルの「タイムカプセル」のように、異なる作家—Alexander McQueen, Juergen Teller, David Chipperfield, Kate Mossらの作品がひとつひとつ大切にコレクションされている。
日本では中々見たり聞くことのできない良質な情報・イメージが詰まった「SHOWstudio」のサイトとともに是非展示でも世界観を感じてみて。
会期:2017年 6月30日(金) ~ 7月30日(日)
場所:The Mass
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-11-1
休館日:火曜,水曜
開館時間:12:00-19:00
入場料:無料
Photo by Mariko Kurose (IN FOCUS)