音楽を軸にしながら、アート、舞台、広告などで自由自在な活躍を見せる蓮沼執太さん(音楽家・作曲家)が、GINZAガールのためにテーマごとに選曲するプレイリスト連載。第9回では、2020年ももう2月に突入した今、2019年を大切に振り返るための音楽を選んでくださいました。
蓮沼執太 がGINZAガールに薦めるプレイリスト vol.9「ふりかえり|Looking back in」
時の流れがどんどんと速くなるような感じがしてしまう2020年。もう1月も終わり、本格的な冬がやってきますね。スピードに身をまかせることなく、しっかりと時間を見なおしたいものです。
今回のプレイリストは「過去を見なおす」こと。昨年聴いていた音楽を聴きなおすことで、時の流れをちゃんと捉え、今年も瞬間瞬間を大切にしようではありませんか。
ということで、2019年リリースの新譜でミックスしてみました。
(#1)ケイト・ル・ボンのアルバムは、色々な楽器がファンタジックに響く音響空間にのびやかなヴォーカルが映えていました。
(#2)ロンドンのタウィアも素晴らしいシンガー。彼女のソウルフルな歌声と抽象的なトラックメイキングがミックスされ、個性的な世界が確立されてます。
(#3)シカゴのジャミーラ・ウッズの新作は全曲タイトルに過去の偉人の名前が付けられた、強固なイメージのアルバムでした。『ZORA』のMVの、シカゴの図書館の中で歌っている映像も観てほしいです。
(#4)フェシリア・アトキンソンはフランスのレーベル「Shelter Press」のオーナーとしても知られているアーティスト。アルバム最後の曲『Des Pierres』ではステファン・オマリーをフィーチャーした壮大な楽曲もあります。
(#5)大人気のスーダン・アーカイヴスもたくさん聴きました。彼女自身が奏でるフィドル、アフリカンな打楽器、端正な歌声が交差して、どんなときにでも聴けるアルバムでした。
(#6)みんな大好きなフォー・テットの、KH名義での曲。ネリー・ファタードをサンプリングした良質なダンスミュージック。
(#7)ロンドンの兄弟デュオ・オーヴァーモノ。アーメンブレイク(ドラムンベースのドラムブレイク)が少しずつ入っている、個人的に侘び寂びなマナーを感じるガラージ・テクノ。
(#8)ロレイン・ジェイムスによるデビューアルバムはイギリスのレーベル「Hyperdub」からリリース。
(#9)トライブ・オブ・コリンは玄人好みのサウンドメイキング。硬めのビートに燻製のような(?)シンセフレーズが乗る『Self / Distance』は真夜中の高速道路で聴きたいですね。
(#10)キム・ゴードンのキャリア初となるソロアルバムも素晴らしかった。
(#11)スザンヌ・チアーニ唯一の再発アルバム、1969年制作。アメリカ西海岸のシンセサイザー「BUCHLA(ブックラ)」を使った14分を超える楽曲です。小さい音でじっくり聴くのもオススメ。
今回のプレイリストは歌ものから始まり、ビートが刻まれて、深いリズムに入っていくと、ノイズが広がり、最後は電子音の海に入り込む、という展開になっているかなと思います。
個人的には、Apple Musicに入っていない2019年リリースの新譜で好きな曲もあったのですが、今回は泣く泣く省きました。このプレイリストをきっかけに未知なる音楽や、すでに知っている音楽からもっともっと探求して、新しい音楽に出会えてもらえたら嬉しいです。
Playlist#1 Cate Le Bon / Daylight Matters
#2 Tawiah / Recreate
#3 Jamila Woods / ZORA
#4 Felicia Atkinson / Shirley to Shirley
#5 Sudan Archives / Confessions
#6 KH / Only Human
#7 Overmono / Le Tigre
#8 LORAINE JAMES / Glitch Bitch
#9 Tribe of Colin / Self / Distance
#10 Kim Gordon / Air BnB
#11 Suzanne Ciani / Flowers of Evil