日本初のアートに特化したブックフェア、〈TOKYO ART BOOK FAIR(東京アートブックフェア)〉が2019年も開催する。初開催から10回目となる今年の会場は、この春にリニューアル・オープンしたばかりの東京都現代美術館。約300組のアートブックやZINEを制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストが出展する予定だ。
祝10回目!アートブックが一堂に会するTOKYO ART BOOK FAIR 2019が開催

多くの来場者が訪れる〈東京アートブックフェア〉。直接作り手と交流を持てる通常のブース展示はもちろんのこと、毎回趣向を凝らした視点でアートブックを紹介している。今年も期待が高まる4日間だが、訪れる前に2つの企画展に注目しておきたい。
まず1つ目は、毎回ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画『Guest Country』。今年フィーチャーする国は、世界のインディペンデント出版文化を牽引するアメリカ。『Radical Pages: A Selection of American Zines』、『Exhibition: 10 Years of The Thing Quarterly』と題した2セクションの展示とトークで、アメリカ独自のアートブックの文化に迫る。現在は、世界各国で開催され、おなじみとなったアートブックフェアだが、始まりは印刷物によるアート表現を行うアーティストらが設立した非営利の書店「Printed Matter」が、2006年に行った『New York Art Book Fair』に由来するという。
『Radical Pages: A Selection of American Zines』は、ニューヨークのアートシーンを牽引する写真家、レレ・サヴェリが主宰する非営利のメディアコレクティブ「8-Ball Community」が主催している。所属する作家たちがお勧めするZINEを展示、販売する特別ブースを設置。彼らのコレクションから、アメリカの歴史的に重要なZINE約150タイトルを展示する。世界中の若者たちが、身近な表現のプラットフォームとして、ZINEを積極的に制作するいま、アメリカに焦点を当てその歩みを辿る。『Exhibition: 10 Years of The Thing Quarterly』は、サンフランシスコで2007年から10年間刊行された雑誌「The Thing Quarterly」の歩みに目を向けた展示だ。毎号異なるアーティストが日常生活の中でアートと触れ合うことをテーマにしたページを作成。これまでにミランダ・ジュライによる『シャワーカーテン』、ガブリエル・オロスコによる『フリスビー』、ライアン・ガンダーによる『トランプ』、タウバ・アウエルバッハの『時計』などが登場した。また、関連イベントとして、「サンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)」のアートライブラリの司書を務め、自費出版によるアートブックの収集を含むコレクション管理に携わるデイヴィッド・シニアのレクチャーも開催するので、お見逃しなく。
2つ目は、日本人作家のアーティストブックを紹介する『Japanese Artists’ Books: The n and Now』展。現在の日本のアート出版シーンを牽引する日本人作家たちに焦点を当てる。参加する作家は、川島小鳥、平野太呂、平山昌尚、ホンマ タカシ、森山大道など。彼らが語るアーティストブックにおける原体験や魅力とともに作品を展示する。それぞれの作家のルーツや解釈を通し、日本におけるアーティストブックの多様な進化の軌跡を巡り、本の表現の可能性を考察する機会となっている。
その他にも、日本で最古の画廊といわれ、創設100 週年を迎える資生堂ギャラリーが、展示を行う。これまでの展覧会 のカタログと95 年に刊行された『資生堂ギャラリー七十五年史』を公開する。
様々な角度から、本によるアーティスティックな表現の未来を見つめる〈東京 アートブックフェア〉。アートブックの背景を知れば、お気に入りの一冊を探せること間違いなしだ。
【TOKYO ART BOOK FAIR 2019】
日時:2019年7月12日(金)15:00-21:00 (プレビュー)
2019年7月13日(土)、14日(日)、15日(月・祝)11:00-19:00
会場:東京都現代美術館 (東京都江東区三好4 -1- 1)
料金:入場無料
※12日のみプレビュー参加費として1,000円[ 税込](小学生以下無料)
※トークイベントは一部有料
tokyoartbookfair.com
『Guest Country』 関連プログラム
Lecture by David Senior(SFMoMA Librarian)
日時:7月13日(土)17:30~18:45
場所:Event Space
参加費:1,000円
Text: Aika Kawada