佐藤千亜妃さん、いい男って、なんですか? 俳優・太賀が聞くvol.3

佐藤千亜妃さん、いい男って、なんですか? 俳優・太賀が聞くvol.3

俳優・太賀は考える。「カッコいい大人の男は一体、何が違うのか」。そんな彼がいい男になるべく、素敵な女性たちからアドバイスと金言をいただくこの連載。最終回のゲストはアーティストの佐藤千亜妃さん。果たして太賀は、いい男に近づけたのか…?

佐藤

お会計のときに慌てちゃうような不器用な男性のほうが好き

太賀

いやいや、僕や僕の周りの不器用な人はモテません…!

太賀 佐藤千亜妃


佐藤 以前、太賀さんが映画『南瓜とマヨネーズ』(17)のなかで歌っているのを聴いて、すごく上手だなと思ったんです。

太賀 本当ですか?ありがとうございます。僕は普段、きのこ帝国の音楽を聴かせていただいていて、ぜひ佐藤さんの話をうかがってみたいなと。では、いきなりなんですけど、佐藤さんにとってのいい男ってなんでしょう?

佐藤 好みかもしれないけど、いつも、いいなと思う人は決まっていて。ペラペラしゃべらない寡黙な人です。人は、人生を語るタイプとそうじゃないタイプに分かれると思うんですけど、後者のほうがグッとくるし、気になってしまう。〝何を考えているんだろうな〟って知りたくなる。

自分語りや自慢をする男性は
ちょっと疲れちゃう。

太賀 カッコいいですよね、寡黙な人。ヘラヘラしてる自分とは真逆だから憧れます。
佐藤 ヘラヘラしてるのは、いいんですよ!ただ、自慢みたいなのが始まると疲れちゃう。自分の持っている目標や夢、意識って、本人がわかっていればいいって思うんです。多くをしゃべらないんだけど、要所要所で〝自分の考えがあるんだろうな〟というのが垣間見えると、いい男だなって。どしっとしていて余裕がある感じが男らしいなと。
太賀 僕も、たまにクールぶって人に話しかけられるのを待ってみたりするんですけど、結局、誰にも声をかけられないまま終わることばかり。難しいですよ、寡黙って。狙ってできることじゃないし、沈黙が怖くなってしゃべっちゃうから。自分で何を言ってるかわからないこともあるくらい話す(笑)。
佐藤 でも、周りの人のために頑張ってしゃべってくれる男性は、愛おしいなと思いますけどね。そういう場面で〝俺はしゃべらないぜ〟って空気を出す人は苦手。〝寡黙であることが自分のアイデンティティ〟だと思って寡黙にしているのは、ちょっと違うというか…。
太賀 真のいい男は、強い意志や周りに踊らされないものを持っているからこそ、自然と黙っていられるのかもしれないですね。
佐藤 そう、以前、太賀さんと、某ブランドの展示会でお会いしたときに、親近感のあるラフな格好をしていらして。淡いオリーブ色みたいな、農家の人が作業をするときに着ていそうな素朴な感じの服を着ていて、すごくほっこりしました。そのときに、場の空気に流されていない人なんだなって思ったんです。
太賀 そうですか!?その展示会でいろんな服を試着したけど、すべて似合わなかった(笑)。でも僕は役者でありながら、バラエティ番組や雑誌に出させてもらう機会があり、そういうときに何を着るかは重要だと思っていて。佐藤さんは、表現するアーティストとして、衣裳にこだわったりしますか?
佐藤 個人的な悪しき考えなんですけど、ずっと、ミュージシャンとして着飾るのは悪だと考えていたんです。音楽だけで評価されないと意味がないから、できるだけ削ぎ落とそうとしていました。
太賀 意外です!
佐藤 でも、いろんな人と関わるようになって、今は視野が広がっている途中です。やっぱり、表現の世界だと誰かに投げかけなきゃいけないし、曲でアプローチしてなんぼ、なところがあるから。多くの人に届けようと思ったときに、ファッション次第で強いエネルギーが生まれるかもしれないと思うようになって、アンチファッションじゃなくなりましたね。そう、一度、自分のスタイルが確立できたと思った瞬間があったけど、止まっちゃうのも面白くないなって思って。常に〝壊して作って〟というのを、続けている感じです。表現する立場というのは役者さんも同じだと思うんですけど。
太賀 自分には自分なりのこだわりがあるし、それを突き詰められたらいい話なんですけど、役者は一人では何もできないんです。監督、脚本家、共演者、スタッフがいてとなると、自分がやりたいことと仕事が噛み合わないこともあるし、発信から完結まで、すべてを自分でできるものがすごく少ない。じゃあ、役者の醍醐味ってなんだろうと考えたら、いろんな人と会えるところだなって。一緒に仕事をする人数は、とにかく多いですから。だから、今は、いろんな人と組んでみようというマインドでやっています。
佐藤 演技をすることで別人になるじゃないですか。それは嫌じゃないですか?
太賀 別人になるからこそ自由なときもあって。普段の生活をしていて、いきなり泣いたり笑ったりするのは変だからできないけど、物語の中ならありうる。そういう自由さがあります。佐藤さんは作曲をするとき、そこに自伝的な要素はあるんですか?
佐藤 昔はノンフィクションというか、自分に起こったことを曲にしていたけれど、最近は、ちょっと変わりました。自分の経験した中で生まれた感情がスポイト一滴分くらい入っていれば、ほかが物語でも感情移入できることに気づいたんです。共感できるポイントがあれば、歌っていても自分を映し出せる。
太賀 自分の人生だけで作るとなると、ガソリンが尽きそう。そういう、フィクションとノンフィクションの境界が曖昧になっていく作業って、演技をしているときにもありますね。でも、そのわけわかんなくなってるときが、いちばん楽しかったりして。〝今、ものすごく怒ってるけど、これは演技なんだよな〟とか。…なんか自分のことをしゃべりすぎかな。やっぱり、寡黙って難しい。
佐藤 いや、今、いい男でしたよ!

太賀 佐藤千亜妃

いい男は意中の彼女を一本釣り、
モテる男は地引き網漁のイメージ。

佐藤 一般的に、男性って表現するのが下手なんじゃないかと思うんです。特に30歳を超えると、女性のほうが自分の身の振り方を考えて動いている感じがあるし、そういう人を見ていると、いいなって。でも、男性って、不器用なほうがよく見えたりするからズルいですよね。器用すぎると、詐欺師っぽい感じがしちゃうというか。
太賀 器用というのは?
佐藤 マメだったりスマートだったり。私は「お会計はもう済ませたよ」という人より、「あ、ご、ご、ごめん!みたいな人のほうが好き。愛されそうな気がします。
太賀 いや、僕や僕の周りは不器用な人ばっかりですけど、それだとモテないことが多いです。だから、この連載をやってるんです!
佐藤 いい男とモテる男って、また違いますからね…!ダメ男でもモテる人はいるし。
太賀 そのふたつは別物なんですか。だとしたら、僕はいい男になりたい。そのほうがカッコいいし、意中の人に好きになってもらえそうじゃないですか?マグロの一本釣りみたいにピンポイントで。モテ男は地引き網漁みたいなイメージ。
佐藤 なぜ漁でたとえるんですか(笑)。でもたしかに、自分が素敵だと思った人と付き合ったり結婚できる人はいい男ですね。
太賀 理想じゃないですか?男って、好きな人ができたら、その人にどう思われるかを考えて、努力すると思うんです。〝誠実になろう〟とか〝カッコよくなりたい〟とか。だから、素敵な女性こそがいい男を作り出せるんじゃないかと思うし、そういう人に出会いたいなって。あ、今、いい男になる道が少し見えた気がしました…!

 

今回の学び

いい男とは、
自分語りをせず、
寡黙であること


太賀さん コート ¥62,000(08サーカス │ 08ブック 03-5329-0801)/ユーズドのニット ¥8,900(トランポット 03-5773-4210)/パンツ ¥32,000(クラス │ ウィリー 03-5458-7200)/靴 ¥76,000(コモリ │ ワグ インク 03-5791-1501) 

佐藤さん ユーズドのベスト ¥4,800(ダンジル 042-720-8703)/ユーズドのパーカ ¥7,400(トランポット)/ハイネックカットソー ¥22,000(アンダーカバー 03-3407-1232)/スカート ¥120,000(ファセッタズム 03-6447-2852)/靴 ¥48,000(ワイエムウォルツ │ マービン&ソンズ 03-6276-9433)/タイツ*スタイリスト私物


連載を終えて太賀

長澤まさみさん、西加奈子さん、そして佐藤千亜妃さんという3人の素敵な先輩方に、ためになる話をたくさん聞かせていただきました。参考にしたいと思う一方で、自分のいい男レベルがいかに足りていないかということを痛感…。カッコいい大人の男になることの難しさ、大変さが身にしみました。今すぐには無理かもしれないけど、この連載から学んだことを忘れず、決して甘んじることなく、日々、精進していきます!


長澤まさみさんをゲストに迎えた第1回はこちらから。

西加奈子さんをゲストに迎えた第2回はこちらから。

太賀 たいが

1993年生まれ、東京都出身。2​0​0​6年デビュー。映画『きばいやんせ!私』が3月9日に公開予定。ドラマ『今日から俺は!!』のBlu-ray&DVD-BOXが4月24日に発売

佐藤千亜妃 さとう・ちあき

1988年、岩手県生まれ。バンド「きのこ帝国」のVo&Gtを担当する。2012年にアルバム『渦になる』でデビュー。ソロ名義のEP『SickSickSickSick』が発売中。

Photo: Masafumi Sanai Styling: Dai Ishii Hair & Make-up: Masaki Takahashi (Taiga)/Kenichi Yaguchi (Chiaki Sato) Text: Aya Shigenobu

GINZA2019年3月号掲載

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