25 Aug 2020
点子が、友人のクリエイターにインタビュー vol.2 新たなスペースでの制作活動をする、アーティストのマシュー・ルッツ・キノイ

3月から始まったヨーロッパ各地の自粛期間。パリで暮らす点子が語る家での過ごし方。パリ、ロンドン、ベルリンの3都市を拠点にする友人のクリエイターに点子が話を聞きました。
IN PARIS
マシュー・ルッツ・キノイ
Matthew Lutz-Kinoy
アーティスト
自宅下のテンポラリーなスタジオで
スタジオに行くことができない間、制作はどこで?
ラッキーなことに、家の下が空き家だったのでスタジオの代わりに使わせてもらってるんだ。理解がある大家さんが鍵を貸してくれたから、外出しなくても制作ができてとても助かってる。パートナーと一緒に住んでいるから、1人の時間もできたしね。
今後、アートを取り巻く世界はどう変わっていくと思う?
アート界は絶対面白くなるよ。もっとインディペンデントなスペースで作品を発表するアーティストが増えるだろうし、小さくても面白いギャラリーがどんどん出てきそうだよね。
どういった作業をしてるの?
絵は少しずつ自分のペースで描いてる。展覧会もキャンセルされたし、ギャラリーも閉まっているから、締め切りに追われず制作しているよ。リサーチにも集中できてて、今はルイ15世の公妾、ポンパドゥール夫人について書かれた本を読んでいる。退屈になりがちだったルイ15世のために、夫人は王の部屋の横に“小部屋劇場”を作ってさまざまな上演をしたんだって。そのストーリーと今の自粛期間に共通点がある気がして夢中になっているよ。
これからどんな作品を作りたい?
もっとフレキシブルなものかな。僕の絵は大きくて運びづらいから、今の不安定な状況の中、実物を見せる機会が少なくなる気がするんだ。だから、巻物のように軽く運びやすい絵がちょうど良いと思う。サステイナブルであることも重要だよ。
Matthew Lutz-Kinoy マシュー・ルッツ・キノイ
絵画、彫刻、版画、陶芸などの手法を用いて表現。MoMA PS1やWhitney Museumなど、世界各国で展示を行う。
Text: Tenko Nakajima Edit: Sakiko Fukuhara
GINZA2020年7月号掲載