この冬、これがあったら素敵、幸せになるモノやコトを、 それぞれのジャンルにアンテナを張る10名が選び、なぜそれが2016年の冬に相応しいか?じっくりとその理由を語っていただきます。
GINZAが考える『この冬にしたい10のこと』ー06:おかえり、90年代。 “青春返り”のススメ。
WEBエディター KT
「おかえり、90年代。“青春返り”のススメ。」
最近なんだか、10代の頃に親しんだものを30代の今になってまた味わいたくなる、そんな衝動に駆られています。実家から連れてきたものと最近になって買い集めたもの、90年代だけで100冊以上あるOliveを、片っ端から読んでいます。
というのも、2016年は復刻したadidasのスタンスミス、Reebokのポンプフューリー、ビッグシルエットにバンダナ柄スカーフ…と90年代ファッションがリバイバル。ファッションの流行はだいたい20年周期で繰り返す、なんていいますが、当時青春ど真ん中・花の十代だった世代としては、「まさかチョーカーが戻ってくるなんて」「次は何がくる?ピタT?厚底?ワッフルアイロン?ピッチピチのシマロンパンツ?それとも草食男子が進化したNEOフェミ男?!」みたいな話にどうしたって花が咲きます(個人的には安室奈美恵さんの結婚会見ルック、タートルにバーバリーのスカート、あれまた流行らないかな)。
90年代ハイテクスニーカーブームの頃に “ビビビ” ときて以来、大事に保管していたつもりのNIKEのエアハラチライト、見事に経年の加水分解。嗚呼。
話が逸れました。街の流行もそうだし、『Olive』も『relax』も復刊したし、歴代のソニー製品が並ぶ「It’s a Sony展」や池袋パルコの「大ラジカセ展」、ぷちサンプルシリーズの「プレイバック青春Days」などもそう、この冬は80〜90年代を回顧せずにはいられないトピックや催しやグッズを次々続々目にする…のは気のせい?歳のせい?
鞄の中で少し動いただけで音飛びしまくるCDウォークマンを背負って自転車チリリンと走らせた通学路のにおい、MDカセットを入れるカシャっとした音で思い出すテスト前の焦り、どデカいCDコンポを窓際において雑音まじりでAMラジオを聴いた深夜の高揚感、異様に流行っていた“やせる石鹸”をネット通販した時のテレホタイムのピーヒョロロロロというダイヤルアップ接続音…(もしやGINZA読者の多くには通じない話?)
1940年代から現在までのソニー製品が一堂に展示されている「It’s a Sony」展より。写真撮影もOK。
でも不思議なことにモノから思い出すのは、自分の人生の大きな出来事よりも、今思うと笑ってしまうような青臭い悩みや自意識だったりトホホな出来事。それがまたヒリヒリ痛いけど愛おしい。そんな話を友人にしていたら、「言葉が相応しいか分からないけどそれはきっと(先祖返りならぬ、赤ちゃん返りならぬ)“青春返り”ってやつだ」と。
夢中になっていたTV番組や漫画や音楽、雑誌やファッションを大人になってから味わい返してみると、自覚している以上に今の自分の価値観やコンプレックス、ひいては人生の選択にも影響を与えていたんだなと気付きます。当時は悪役としか捉えていなかった人物の気持ちが痛いほど分かったり、逆にどう考えても名作だと神格化していた作品がなんだか意外と稚拙でくだらなかったり。そんな大いなるズコー!も含めて、“青春返り”がたまらなく楽しい。
昔を懐かしんであの頃は良かったとか戻りたいという訳じゃないのです。たいして“メークドラマ・メークミラクル”な人生でもないけど自分なりには“すったもんだ”あったし、泣いて笑ってたくさん食べて今もそれなりには楽しくやれている。だからこそ毎日もやもやして“ファジー”だった青春時代を笑い飛ばして、“明るい未来に就職希望”してもがいていた“自分で自分を褒めてあげたい”のかもしれません。苦い思い出ほど甘くなるよと。
最初はこれってただの年齢的な通過儀礼かも…と思っていたのですが、今年大ヒットしたアニメ映画の監督がインタビューで、幅広い世代に支持されている要因を「映像の中に映っているもの、聞こえている音に、自分の記憶とか心の中にあるものを照らし合わせて何かを見つけて感動しているのだと思う」と分析されていて、これまさに。世代を問わず世の中的にも今そんなムードなのかなと思って文章にしてみた次第なのです。
そうやって毎日青春返りしてたら気持ちが高ぶってしまい、ついうっかり10年越しの憧れを手に入れてしまいました。アニメ「シティーハンター」のCOMPLETE DVD BOX・完全限定生産・10万円(現在は販売していないので中古で)。2005年の発売時は手が出なかったけれど、今なら“自分へのご褒美”とどこかで聞いたような言い訳をしてちょっと踏ん張ればなんとかなってしまう、それも大人にならなきゃできない青春返りの醍醐味。
DVD32枚分、重い!デカい!このサイズ感伝えるために猫添えてみました。
厳密には80後半~90年代前半の作品ですが、毎回ストーリーのクライマックス、一番グッとくる場面にテーマ曲がフェードインしてきてそのままエンディングに入る、そしてそれが「GET WILD」だったり我らが岡村ちゃんだったり。当時としては相当画期的で都会的な作品だったんだと改めて気付きます。いやぁ~今観てもスタイリッシュで大好き100万点。
皆さんもこの冬はそれぞれの時代の“青春返り”してみませんか。
ちなみにこのコラム中に90年代の流行語を幾つか忍ばせてみました。今年でいう「神」「鬼◯◯」みたいな意味で「超◯◯」と言っていたのも確か90年代。“チョベリバ”とかね。書いていてなかなか恥ずかしい。言葉は20年よりもう少し熟成させないと、ですかね。
・「It’s a Sony展」銀座ソニービルで2017年2月12日まで開催中
http://www.sonybuilding.jp/ginzasonypark/event/
・「日本発 アナログ合体家電 大ラジカセ展」池袋パルコミュージアムで2016年12月27日まで開催中
http://dairadicasseten.haction.co.jp/
・ぷちサンプルシリーズ「プレイバック青春Days」
http://www.re-ment.co.jp/product/r50519
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WEBエディター KT
アイドルと猫とプロ野球♡ GINZAはWEBやSNSを中心に2011年から参加。いま改めて聴く「LOVEマシーン」当時好きだった人も斜に構えていた人も、実はこんなかっこいいアレンジだったの?!と驚くはず。