この秋、演劇の街・池袋へ通い詰め!?
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この秋、演劇の街・池袋へ通い詰め!?

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街には、あるイメージがあるものだ。買い物だったら、渋谷、原宿とか新宿。散歩がてら、動物園とか博物館に行くなら上野。展覧会に行ってみようかと六本木に行く。少し背伸びしてそぞろ歩きするなら銀座だし、ちょっと遠出して横浜に行くこともあるかもしれない。

じゃあ、池袋は?駅直結のデパートやでっかい電気店、大きい本屋もある、便利な街というイメージかもしれない。でも、池袋って実は「演劇の街」なのだ。

池袋では、12月9日まで「東京芸術祭2018」が開催中。野田秀樹演出や海外から招く注目の演劇から、国内外のアップカミングなアーティストの作品上演、伝統芸能、アジアの気鋭たちを招く公演やワークショップまで、さまざまなプログラムを約3か月間にわたり展開する。

と言っても、なじみのない人にとっては何を観に行くかが問題だ。せっかく観るなら面白いモノが見たい。そこで、数ある中からギンザがピックアップした3つをご紹介。無料やワンコインなど、気軽に見られるものも目白押しなんです。

一流の音楽劇がワンコイン!?しかも会場は西口公園!

ある世代以上の人には(失礼!)「池袋ウェストゲートパーク」としても記憶に残っているだろう、池袋西口公園。駅の西口を出てすぐ、芸術劇場の手前にある広場だ。柵もなく、普段は通り抜けていく人も多いこの公園で、『野外劇 三文オペラ』が上演される。

『三文オペラ』と聞いてピンとこない人も、「マック・ザ・ナイフ」の名でも知られるクルト・ヴァイル作曲のメロディはきっと知っているはず。ジャズのスタンダードナンバーにもなった名曲だ。ストーリーは、乞食を生業とする強欲な男が牛耳る貧民街を舞台に、色男のギャングと乞食王の娘が、ひと目惚れで結婚してしまったことに始まる。二人を別れさせようと躍起になる乞食王は、スパイを送り込んだり、警官を脅したり、あの手この手で迫ってくる。都市を生き抜く人々の痛快なドタバタ劇は、良い面も悪い面も、人間臭さムンムン。

劇場とは異なり、都市のネオンや雑踏に晒されるこの会場は、否応なしに現実と結びつく。経済優先の社会、一部の人や組織が振りかざす権力、どんどん広がる格差。金融恐慌とナチス台頭の時代に書かれた劇なのに、今の世界に置き換えてもまったく違和感がない。戯曲の舞台は、約100年前のロンドンの貧民街。今なら都市のストリートにこそ、そのリアリティがあるだろう。舞台上から投げられた矢が、気づいたら自分に刺さってた……、なんてことになるかも。

会場となる池袋西口公園に立つ、演出のジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ氏 Photo: Kazuomi FURUYA

チケットは、なんとワンコイン(500円)!普段演劇に行かない人にも楽しんでもらいたいという想いがつまった、破格の価格設定だ。最近は演劇も音楽もチケット代が高騰気味。それが理由ではじめの一歩を踏み出せない人も多い。だからこそ、この東京芸術祭という“お祭り”で、一流の舞台をみんなで楽しんじゃおう!というわけ。あいにく、前売りチケットは完売。でも大丈夫。当日券も出る予定で、しかも無料で観劇できる桟敷エリアも用意されている。ふらっと立ち見はもちろん、ポータブルな椅子を持ち込んでの観劇もおすすめだ。

無料でも見られるからと言ってクオリティを疑うなかれ、クリエイションは超一流。演出は、イタリアを代表する演出家のジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ氏。70年代に映像を取り入れた舞台をいち早く作り、80年代には街路を歩く俳優の後を観客がついていく公演など、思いもよらない演出を数々生み出してきた。近年は『トゥーランドット』など、オペラの大作も手掛ける巨匠が、どんな演出を見せてくれるのか楽しみだ。俳優は、有名無名を問わず、完全にオーディションで選ばれた15人。彼らがコルセッティ氏の演出に挑む。

東京の“愛くるしさ”を創り出す

注目したいのは、その衣装。auのCM『三太郎』シリーズや、映画『パンク侍、斬られて候』『るろうに剣心』などなど、個性豊かな衣装やスタイリングで大活躍の澤田石和寛氏が手掛ける。目下構想中の衣裳デザインについて、ご本人からお話を伺った。どうやら、今回はつくり方がちょっと違うらしい。

「映画や広告の仕事では、しっかりとしたコンセプトをベースに創作することがほとんどで、“キャラクターデザインでキャラクターをコントロールしすぎてしまう”ことがあります。開けた演劇を目指す『野外劇 三文オペラ』では、そういった作業に堅苦しさを感じ、役者の魅力を最大限に活かすアプローチを考えました。」(澤田石さん)

そこで、演出家はもちろん、役者自身のアイデアも聞きながら進めることに。具体的には、広めに揃えたワードローブから、演出家や役者と一緒に1着ずつ着ていって感想を言い合い、イメージを絞り込んでいく。このプロセスを共有することで、演出家の好み、衣裳デザイン、役者のイメージが混じり合い、皆でキャラクターを理解していくことにもつながっているという。とても贅沢な作り方だ。そうやって生み出される個性豊かなキャラクターに共通するのは“愛くるしさ”。きっかけは、演出のコルセッティ氏から聞いた話だった。

「この演劇を理解するための、ひとつのイメージとして、演出家が『色々な街に行って、移動してきたトラックの上で上演する劇団がイタリアにある。お客さんは自分たちの家から椅子や座布団を持って観に来る』という話をしてくれました。この話を聞いて、フェデリコ・フェリーニ監督の映画『道』に登場する、ジュリエッタ・マシーナの”愛くるしさ”が想起されました。そして、衣裳に求められているのも、キャラクターの”愛くるしさ”を創作することではないかと。」(澤田石さん)

そのヒントは、「イタリア人であり、イタリアを拠点に生活している演出家が視る“日本の魅力”を理解すること」にあった。コルセッティ氏から発せられた「日本らしいビジュアルのアイデア」「彼の目に写る魅力的な”日本”」を形にしていくことで、衣裳デザインは進んでいく。

「個性的なビジュアルでありながらも、ハートフルで愛くるしいキャラクターを生み出そうとしています。なかでも、娼婦役の3名のビジュアルはとても東京的で痛快。秋葉原、歌舞伎町、原宿、という様なキーワードで創作していて、ゴスやメイド、アイドル、サドマゾ、などと言った日本のサブカル的なイメージが入っています。これも日本でしかできない『三文オペラ』のアイデアでしょう。古き良き日本家屋の似合いそうな夫婦が登場したり、成人式で浮かれている新成人の様な結婚式が行われたり、ストリートファッションに身を包んだ男たちも登場します。」(澤田石さん)

都市をキーワードにするところなんて、まさに東京版『三文オペラ』!コルセッティ氏ならではの世界観だ。海外の演出家だからこそ見える現代日本の姿がある。それは、「当たり前過ぎて見逃していたり、目を背けていたり、私たちが普段なかなか省みることのできない“日本の魅力”」(澤田石さん)だ。“愛くるしい”今の東京を体現する『野外劇 三文オペラ』のキャラクターたち。これを見逃す手はない!

ガラス細工のように儚い、家族の物語

日本でも人気の高い、テネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』。自分の価値観が絶対だったがゆえに夫に出て行かれた母と、コンプレックスを抱え、極度に内気な姉ローラ。家庭の家計を支える弟トムは、そんな家の状況に不満がある。そこへ、弟の同僚でローラがかつて淡い恋心を抱いた青年ジムが現れて……。たった4人の登場人物ながら、それぞれの人間関係やすれ違いが絶妙で奥深いこの作品は、1945年にNYのブロードウェイで上演され大ヒットして以来、世界中の観客から愛されてきた。今回は、より儚く繊細に美しい舞台美術とともに、そのフランスバージョンが上演される。

向こうが透けて見える薄膜の奥で展開していく4人の物語。うすぼんやりした見え方は、まるで白昼夢かのようだ。そもそもこのお話は、トムの追憶として語られている。この舞台美術は、トムの「悪夢のようになつかしい、家族の物語」(公式HPより)を表しているのだろう。

© Mammar Benranou

オリヴィエ・アサヤスやフランソワ・オゾンの映画でも知られるドミニク・レイモンが、母アマンダ役というのも見もの。演出と舞台美術を手掛けたダニエル・ジャンヌトーはこう言っている。「この作品では人生が意味を欠いた経験として描かれています。それでも、この経験は時として強烈な美しさを放つのです。呆然としてしまうほどの美しさを。」思い出の中の家族の情景を、ぜひともファンタジックな舞台美術とともに楽しんでみて。

映画から演劇へ。『珈琲時光』の次のかたち

2004年に公開された映画『珈琲時光』は、台湾映画界の巨匠・侯孝賢監督が小津安二郎『東京物語』にオマージュを捧げて撮った作品。東京に暮らすフリーライター・陽子を一青窈が、彼女に思いを寄せる青年を浅野忠信が演じ、都電や神保町、鬼子母神などを映した静かで美しい映像は、日本と台湾ではもちろん国際的にも高く評価された。台湾の青年の子供を身ごもり、ひとりで育てると決めた陽子を見守る、両親や周りの人々。何気ない日常の様子から家族の在り方が浮かび上がる、素晴らしい映画だ。

その映画にインスピレーションを得た舞台版『珈琲時光』が、10月24日、25日に上演される。日本と台湾の国際共同制作で、演出家や俳優も日台混成チームとなっている。原作映画や小津映画をモチーフとしつつ、家族や歴史、街など主題の異なる短編がゆるやかに紡がれていくという。かつて、台湾の監督が映した東京で暮らす人々が、日本と台湾の俳優によってどう演じられるのか。こちらはなんと無料(!)。早めに予約をすべし。

舞台版『珈琲時光』イメージ

集中して観た後はお腹が空くというもの。池袋は北口にでっかいチャイナタウンがあるし、エスニック料理も充実している。『孤独のグルメ』にも登場した中華料理店「中国家庭料理楊2号店」は芸術劇場のすぐ傍。こうなったら、お腹をいっぱいにして帰るしかないでしょう。

この3つ以外にも「東京芸術祭2018」のプログラムは盛りだくさん。ここからチェックしてみて。観たいものが決まったら、池袋に通ってみよう。気づけば休日や仕事帰りに「あ、劇場にでも行くか」なんて、池袋を頭に浮かべることになっているかもしれない。

野外劇 三文オペラ
会場: 池袋西口公園
日程: 10/18(木)~10/28(日)(10/23(火)は休演)
時間: 各日19:00から
上演時間: 120分(予定)
上演言語: 日本語
チケット: 自由席(整理番号付)500円 ※前売りは完売。当日券・無料観覧エリアあり、小雨決行
詳細URL: tokyo-festival.jp/2018/program/1686

 

第七劇場×Shakespeare’s Wild Sisters Group
日台国際共同プロジェクトNotes Exchange vol.3
珈琲時光
会場: 東京芸術劇場シアターウエスト
日程: 10月24日(水) 19:00、10月25日(木) 15:00
※受付開始、ロビー開場は開演の60分前、開場は30分前
上演時間: 約100分(途中休憩なし)
上演言語: 日本語・中国語(日中英字幕付)
チケット: 自由席(整理番号付)、無料(要予約)
詳細URL: tokyo-festival.jp/2018/program/1718

 

ガラスの動物園
会場: 東京芸術劇場プレイハウス
日程: 10月27日(土) 15:30、10月28日(日) 15:30
※受付開始は開演の60分前、開場は30分前
上演時間: 約135分
上演言語: フランス語(日本語字幕付)
チケット: 一般3500円(前売)、4000円(当日)/ U29 2000円(前売)、2500円(当日)/ いずれも全席指定
詳細URL: tokyo-festival.jp/2018/program/1699/

 

▼チケット取扱い・予約受付【東京芸術劇場ボックスオフィス】
・電話 0570-010-296(休館日を除く10:00〜19:00) ※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、利用不可。
・窓口 営業時間10:00〜19:00 (休館日を除く)
・WEB 東京芸術祭2018 チケット特設サイト
※24時間受付(メンテナンスの時間を除く)

Text&Edit: Satoko Shibahara

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