24 Feb 2023
「東京・春・音楽祭2023」開幕。上野に世界のクラシックの才能が集まる

2023年3月18日(土)から4月16日(日)まで、桜咲く上野を舞台にクラシック音楽の祭典が開かれる。国内外の一流アーティストによるオペラやリサイタルが目白押しだ。
桜の季節の上野公園と言えばお花見。でも、実は花だけでなく美しい音をも愛でられる。今年で19回目となる「東京・春・音楽祭」。上野恩賜公園の開園150年の2023年、3月18日(土)から4月16日(日)の間、珠玉のクラシック音楽とともに季節が進む。
クラシックを普段から聴いている人はもしかしたらあまり多くないかもしれない。でもそんな人にこそ、この春上野に出かけてみてほしい。不朽の有名作にはかならず理由があるし、古典とはある時代の革新的作品が現代に残ったもの。そして今この瞬間にも、世界中の才能が新しい音楽の歴史を積み重ねている。そんなことを感じられる音楽祭なのだ。
「東京・春・音楽祭2023」の目玉は、なんといってもまずオペラ。入門者にも親しみやすい有名タイトルが、最高峰のメンバーで演奏される。
イタリア・オペラからはヴェルディの「仮面舞踏会」をリッカルド・ムーティが指揮する(2023年3月28日、30日)。ドラマチックで濃厚な愛の物語が繰り広げられる。
ドイツものでは、マレク・ヤノフスキ指揮・NHK交響楽団演奏の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が上演される。ワーグナーにしては珍しい喜劇で、花嫁をめぐる歌合戦を描いた名作だ。
けれど、いわゆる「王道」ばかりじゃないのが本音楽祭の楽しいところ。参加アーティストのインターナショナルで個性的な顔ぶれは、さすが東京。「今」のクラシック界を一望できる。
たとえば、若き天才の名をほしいままにするキット・アームストロング。彼は今回ピアニストとしてステージに立つが、作曲家でもあり、物理学や純粋数学も修めた異能の人。知的で繊細なタッチで、1520~2023年の鍵盤音楽を5夜にわたって披露する(4月1日、4日、6日、8日、10日)。
日本の若手にも注目したい。3月30日(木)にリサイタルをする佐藤晴真は、日本人初のミュンヘン国際音楽コンクール チェロ部門優勝者、齋藤秀雄メモリアル基金賞など24歳にして受賞歴は華々しい。オーケストラやピアノよりは馴染みがないかもしれないけれど、チェロの音色はとても温かく深みがある。特段クラシックファンでなくても、音楽祭だと、こういったソリストの公演に挑戦しやすい。それも醍醐味だろう。
もう一つGINZA的おすすめは、上野ならでは!のミュージアム・コンサート。美術館や博物館の中で聴く室内楽は格別。国立科学博物館でモーツァルトやベートベンに耳を傾け、東京都美術館の「エゴン・シーレ展」に合わせて選ばれたブラームスやマーラーに酔ったり…。サロンのような親しみやすい規模感で、ゆったりと演奏に浸れる。
文化の集積地・上野。クラシック音楽と、絵画や建築との交差を感じるのも楽しい。桜の花が開き、散っていくまでの約1カ月。存分に音楽を浴びたい。
【東京・春・音楽祭2023】
会期:2023年3月18日(土)〜4月16日(日)
会場: 上野恩賜公園内施設(東京文化会館、東京藝術大学奏楽堂、旧東京音楽学校奏楽堂、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、上野の森美術館、国立西洋美術館)他
住所: 東京都台東区上野公園5-45
チケット: 公演ごとに販売。
*公演によっては25歳以下割引あり。
*ライブストリーミング配信(有料)チケットが2月25日(土)12:00に発売。対象公演はこちら。
問い合わせ: 03-6221-2016(東京・春・音楽祭サポートデスク)
*受付時間は月水金 10:00~15:00
Text: Motoko KUROKI