トム・フォード7年ぶりの監督映画『ノクターナル・アニマルズ』が公開。映像美、劇中に登場するアート作品、衣装に注目!!

トム・フォード7年ぶりの監督映画『ノクターナル・アニマルズ』が公開。映像美、劇中に登場するアート作品、衣装に注目!!

ファッション界の生ける伝説、トム・フォードが高評価を受けた『シングルマン』(2009)以来、7年ぶりに監督を務めた恋愛ミステリー映画『ノクターナル・アニマルズ』が日本で11月3日に公開されます。

 テキサスに生まれ、俳優を志し、アートに傾倒していたトム
映画の話に入る前に、本作に関係してくるトムのプロフィールをおさらいしておきましょう。1961年、テキサス州に生まれたトムは、ニューヨーク大学で美術史を専攻、編入したパーソンズ美術学校で建築を学ぶ傍ら、俳優を志してCM出演も果たしています。スタジオ54ではアンディ・ウォーホルらと親交を深め、ファッションやアートの世界に傾倒。

その後ファッション業界で才能を発揮し、グッチ、イヴ・サン=ローランのクリエイティブディレクターを経て、2005年にはシグネチャーブランドを設立します。と同時に、映画制作会社フェイド・トゥ・ブラックも設立。2009年に『シングルマン』で鮮烈なデビューを果たしたのです。

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小説・過去・現在が交錯するストーリー
注目の2作目は、1993年に出版されたオースティン・ライトの小説「ノクターナル・アニマルズ」を大胆なアレンジで実写化したもの。主人公はアートギャラリーのオーナーとしてバリバリ働き、夫とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送るスーザン(エイミー・アダムス)。そんな彼女の元にある日、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてきます。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容でしたが、元夫の非凡な才能を読み取ったスーザンは再会を望むように。彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか——。

トムが「人間関係すらも、あまりに安易に捨てられる廃棄の文化にあって、忠誠、献身、愛を語ります」という物語は、過去、現在、そして映画の中の小説という複数の世界を行き来しながら展開。舞台の一部を原作にあるアメリカ北東部から故郷である西部テキサスに変更したことも、リアリティの追求に一役買っています。

ジェフ・クーンズにダミアン・ハースト、アート作品も必見
透徹した美意識が小道具、衣装、細部にまで貫かれた本作ですが、主人公がギャラリーオーナーということで特に注目したいのが、劇中に登場するアート作品。ちなみにトムはアートコレクターとしても知られていて、彼が2010年にオークションに出したウォーホルの作品が3,200万米ドルで落札されたことは話題になりました。本作には彼のコレクションも登場しています。例えば、スーザン宅のリビングにあるモビール彫刻は、アレクサンダー・カルダーの《23 Snowflakes》(1956)。トムの所蔵品です。

★アレクサンダー・カルダー

アレクサンダー・カルダー《23 Snowflakes》

また、ジェフ・クーンズのステンレス製のオブジェ《Balloon Dog》(1994-2000)、ダミアン・ハーストの死んだ動物をホルムアルデヒドで保存した《Saint Sebastian, Exquisite Pain》(2007)は、トム自ら映画への使用許可を取得したもの。それらの作品は、きわどい境界線上で揺れ動く登場人物たちの心をときにセリフよりも如実に描き出しています。

衣装はギャルソン、ガレス・ピュー、シャネルetc.
トムが監督を務める映画の衣装担当となるとプレッシャーがすごそう……なんて妄想してしまうけれど、今回2度目のタッグを組んだアリアンヌ・フィリップスはトムが信頼を寄せる衣装デザイナー。「衣装はファッションではない。単に服を着ることではなく、登場人物をつくり出すこと、物語を動かすものだ」「映画は服を売るための宣伝ではない」というトムの考えに共感し、「トム・フォード」の服は使用せず、衣装を構成しています。

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主人公スーザンの衣装はほとんどアリアンヌによってオリジナルで制作され、女優エイミーに「これ以上に美しいワードローブを着たことはないと断言できる」と言わしめた。

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美術館スタッフが身につけているのはコム・デ・ギャルソン(ヴィンテージ)のハーネスとガレス・ピューのパンツ。

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スーザンの母親(左)の白いスーツはシャネルによるオートクチュール。彼女が積み上げてきたステータスや富を印象付ける。

豪華布陣で数々の賞を受賞
最後に映画の記事らしく、キャストと賞の紹介を。まず、主人公のスーザン役を演じるのは、『メッセージ』での好演も記憶に新しい実力派女優エイミー・アダムス。そして別れた夫、エドワード役は、『ブロークバック・マウンテン』『ナイトクローラー』などで知られる人気俳優ジェイク・ギレンホール。この二人の共演というだけでそそられる映画ファンは少なくないはず。

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エドワードとトニー2役を演じるジェイク・ギレンホール。

『キック・アス』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアーロン・テイラー=ジョンソンは本作でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。『マン・オブ・スティール』のマイケル・シャノンはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

また、作品としては、第73回ヴェネツィア国際映画祭ではコンペティション部門で金獅子賞を争い、審査員グランプリを獲得。世界中で数多くの賞を獲得しています。

さまざまな角度から楽しめる、味わい深い作品をぜひお見逃しなく。

 

映画『ノクターナル・アニマルズ』

11月3日(金・祝)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
上映時間:116分
配給:ビターズ・エンド/パルコ
公式サイト:nocturnalanimals.jp

©Universal Pictures

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