日本人が愛したウィンザーチェア。この秋「日本民藝館」で英国気分を味わおう

日本人が愛したウィンザーチェア。この秋「日本民藝館」で英国気分を味わおう

ウィンザーチェアってどんな椅子? 名前は知らなくても、誰もがかたちを見れば知っているはず。シンプルな見た目、木の自然で素朴な美しさが表れたこの椅子は、家庭のダイニングや喫茶店、図書館など、いろんなシーンで使われている。日本民藝館で開催中の『ウィンザーチェア ―日本人が愛した英国の椅子』は、日本各地から有数のウィンザーチェアのほか、欧米の多様な椅子がかつてない規模で集められた展覧会だ。

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ウィンザーチェアとは、簡単に言えばすべて木製で、座板に脚がささり、背もたれがついた椅子のこと。17世紀頃、イギリスの町家や農家で日常的に使われていたカントリーチェアが原型で、その後ロンドンに伝わり、広く使われるようになった。ガシガシ使える頑丈さが農家や労働者といった一般の人々に好まれた一方、貴族がガーデン用やフォレストチェアとして使っていたのだとか。ドラマ「ダウントン・アビー」では、使用人が休憩に使っていたりする。名前には諸説あるが、ロンドンの家具職人が、「ウィンザーの方から運ばれてきた安物のカントリーチェア」とちょっと蔑んで呼んだのが由来とされている。都会の家具職人が作る高級で精巧な椅子に比べて、飾らない見た目はちょっと田舎っぽく見えたのだろう。けれど、そのシンプリシティこそが、人気の理由。その価値観の変化は大きかったに違いない。

展覧会では、これでもか!というほどのたくさんのウィンザーチェアが並び、圧巻の一言。英国でもここまで集めるのは難しいと言われるほど、日本には優品があるんだそう。

なぜ日本に英国の椅子が? そのきっかけのひとつが、民藝運動の創始者である柳宗悦と陶芸家の濱田庄司にある。彼らは1929年にイギリスに赴き、イギリスの家具類約300点を求める。それを東京のデパートで展示販売したのだ。つまり、彼らは民藝の目利きでもあり、今の言葉で言えばやり手のバイヤーでもあったというわけ。

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その後、同じく民藝運動に参加していたバーナード・リーチや芹沢銈介、池田三四郎もこの魅力に取りつかれ、熱心に蒐集、愛用した。そのコレクションの一部も、今回の展示で見ることができる。

展示では、ウィンザーチェアのほか、欧米各地の椅子も見られる。流木をそのまま使ったものや、子供用のいかにも手作り感のある椅子など、素敵なものがいっぱい。個人的に、これ欲しい……と思ってしまうものの多くが芹沢銈介氏のコレクションだった。

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英国で作られたものだけれど、木は日本の木造の家や室内にもぴったり合う。なるほど日本で人気が出るはずだ。椅子だけでなく、テーブルや水差し、食器などを置いてダイニングを再現したコーナーも。和洋がここまでしっくり合うのかという民藝の審美眼を感じる。 R0000339_R

これまた可愛らしいのが、椅子とともに展示されているグレゴリオ聖歌の楽譜やイコン。柳宗悦はこれらを「個人的な芸術ではなく、集団の仕事として制作されてきたもの。後のルネサンス期で失われてしまった美しさが多く見られる」と高く評価していたそう。どこか力の抜けてしまうほっこりとした絵や造形は、ウィンザーチェアにもつながる。

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同じ会場で見られる併設展には、民藝館のコレクションから企画展に合わせた品々が。格子柄の絣や生地はイギリスのチェックにも通じるデザイン。民藝館のゆったりした空間で、心ゆくまで英国の生活の美を味わってみて。

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『ウィンザーチェア ―日本人が愛した英国の椅子』

会場:日本民藝館(〒153-0041 東京都目黒区駒場4-3-33)

アクセス:交通・京王井の頭線駒場東大前駅西口より徒歩7分

開館時間:10:00-17:00(入館は16:30 まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館し、翌日振替休館)

入館料:一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円

お問合せ:03-3467-4527

mingeikan.or.jp

柴原聡子

建築設計事務所や美術館勤務を経て、フリーランスの編集・企画・執筆・広報として活動。建築やアートにかかわる記事の執筆、印刷物やウェブサイトを制作するほか、展覧会やイベントの企画・広報も行う。企画した展覧会に「ファンタスマ――ケイト・ロードの標本室」、「スタジオ・ムンバイ 夏の家」など

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