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自分の世界を広げる、読みもの案内。エシカルファッションプランナー・鎌田安里紗さんの「エシカルについて考えたくなる3冊」

自分の世界を広げる、読みもの案内。エシカルファッションプランナー・鎌田安里紗さんの「エシカルについて考えたくなる3冊」

気がつけば、同じジャンルの本ばかり手にとっていませんか?普段、触手を伸ばさないジャンルの知識や考えを深められる読みもの(小説、漫画、WEBサイトetc..)を、その道に詳しい方に伺います。エシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さんには、「エシカル」について考えたくなる本を教えてもらいました。


鎌田安里紗

鎌田安里紗/エシカルファッションプランナー
@arisa_kamada

衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響を意識する“エシカルファッション”に関する情報発信を行いながら、ファッションブランドとのコラボレーションによる製品企画、衣服の生産地を訪ねるスタディ・ツアーの企画などをしています。モノがどこからどんな風に自分のもとに届き、どこへ行くのかということにとても興味があり、ちいさな疑問や興味があることを実験する、参加型の暮らしの実験室「Little Life Lab」を主宰しています。

そもそもエシカルに興味を持ったのは、10年前、販売員のアルバイトとファッション雑誌のモデルの仕事をしていたことがきっかけでした。毎日たくさんの服に囲まれる中で次第に生産背景に興味を持つようになり、情報を集めていきました。すると服づくりの過程で、自然環境や働く人々に及ぶネガティブな影響があることを知ったんです。

「もっと健康的にファッションを楽しむ方法はないのだろうか」と模索していくうちに、哲学を持って美しい服づくりを行うブランドさんたちにも出会いました。そうした“希望”と“課題”の両方を知ってもらう機会を作ることが、いつの間にか自分の仕事になっています。

今着ている服も、さっき食べた果物も、今朝飲んだコーヒーも、この文章を打ち込んでいるパソコンも、全部どこかで誰かが作ったもの。5年前にバングラデシュの服づくりの工房を訪ねたときは、そのことを腹の底から実感しました。

“エシカル”は英語で“倫理的”という意味ですが、何をもって自分の選択が「エシカルだ」と言えるのか、そこに一つの正しい答えはありません。エシカルという言葉は「見て見ぬふりをしていることはない?」と私たちに問いかけます。答えのない中で、考えることをやめないために伴走してくれる3冊の本を紹介します。

 

1.『ためらいの倫理学』内田樹

(角川文庫)

本

この本を読む前と後で、明確に、私は別の人間になったと思います。「正義」が傷つける人、「正義」が生み出す問題についてよく考えるようになりました。どこにも、誰にも、絶対的な正しさはない。けれど、正しさについて考え続けることをやめてはいけない。環境問題や動物福祉やフェミニズムや、そのほかあらゆる正しさについて考えるとき、自分と異なる立場をとる人にとっての正しさと、自分にとっての正しさのズレが何なのか、どこかや誰かに負担が偏らないようにするためにどうしたらいいのか、多様な立場から考えることを忘れないようにしたいです。

 

2.『おしゃれとエコって両立するの?』ヴァネッサ・ファーカーソン

(講談社)

本

ゆるいタイトル、ゆるいイラスト、ゆるい文章、だけど中身は硬派なこの本。カナダで暮らし働く著者が自分の生活を通してエコを実践し、その中で感じた矛盾や葛藤を包み隠さずユーモラスに綴った記録です。エコと言いつつ、自然環境だけでなく、動物福祉や人権についても触れられています。「マイバッグってほんとにエコなの?」「旅はしたいけど飛行機はエコじゃないよね?」「遠くから運んでくる有機野菜と地場の農薬使用の野菜、どっちがエコなの?」日常で必ずぶつかる素朴な疑問を、筆者・ヴァネッサの記録を追いながらじっくり考えられます。

 

3.『自分の仕事をつくる』西村佳哲

(晶文社)

本

社会は、あらゆる人の仕事でできています。小さな選択の積み重ねが、社会を良くも悪くも変えていく。つまり、社会を変える方法は、一人一人の手元にある。そのことの再確認から始まるこの本では、“いいもの”を作る人々の働き方を探っていきます。私は「エシカルなものって?」と聞かれたとき、「誇りを持って語れること」と答えることがあります。さまざまな正しさが入り乱れる中で、作り手に後ろめたさがないことは一つの信頼になる。自分が自分で納得できる仕事を実現することはなかなか難しいことですが、それは自分自身だけではなく、たくさんの人々を満たす方法なのかもしれません。

鎌田安里紗

1992年、徳島県生まれ。高校在学中に雑誌『Ranzuki』でモデルデビュー。エシカルな取り組みに関心が高く、イベントやものづくりの企画プロデュースを行っている。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。オンライン型の暮らしのちいさな実験室「Little Life Lab」主宰。

instagram: @arisa_kamada  Twitter: @arisa_kamada  Little Life Lab: HP

Edit: Ayumi Kinoshita

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