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自分の世界を広げる、読みもの案内。ハブモアカレー店主・松崎洋平さんの「スパイス料理が作りたくなる3冊」

自分の世界を広げる、読みもの案内。ハブモアカレー店主・松崎洋平さんの「スパイス料理が作りたくなる3冊」

気がつけば、同じジャンルの本ばかり手にとっていませんか?普段、触手を伸ばさないジャンルの知識や考えを深められる読みもの(小説、漫画、WEBサイトetc..)を、その道に詳しい方に伺います。“野菜とスパイスとインド飯”をコンセプトに掲げる、ハブモアカレー店主の松崎洋平さんには、読んだらすぐに「スパイス料理」が作りたくなる本を教えてもらいました。


松崎 洋平

松崎洋平/ハブモアカレー店主
@havemorecurry

「ハブモアカレー」というスパイス料理屋を表参道でやっています。旅が好きで(最近はあんまり行けていませんが…)、特にアジアや中東などにあるゴチャゴチャした国に行くと心身ともに整います。旅から帰国後、現地で食べたものの記憶や感覚、雰囲気を思い出すのに苦労するタイプです。でも1度思い出せればそれ以降は簡単にアクセスできるようになるので、旅に行けていない最近は頻繁に記憶にアクセスして、脳内旅行を楽しんでいます。

もともとカレーが好きで独学でカレーを作り始め、気がつくとカレー屋を始めてしまいました。自分の中で美味しいと思うカレー、面白いと思うカレーを突き詰めていく過程でアジアを中心に色んな場所に行き、さまざまなカレーと呼ばれるものを食べました。それで「面白いな」と感じたのが、カレーという食べ物の自由度の高さでした。カレーという言葉自体が、ちゃんとした定義をするのがなかなか難しいのですが、「これはカレーだよ!」って言って出されたら、「それはカレーなんだ」っていう、料理ジャンルとしての大らかさや曖昧さみたいなところがすごく好きです。

しかし、そういう自由な感覚でカレーを作っていると、徐々に一般的に認知されるカレーというものとは乖離してしまいます。まぁそういうところもカレーの持つ“懐の深さ”でカバーできると思っていますが、自分の作っているものやお店の料理をうまく伝えるには“スパイス料理”と言った方が良いのかなと最近は思っています。そんな料理を出す店をやっていて、影響を受けた3冊を紹介します。

 

1.『スパイスの本』桐島龍太郎

(婦人画報社)

本

60年前の日本で発刊された、某食品メーカーの広報担当者によるスパイスの指南書。今ではスパイスのリストとして載せて大丈夫なの?と思うスパイスもあり、当時のスパイスへの見識が垣間見られます。特に「スパイス物語」という章での、スパイスの起源や流通への考察がユニークな表現で綴られていて面白いです。同じ章で日本はスパイスの真空地帯だけど、日本らしい「穏やかなスパイスの使い方」があると記載されていて、日本人に受け入れられやすいスパイス感を考える上で大きなヒントになりました。装丁もとても素敵です。

 

2.『アート オブ シンプルフード』アリス・ウォータース

(小学館)

本

オーガニック料理のカリスマとして、世界で最も注目を集めるアリス・ウォータースの完全レシピ集。写真が豊富でファンシーなレシピがたくさん載っているようなレシピ本ではないけど、料理に対する姿勢や哲学が詰まっています。うちの店のコンセプトを考える上で基盤になった本でもあります。

当たり前の事ですが、飲食店をやっているといろんな事や問題が起こります。その対応に日々追われていくうちに、店を始めた時のモチベーションや信念みたいなものを見失いそうになる事があるんですが、そういう時にこの本を読み返すようにしています。「食べ物は尊いということを忘れずに」などといった、裏表紙に書かれている9つの料理原則が金言。全て実現するのはなかなか難易度が高めですが、これを意識しながら店作りを進めていけば間違った方向にはいかないだろうなと思ってます。

 

3.『ナシレマッ』古川 音

(Malaysia Gohan Kai)

本

マレーシアに行ったときによく食べたナシレマッ。ナシレマッとはマレーシアの国民的ご飯料理で、粳米にココナツミルク、塩を加え、タコノキ属の葉などで……という、通り一遍な説明をするよりも、この小さな本をぜひ読んでほしいです。読んでいてとにかく楽しくなって、著者のナシレマッへの愛が伝わる一冊です。そしてこれでもかという程に込めらている圧倒的な情報量、ナシレマッ屋台の売り上げ事情など、他にも興味深いトピックが盛りだくさんです。コウケンテツさんのインタビューで、「ナシレマッには宇宙を感じます」とありましたが、この本の構成にも宇宙を感じます。

松崎洋平

東京・表参道にある「ハブモアカレー」店主。スパイス料理における“フュージョン”や“ローカライズ”のような手垢のついたワードの再解釈をテーマに、お店とケータリングを中心に活動中。エキゾチシズムを感じられる、スパイスと素材の組み合わせを探しています。

instagram: @havemorecurry  Twitter: @havemorecurry  have more curry: HP

Edit: Ayumi Kinoshita

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