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自分の世界を広げる、読みもの案内。エッセイスト・ものすごい愛さんの「恋愛に効く3冊」

自分の世界を広げる、読みもの案内。エッセイスト・ものすごい愛さんの「恋愛に効く3冊」

 

気がつけば、同じジャンルの本ばかり手にとっていませんか?普段、食指を伸ばさないジャンルの知識や考えを深められる読みもの(小説、漫画、WEBサイトetc..)を、その道に詳しい方に伺います。札幌在住のエッセイスト・ものすごい愛さんには、「恋愛」のヒントがもらえる本を教えてもらいました。


ものすごい愛

ものすごい愛/エッセイスト
@mnsgi_ai

もともと薬剤師として馬車馬のごとく働いていましたが、趣味としてTwitterを楽しんでいるうちに文章を書くお仕事をいただけるようになりました。締め切りギリギリにヒーヒー言いながら原稿を書きつつ、大きい鍋で大量の肉を煮込んだり、夜中に長時間の散歩に出かけたり、お風呂上がりにベランダでお酒を飲んだりと、毎日明るく楽しく、札幌で暮らしています。好きなものは大きい氷を入れた白ワインとドトールと名探偵コナン。回転寿司では最初と最後にアジを食べます。

わたしは恋愛にまつわるエッセイを書かせていただいていますが、恋愛は義務ではないので、したくないのであればしなくていいし、したい人だけがすればいいものだと思っています。人それぞれ、得意・不得意、置かれている環境、望んでいる存在、守ろうとしているルール、そしてそれらに付随する愛のかたちがあり、時として変化もしていくはずです。それでいい、むしろそうあるべきではないでしょうか。愛のことなんて、きっとみんなよくわかってないし、説明だって上手にできるものでもないと思います。

作業机

わたしの作業机。ここでいつもエッセイを書いています

今回紹介させていただく読み物は、どれも「恐らく、それがこの人にとってのハッピーエンドなんだろうな」という作品たちです。さまざまなかたちの人間模様と物語に触れ、自分に対して「こういうのもアリじゃん」と思える手がかりになればうれしいです。

 

1.『Love,Hate,Love. 』ヤマシタトモコ

(祥伝社)

本

わたしの中の、ベストオブ恋愛漫画です。バレエダンサーになる夢を諦めた男性経験ゼロの貴和子と、彼女の隣人で大学教授の縫原。28歳と52歳のゆっくりと進む年の差の恋に、萌えが、きゅんが、ときめきが、ものすごい。貴和子が初めて恋をした縫原から発せられる、独善的とはかけ離れた穏やかできれいな言葉に、いちいち心を鷲掴みにされてしまいます。

“スキ”と“キライ”は山ほどあって、いつだってスキとキライを行ったり来たりしていたはずなのに、2人のスキの中間を見つけていくやりとりと、これから新しいスキがますます増えていく予感に、どうしたってときめきが止まりません。

 

2.『かの人や月』いくえみ綾

(集英社)

本

ごくありふれた平凡な家庭で育った三兄妹、それぞれが主人公の連作短編。雑多でうるさくてたまに鬱陶しくも思うけれど、ひたすらに温かい個性豊かな大家族、そしてそこに自然と加わって馴染んでいく、これまた個性豊かな三兄妹の恋愛相手たち。とにかく登場人物全員が愛おしくって仕方がない物語です。

当たり前に存在している安心感の中に、ふいに「これはね、当たり前じゃないんだよ」と気づかされるような、やさしい瞬間があります。彼らの物語がずっとずっと続いてほしいと願わずにはいられない、何度読み返しても心が温かくなる作品です。

 

3.『きらきらひかる』江國香織

(新潮社)

本

アルコール依存症で心が不安定な笑子と、同性愛者で恋人がいる睦月の、きっと“普通”じゃない結婚生活。わたしは、“普通”とか、“みんなそうだから”とか、“結婚ってそういうものだから”とか、そういう決めつけに対して「ア〜!ごちゃごちゃうるせぇな!」と思うのです。でも、きっとそれに囚われている人も多いはず。

不器用な登場人物たちの、傷つけたり傷つけられたり、許したり許されたり、受け入れたり受け入れられたりしながら、時にそれらができない自分に戸惑い必死に踠きながら、自分の中に確実に存在する愛を守ろうとする直向きさに、誰しもが救われます。江國香織さんが紡ぐ美しい文章が、まるでわたしたちが持つそれぞれの愛を肯定してくれているような、やさしい一冊です。

 

【番外編】『命に過ぎたる愛なし』ものすごい愛

(内外出版社)

本

図々しくも、拙著をおすすめさせていただきます。恋愛相談の本は、相談者を強い言葉でバッサリ切ったほうが、きっと読者としてはスカッとするしエンタメとしてもおもしろいのだと思います。しかし本書では、決してそれをしていません。だって、人生を決めていいのはその人自身だけだから。正解は出さないけれど、選択肢の提案と一歩踏み出す後押しを。共感はできなくても、尊重を。恋愛に限らず、老若男女問わず、今必要とする部分だけを掻い摘んで、ハッピーに生きていくためのヒントを見つけてほしいと思います。

ものすごい愛

札幌在住。エッセイスト。恋愛WEBメディア『AM』にて「命に過ぎたる愛なし」、大和書房WEB「今日もふたり、スキップで」にて連載中。その他、yom yom vol.56(新潮社)、DRESSWEZZYDybe!にエッセイを寄稿。著書に『ものすごい愛のものすごい愛し方、ものすごい愛され方』(KADOKAWA)、『命に過ぎたる愛なし 〜女の子のための恋愛相談』(内外出版社)がある。

instagram: @mnsgi_ai
Twitter: @mnsgi_ai

Edit: Ayumi Kinoshita

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