17 May 2018
上田義彦とファビアン・バロンによる光と影の写真集

写真家、上田義彦氏による、光と影をテーマにした最新写真集『68TH STREET』が限定発売された。デザインと造本を手がけたのは上田氏が信頼を寄せる世界有数のトップディレクター、ファビアン・バロン氏。完璧な美しさでモノクロームの印画紙に描かれた深淵な写真群とバロンによる工芸的なデザインは必見だ。写真展やイベントも開催される。
写真家上田義彦が取り下ろした最新作
上田氏は1枚の紙をモチーフに、ニューヨーク68丁目の部屋で刻々とその姿を変える光を追いかけた。上田氏にとって命題であった、写真の宿命である光とそれによって生まれる影をモノクロームの印画紙に定着させた。撮影した作品は、撮影後、旧知のアートディレクター、ファビアン・バロン氏に託され、撮影された時間軸そのままに軌跡として刻印された。上田氏とバロン氏は雑誌『Visionaire』以来、25年ぶりの共演となる。
© Gallery 916
編集は菅付雅信氏。上田義彦氏の集大成的写真集『A Life with Camera』をはじめ、森山大道、マーク・ボスウィック、ジェフ・バートンなどの写真集に携わり、『はじめての編集』や『物欲なき世界』など多数の著書がある。通常の印刷の3倍という高精度印刷とUVインクとエンボス加工を施した日本の印刷造本技術の粋を極めた作品となっている。
ファビアン・バロン氏より
「この写真集は上田義彦にとってパーソナルで観る人が彼の心の奥にある考えをたどる旅のような作品です。彼の作品は一度観たら頭から離れなくなります。被写体は彼の人生であり、全てを理解し感じ取るまでは、彼は次に進みません。その行動は彼の作品に揺るぎない一貫性と、アーティストであるために必要な脅迫的なまでの執念を示しています」
上田 義彦 Yoshihiko Ueda
写真家/多摩美術大学グラフィックデザイン学科教授
1957年兵庫県生まれ。24歳の時プロフェッショナルとして写真家の道に入る。以来、透徹した自身の美学のもと、さまざまな被写体に向き合うことになる。ポートレート、静物、風景、建築、パフォーマンス等、カテゴリーを超越した作品は国内外で高い評価を得る。2015年には自身の30余年の活動を集大成した写真集『A Life with Camera』を出版。代表作のひとつであるアメリカンインディアンの聖なる森を捉えた『QUINAULT』(1993)は、その後も上田を森に誘い、2017年には約30年ぶりに再びQUINAULTの森、そして日本の屋久島の森、春日の森を撮影し、写真集『Forest 印象と記憶1989-2017』にまとめた。2014年、日本写真協会作家賞を受賞。同年から多摩美術大学教授として後進の育成にも力を注ぐ。
ファビアン・バロン
1959年、フランス生まれ。ニューヨークを拠点とする世界で最も著名なアートディレクター、クリエイティブディレクターのひとり。グラフィックのみならず、香水ボトルや家具等のデザインも行い、写真家としても活動する。雑誌ではいままでにイタリア版とフランス版の「ヴォーグ」、アメリカ版「ハーパース・バザー」のアートディレクションを手掛け、また「Interview」のクリエイティヴディレクターも30年近く手掛ける。
ブランドでは、カルバン・クラインのキャンペーンやパッケージなどのトータルブランディングを長年手掛け、他にディオール、バレンシアガ、ヒューゴボス、バーバリー、ミュウミュウ、プラダ、ヴィクター&ロルフなどをクライアントとし、マドンナのアルバムジャケットや写真集のデザインを手掛けている。フレグランス財団からフレグランス界のオスカーとなるフィフィデザイン賞を受賞。アメリカファッションデザイナーズ評議会の特別賞受賞。
© Mert Alas & Marcus Piggott
上田義彦写真集『68TH STREET』
著者:上田義彦
体裁:B4変形(天地360mm×左右254mm×厚さ23mm)/ハードカバー/クロス掛け/エンボス加工/フランス装/140ページ/4C印刷/1000dpi製版/シュリンク包装/バイリンガルテキスト
定価:¥10,000+税
限定1,000部(国内書店販売は300部のみ)
編集・発行:ユナイテッドヴァガボンズ
問い合わせ:トランスビュー Tel: 03−3664-7334
上田義彦『68thStreet 光の記憶』展
会期:〜2018年5月20日
11:00〜20:00、土日・祝日11:00〜18:30
会場:ギャラリー916
入場料:一般 ¥800、大学生・シニア(60歳以上) ¥500、高校生¥300、中学生以下無料
上田義彦+奥山由之トーク開催!
上田義彦氏と若手世代を代表する奥山由之氏が68thを巡って対談。
日時:2018年5月27日 14:00〜
会場:青山ブックセンター本店
http://www.aoyamabc.jp/event/68thstreet/