28 Jul 2020
編集者・コクブユウがGINZAガールに薦めるプレイリスト vol.8「Obscure Beach」

メインストリームからニッチな端っこまで、古典から最新曲まで、ジャンルを横断しながら日々音楽を楽しむコクブユウさん(編集者)が、GINZAガールのためにテーマごとに選曲するプレイリスト連載。今回は『Obscure Beach』。ブラジル、ガーナ、イスラエル、ラトビア、ペルー…etc. 夏に聴きたい素晴らしき辺境的音源から”シャチ”や”ウミウシ”などの海洋生物を思わせる楽曲。都会的なヒップホップやパンクテイストも混ぜながら一辺倒ではないポップなプレイリストを制作。夏の特大号33曲!
Yu Kokubu
編集者
Playlist Theme:Obscure Beach
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「あいまいで、解しがたくて、へんぴで、世にも知られてない。こと”オブスキュア”。中々ハードルの高い単語ですが、今回は満を辞してオブスキュア・ビーチ!最近『原稿も楽しく読んでるよ』という声を頂くので、連載開始1周年を(勝手に)記念して、珍しく音楽のことを書こうかなと思います!
珍しいでいうと、Jim Nollmanの’82年作『Orcas and Waterphone』はすごいですよ。1人の男が”シャチ”と奏でる異種間コミュニケーションサウンドですから。海洋生物系だとDavid Toopによる”ウミウシ”の曲も100秒という短曲ながら凄まじい聴き応え。そういえば、チアゴ・ナシーフ(アート・リンゼイの秘蔵っ子)の新譜聴きましたか?夏になると南米をはじめ異国のリズムやムードを体が欲しますが、今回は彼の新譜にも参加してるジョナス・サーのインパクトあるジャケ(Apple Musicではコンプラでトロピカルなモザイク付き)から可愛いらしい1曲や、大大大好きなサンパウロの知的でストレンジな楽団RUMO、色気ダダ漏れのGui Tavaresなどを。
他にも異国要素はたっぷりで、ラトビアのIngus Baušenieksによる浮遊するメロディーと異質な言語が交錯する美曲、エチオピアやガーナ等の秘蔵音源などもリリースするベルリンの注目現行アフロレーベル〈PHILOPHON〉からはガーナ北部に住むフラフラ族の伝統弦楽器コロゴの奏者でありシンガーのGuy One、ペルーの兄弟バンドLos Beta 5、そしてイスラエルからはミニマルな木琴音とユニークなラテン・リズムにより誘われること必至のRed Axesと、Radio Trip(ジャケ格好いい)の印象的なインタールード!
で、これだけ書くとあっち系(どっち?)っぽいですが、コテコテは苦手なので、この夏必聴のSokoやStanding On The Cornerの新作、今年私的に最も聴いてる『quilting』などとびきりのシティ感で中和させつつ、ドクター・ドレー、N2Deep…etc. の夏らしいドドド真ん中ヒップホップも少々。あ、あと単にいま気分のサンフランシスコのぽんこつガールズバンド『Inflatable Boy Clams』やDory Previnなど、詩人として魅力的な女性アーティストも加えて、真夏のおもちゃ箱系プレイリストを制作してみました。
ふー。結構書いたはいいけど、”あいまい”という意味をもつオブスキュアをしっかりめに説明するって本末転倒ですよね(笑)。今回は特大号で33曲!エンジョーイ、夏。」
Playlist
1 Los Beta 5 / Sobre el Arco Lris
2 Guy One / Suro Yuama
3 N2DEEP / Back To The Hotel
4 Alan Hawkshaw, Brian Bennett / Alto Glide
5 Ingus Baušķenieks / Lidojums Uz Sauli
6 Jean-Pierre Huser / La marche des marchands
7 Little Simz / 101 FM
8 Beverly Glenn-Copeland / La Vita
9 Cabuco / Ada
10 Standing On The Corner / G-E-T-O-U-T!! The Ghetto – Pt.1
11 Parliament / Mothership Connection(Star Child)
12 Dr. Dre / Let Me Ride feat. Jewell
13 Melanie Charles / Without Us
14 Allysha Joy / Know Your Power
15 Radio Trip / Stop
16 Jonas Sa / Fundo de Olhar
17 ゆらゆら帝国 / 太陽のうそつき
18 RUMO / Satélite
19 Gui Tavares / Sabiá na Palmeira feat. Rodrigo Campello
20 Dory Previn / The Obscene Phone Call
21 A Bossa Elétrica / Sob a Luz Do Sol
22 Red Axes / Sun My Sweet Sun
23 David Toop / Sea Slug
24 Jim Nollman / Orcas and Waterphone
25 quilting / espero que te mueras (metafóricamente)
26 Bee Gees / Until
27 El Michele Affair, Bobby Oroza / Reasons
28 荒井由実 / 瞳を閉じて
29 O.V. Wright / That’s the Way I Feel About Cha
30 Soko / Don’t Tell Me to Smile
31 Big Hard Excellent Fish / Imperfect List – Pt. 1
32 Inflatable Boy Clams / I’m Sorry
33 Devonwho / lo
Artwork: Yuu Takamizawa Edit: Karin Ohira