家族、時間、記憶───。長島有里枝と竹村京、2人の作家の「まえ」と「いま」が交差する作品展

家族、時間、記憶───。長島有里枝と竹村京、2人の作家の「まえ」と「いま」が交差する作品展

第一線で活躍する同世代の作家、長島有里枝と竹村京。家族が生きた時間とそれにまつわる記憶を現在にオーバーラップする展覧会、長島有里枝× 竹村京「まえいま」が2019713()から群馬県高崎市の群馬県立近代美術館で開催される。作家によるトークやワークショップなど関連イベントもあり、2人の作家が描く物語に様々な角度から触れることができる。


作家の過去と現在が高崎で交差

本展は高崎市にゆかりがある2人の作家による競演だ。家族、時間、記憶など 2人に共通するテーマに焦点をあて、本展のために制作された新作と、それに連なる過去の作品によって構成されている。

デビュー以来、身近な人をモデルに家族や女性のあり方を問う作品を発表し、執筆や映像などジャンルを超えた活動を続ける長島有里枝は、これまで高崎市出身の祖父母の記憶を幼少時のエピソードとともに短編集に綴り、祖母が撮影した花を作品のモチーフにしてきた。今回の展示では、祖父母の遺品を使い、家族が生きた時間と自らの現在を繋ぐ。

新作『過去完了進行形』(トップ画像)は、長島の祖母が遺した大量の押し花素材を印画紙の上に直接並べて焼き付けた作品。亡き祖母がやり残した仕事を継承している。
『過去完了進行形』より 《ミモサ、アカシヤ》 2019年

長島有里枝 SWISS 祖母の花の写真のインスタレー ションショットNo.1 群馬県立近代美術館 展覧会長島の短編集『背中の記憶』(2009 年、講談社)には、祖母の遺品の中から発見された庭の植物の写真をめぐる一文があり、それらの写真を長島が撮影した作品や遺品を使ったインスタレーションが出品される。『SWISS』より 《祖母の花の写真のインスタレー ションショットNo.1》 2007年 東京都写真美術館蔵

長島 有里枝 Yurie Nagasima

1973年東京生まれ。93年に自らの家族を撮ったシリーズが注目を集め、「URBANART #2」展でパルコ賞を受賞。95年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。98年、文化庁新進芸術家在外研修員としてアメリカ合衆国に留学。99年、California Institute of the Artsファインアート科写真専攻修士課程修了。2001年、蜷川実花、HIROMIXとならび第26回木村伊兵衛写真賞受賞。10年、『背中の記憶』で講談社エッセイ賞受賞。15年、武蔵大学人文科学研究科博士前期課程修了。17年、東京都写真美術館で「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」が開催された。本誌GINZAで「you are so cute!」を連載中。


一方、竹村京はドイツ、ベルリンに留学し、シドニー・ビエンナーレに出品するなど同地を拠点に世界各地で活動を展開。写真やドローイングに刺繍を施した布を重ねた作品によって、 失われたものの存在やその記憶をとらえている。2015 年に帰国して高崎に居を構えた竹村にとっても、家族とそれにまつわる記憶は制作の重要なテーマだ。

今年、竹村は東京で暮らす両親を高崎に呼び寄せ、それに伴い実家は取り壊された。今回の作品では、東京と高崎、過去と現在をオーバーラップさせ、群馬で生み出された最新の絹糸「蛍光シルク」を用いて記憶や時間の作品化を試みている。竹村京 蛍光シルク 群馬県立近代美術館 展覧会

竹村が感じ取った記憶や思いは、写真の前にかけられた透明な布に施された絹糸による刺繍で表現されている。暗闇で不思議な光を発する作品は絹の新しい魅力も発信している。《Playing Cards in Mirrors》 2013-19 年 [撮影:木暮伸也]

竹村京 群馬県立近代美術館 展覧会 作品

《Between Tree, Ghost has come》 2011年 [撮影:木暮伸也]

竹村 京 Kei Takemura

1975 年東京生まれ。98 年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2002 年、東京藝術大学美術研究科修士課程絵画専攻(油画)修了。04 年ベルリン芸術大学(ローター・バウムガルテン研究室)卒業。04-07年文化庁芸術家在外研修員。その後 15 年までベルリンを拠点に活動。06 年、第 15 回シドニー・ビエンナー レ、08 年「アーティスト・ファイル 2008 -現代の作家たち」(国立新美術館)出品。近年の個展に、16 年「なんか空から降ってくるよ」(タカ・イシイギャラリー 東京)、18 年「どの瞬間が一番ワクワクする?」(ポ ーラ美術館 アトリウムギャラリー、箱根)がある。現在、高崎在住。

【関連イベント】

■オープニング・パフォーマンス 竹村京「Curtain for Opening」
2019年7月13日(土) 14:30 ~ /ゲスト・パフォーマー:安藤洋子(ダンサー)
会場: 群馬県立近代美術館1階ギャラリー ※観覧無料・申込不要

■アーティスト・トーク 長島有里枝×竹村京
2019年8月25日(日) 14:00~15:30
会場: 群馬県立近代美術館2 階 講堂/ 定員: 200 名(先着順) ※聴講無料・申込不要

■ワークショップ
1 竹村京「あなたの大事な、壊れてしまったものについて」
2019年8月4日(日) 13:00~16:00 /対象:小学4年生~一般

2 長島有里枝「拾ったもの、大切なものを日光写真に撮ろう」
2019年8月18日(日) 13:00~16:00 /対象:小学生~一般(小学3年生以下は保護者同伴)

会場: 群馬県立近代美術館 2 階 アトリエ/ 定員: 各20名 ※参加無料・要申込

■学芸員による作品解説会
20919年7月24日(水)、8月10日(土) 各日14:00~15:00 ※要観覧料・申込不要
※各イベントの詳細、申込方法についてはホームページ、または問い合わせを。


 長島有里枝×竹村京「まえといま」 Yurie Nagashima x Kei Takemura; Now ⇄ (and) Then

会期: 2019年7月13日(土)~9月1日(日)9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
休館日: 毎週月曜日(ただし 7月15 日、8 月 12日は開館)、7 月 16 日(火)
会場: 群馬県立近代美術館 展示室1
住所: 高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内
観覧料: 一般¥610(¥480 )、大高生¥300 (¥240) ※( )内は 20 名以上の団体割引料金*中学生以下、障害者手帳等を持つ方とその介護者1名は無料
問い合わせ: 群馬県立近代美術館 TEL027-346-5560 

http://mmag.pref.gunma.jp/

Text&Edit: Hiroko Chihara

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