『Screen Tests / A Diary』復刻版。A.ウォーホールのスタジオ「FACTORY」の空気感がこの1冊にギュッと凝縮

『Screen Tests / A Diary』復刻版。A.ウォーホールのスタジオ「FACTORY」の空気感がこの1冊にギュッと凝縮

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「アンディ・ウォーホル」と聞けば、何を思い浮かべますか?キャンベルスープ缶?マリリンモンロー?

もちろん彼が元々商業デザイナー・イラストレーターとして活動していた背景や「ポップアート」のジャンルを築きあげた経緯には、シルクスクリーン作品は欠かせない存在です。が、それら彼の代表的な作品を大量生産していたスタジオが「FACTORY」。つまり「工場」。1960年代のニューヨークカルチャーの発信地だったサロンとして歴史に名を残してます。

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Originally Published in 1967, BY Kulchur Press © Gerard Malanga

そもそもウォーホルが活躍した1960年代はアメリカにとって激動の年で、カウンターカルチャーや同性愛者によるデモ、キング牧師の誕生など様々な文化革命が起きている年でした。同時にマリリン・モンローの突然死やケネディ大統領の射殺など大衆に衝撃が走るようなニュースも次々と飛び込み、みんなが政治に関心を少なからず持つような時代。

その中で、ウォーホールは大衆に分かる社会的アイコンを逆手に取って、モチーフとして続々と作品を生産していき「ポップアート」を確立。また作品制作を行う一方で、18歳まで親友がいなかった彼は、とにかくどうしたら人に見向きされるかどうか考えます。人間を俯瞰して見た結果「みんな結局のところパーティがあるところに集まる」という大衆の原理に気付き始めるのです。

そんな彼のアート作品を「大量生産」するコンセプトと人々の集う場所が相まって、「FACTORY」が誕生。建物一面は、工場さながらに銀色のアルミホイルで埋め尽くされ、様々な著名人が馬鹿騒ぎを繰り返すようになります。同時にウォーホルはその場でシルクスクリーン作品や実験映像を生み出していきます。

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Edie Sedgwick from [Screen Tests / A Diary] © Gerard Malanga

そのファクトリーで初期に手がけた実験映画として知られた作品が「Screen Tests」。彼のファーストアシスタントであるジェラード・マランガとの共同作品です。ファクトリーに集う訪問者を被写体にして、固定した16ミリカメラで彼らのバストアップを撮影した映像作品。そこにはミック・ジャガーやルー・リードといったミュージシャン、トルーマン・カポーティやアレン・ギンズバーグなどの詩人、ニコやイーディ・セジウィックなどの女優やファッションモデル、画家・サルバドールダリ、ウォーホルの友人、知人が映ります。その後1967年、そのフィルムの一部をプリントした写真と、ジェラード・マランガの散文詩が淡々とページを連ねる[Screen Tests / A Diary]が刊行。

DALI, Salvador

Salvador Dali
 from [Screen Tests / A Diary] © Gerard Malanga

そして初版が刊行されてから50年目にあたる2017年、[Screen Tests / A Diary]の復刻版が実現。アンディー・ウォーホール、ファクトリーを取り巻くカルチャーについて知ることができる歴史的マスターピースは、なんと日本国内限定で発売。今回の企画に至った経緯を企画・発行を担当したPOST主宰・中島佑介さんにお伺いすると「この本のことを知ったのは6年ほど前で、ジェラードと長く親交を持たれている方が教えてくれました。その時にオリジナルを見ることは叶わなかったのですが、インターネットで検索をして、こんな本が出ていたのを知った時にとても興味を持ちました。当時、ほとんど売れなかった本だということでしたが、ポートレートの作品としても斬新で、かつアンディ・ウォーホルが関わった作品としても知られていない存在だったので、この本を改めて出版したいと思い、現在この本の権利を持っているジェラード氏に紹介してくれた友人を介してコンタクトをとり、再版ができないかと相談をしたところ、快く承諾をしてくれました。話を聞くと、これまでに何度か再版をしようと試みたことがあったようなのですが、途中でうまくいかなくなってしまい、実現に至らなかったということです。」

NICO 2

NICO 
from [Screen Tests / A Diary] © Gerard Malanga

また、本書の魅力については「1つの画角に被写体の人物が途中で切れた状態で写されている、画期的なポートレート作品が、50年前に発表されていたというのは、見所のひとつです。また、当時ファクトリーに出入りしていた60年代のアメリカ文化を築いた人物たちのポートレート集としても価値ある1冊になっています。本にも特徴があり、写真の印刷されている紙は半透明の紙に印刷されています。これは、光を通す素材のフィルムを意識したもので、この特徴がアートブック(本自体が、表現になっているようなもの)としての魅力にもなっています。本の質感は、実物を見ないと分からないポイントなのでぜひ手にとって見てもらえたらと思います。」復刻版刊行を記念して、5月12日からは恵比寿・POSTにて展示も開催。ファクトリーの現場そのものを映し出した貴重な写真群をぜひお見逃しなく。

 

[Screen Tests / A Diary] 復刻版

2017年5月12日発売

写真:ジェラード・マランガ

テキスト:河添剛/デザイン:田中義久 企画・発行:POST(株式会社limArt)

ソフトカバー/253mm x 188mm /216ページ/53図版※

2,000部/日本限定販売 /本体価格:4,800円+税

※1967年刊行のオリジナルには54図版が収録されていますが、復刻版は1図版が省かれています。

 

[展覧会概要]

Screen Tests / A Diary

会場:POST

150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3

会期:2017年5月12日(金)~6月4日(日)  12:00 ~ 20:00 月曜休

 

Yoshiko Kurata

1991年生まれ。魚座。プロデューサー/コーディネーターとして百貨店・ファッションブランドと仕事をしているほか、雑誌「QUOTATION」などでライターとしても活動している。学生時代に夢中になったロンドン、日本の2012年代ファッションからの影響が未だに続き、ファッション、カルチャー、フォトグラフィーなどを体系的に考えるのが好き。最近見に行った展示は、谷口暁彦、Ina Jang、Erin D. Garcia、GASIUSの個展。http://yoshiko03.tumblr.com/

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