ファッションを見極める確かな目を持つ識者を「おすすめする人」として、身の回りにいる〝おしゃれバランスがいい人〟を推薦してもらった。さらに、推薦された「バランスがいい人」をポートレート撮影!それぞれに個性あふれる私服の装いは、オリジナルな魅力に満ちている。はたしてバランスのよさとはどこから生まれるのか?識者と推薦された人、双方のコメントから探ってみたい。
バランス巧者の私服SNAP。memeさん「〝普通〟の中に自分らしさを宿らせる」
バランスのいい人
meme
フローリスト、「LOVELETTER」主宰
トップ: ANATOMICA デニムパンツ: KLASICA シューズ: 33/THIRTY THREE
「背が高いことがコンプレックスだった時期もありますが、歳を重ねるにつれ自分の個性と思えるように。服も靴も、夫と兼用できて便利ですよ。動きやすく、着心地がよい、無理のない服装が私の基本。年々無駄を削ぎ落とし、ストンとしたシルエットにスニーカーかワークブーツという今のスタイルに落ち着きました。
自分がアレンジする花にも通じるのですが、完璧過ぎずどこかチグハグなニュアンスになぜか惹かれてしまいます。コーディネートはその日の直感で。靴下やリップなど、細部から全体を考える日もあります。私にとって〝普通でない日〟は冠婚葬祭の時くらい。学生時代の制服もそうですが、決められた装いが苦手なのかもしれません」
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meme
2014年より、オーダーメイドの花屋「LOVELETTER」をスタート。現在、中華料理店「湯気」と新店舗オープンに向け準備中。注文はHP、インスタグラムから。
おすすめする人
井野将之
〈doublet〉デザイナー
“普通”の中に彼女らしさを宿らせる
Tシャツとデニムの合わせの可能性に驚く
「2017年の秋冬コレクションでモデルをお願いしたmemeさん。ショーのフィッティングで初めてお会いした時、Tシャツ&デニムというシンプルながらも、独特のバランス感が印象的でした。『ここがポイントです!』といった気合をまったく感じさせないラフさと、袖のまくり方や裾のロールアップといった着こなしのディテールに彼女らしさが宿っている。
memeさんを見ていると、Tシャツとデニムの合わせってこんなに可能性があるんだと気づかされます。僕にとって大切なことは“普通であること”。着る人それぞれが思う“普通”と、それを叶える独自のバランスに一番興味があるんです。ショーやヴィジュアルの撮影時に置き換えると、以前はモデルの個性と服を足して100%になるように考えていましたが、最近はその割合をあえてずらすことを意識しています。服が引き立っているのか、その人が引き立っているのか、今、その曖昧さが新鮮に目に映ります」
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井野将之
1979年生まれ。企業デザイナーを経て、2012年、パタンナーの村上高士とともに〈doublet〉を設立。2018年にはLVMHプライズのグランプリを受賞した。
トップ画像: Tシャツ: 母から譲り受けたバンドT デニムパンツ: LEVI’S® シューズ: DR. MARTENS
Photo: Kotori Kawashima Text&Edit: Sakiko Fukuhara