私がいなくなったなら、お願い、私を探してね。たとえ秋の夜でも、しとしとそぼ降る雨の日でも、お願い、私を追いかけて。あなたがいつも大事そうに抱きすくめる黒い仔猫。あの猫を探すときみたいに熱心に、注意深く、路地という路地を覗いてね。そして、長い尻尾をつかむみたいに、逃げる私の、隠れる私の長い髪を素早くつかむの。そしたら、私は大きな声で鳴いてあげる。やせっぽちの仔猫の鳴き声、ミャア! ミャア! ミャア! それから、あなたの腕に飛び込んで、いつもみたいに甘えるの。
ヒントならひとつだけ。私が着ているのは、ビームスで買ったライダース。アームのデザインがちょっとユニークなライダース。ねえ、それだけわかれば十分でしょ? ビームスで服を選ぶ女の子が好き、そう言っていたあなたなら。
赤いソックス。ビニール傘。夜の追いかけっこはまだまだ続く。濡れたアスファルトをふたりは駆ける。あなたが私を見つけ出すまで。月が私を照らすまで。