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ベルリンの上げ↑カリスマ! アーティストVAVA DUDUインタビュー! あっこのベルリン・オルタナ通信08

ベルリンの上げ↑カリスマ! アーティストVAVA DUDUインタビュー! あっこのベルリン・オルタナ通信08

ベルリンに来た頃、彼女が誰なのか知らなかったけど街で見かけていて、その存在感は自転車で通り過ぎても、絶対に振り返るインパクトだった。

私がバイトしていた古着屋で会った時、デニムのブレードをしていてかわいかった。友達にブレードを編んでいるSARA というアーティスト(その作品は去年の〈Hermès〉や〈Louboutin〉のディスプレイにも採用されていた)がいて、もしかして彼女のブレードかも、と思いきって声をかけ、名前を聞いた。

「VAVA、VAVA DUDU」。

ブレード VAVADUDU

SARAのブレードの頃のVAVA(pic by Maiko Asami)

その後、VAVAが洋服に絵や詩を描いているのを知り、私もTシャツに描いてもらった。その写真をインスタにあげたら、日本の友達から「本物のVAVA DUDU?」などと反応があってびっくり。聞くとみんな10年以上前に彼女のバッグや靴やいろいろを日本の〈A STORE ROBOT〉や〈AGOSTO SHOP〉などで買っていたらしい。

全然知らなかった。。。

VAVAのTシャツはノートの1ページにフランス語が書かれていた。「何が描いてあるの?」と聞くと「愛について」とVAVA は言った。シンプルなのに簡単に言えないそのストレートな答えにドキッとしてしまい、御多分に洩れずファンになってしまった筆者でした💘

VAVADUDU


—ファッションやアートを勉強した事はありますか?

14歳で学校に行くのをやめた。それでBEAUX ARTS de Parisの準備学校にいってアートを少し勉強した。その後17歳から23歳くらいまでエージェンシーで働きながら、ビーズで手作りのジュエリーを作ってた。

VAVADUDU 1997

97年頃のVAVA。ネックレスはVAVAの手作り。

そうしたら〈Jean Paul GAULTIER〉から連絡がきて、「コルセットを作ってくれないか」って言われたの。

 —は?ゴルチエから?いきなりですか?

もちろん代理の人が電話してきたけど、本人からの依頼。<GAULTIER>と<YSL>は私の夢だったしパリのショーは10代の頃からの憧れだった。96年か97年の彼のオートクチュールの1stコレクションの時だった。全部手作業のめちゃくちゃハードな仕事だった。

—すごすぎる!最初から学校やめちゃうところも型にはまってないですね。そもそもファッションを好きになったきっかけは?

最初からファッションに取り憑かれてた。

—ネットで少しVAVAのこと調べてきたんだけど、2001年にANDAM Prize (89年〈MARTIN MARGIELA〉から、〈VIKTOR&ROLF〉、〈JEREMY SCOTT〉、2007年には日本の〈TOGA〉も受賞している新鋭デザイナーの登竜門的、パリのファッション・プライズ) を受賞しているんですね。これも全く知らなかった。

あ、調べたね。ヒヒヒ(VAVAの独特の笑い方)。

VAVA DUDU 最近の作品

最近の作品

—この受賞があって何か変わりましたか?

Fabrice Lorrainと一緒に受賞したんだけど、この受賞でいろんな人が私たちの服を買った。Bjork、Marilyn Manson、Kate Mossとか。

—すごいメンツ!

それにMuseum of Fashionも。もちろんお金も入った。Celine Dionから連絡が来た事もあった、ヒヒヒ!そのときはまだ若かったから、Celine Dionはダサい!って断ったけどね。今ならやるかな~。あはははは。

—そして2009年にはLADY GAGAもBad Romanceのビデオで着たり、普段も着てたりするんですね。びっくりしました。

あはは、チェックした?LADY GAGAのスタイリストのNicola Formichettiはわかる?あれは彼の仕事。今はもうなくなっちゃったけどロンドンに〈PINEAL EYE〉って店があって。オーナーは日本人で、私のロンドンの根城だったんだけど、彼はそこで働いてた。その頃ニコラはまだ若くて、少年だったな。

—それにしてもすごい経歴だと思うんですが、VAVAはこの経歴にもかかわらずアンダーグラウンドの匂いしかしないから不思議。

モードの高級な世界も美しくてエレガントで大好きだけど、それだけだと物足りない。アンダーグラウンドなものと行ったり来たりしていたい。それにいつもインディペンデントでいたい。

—かっこいい。。その後Fabrice Lorrainと離れ、一人になったのはなぜですか?

5年間全部の作品を自分たちで全部手作りでやって、本当に大変だったし、何か変えたくなった。音楽もやりたかったし、雑誌でスタイリングしたり、他の事もしたかった。

—それでその後音楽活動もはじめたんですね。

今La Chatteの新しいアルバムを作ってる。フランスで録音して、年内に完成させたい。1月26日にはパリでライブの予定。去年の夏にAfrican Acid Is The Futureのパーティでライブした音源をリリースする準備も進めているところ。

VAVAの音楽のプロジェクト、La Chatteはビデオもかっこいい!映像はフランスのアーティストThomas Cap De Vileによるもの。

 

—音楽の制作とファッションの制作に違いはありますか?

同じ。

—洋服に詩を書いたり、音楽の作詞も言葉を扱っていますが、何について語っていますか?

他のみんなと同じように愛について。ふふふ。LOVE、SEX、PEOPLE、DEATH、LIFE、EROTICISM。

Vertige Profonde

去年の8月、9月にマルセイユにあるPhilippe MundaのSalon du Salonで行われた展示「Vertige Profonde」より

 

—絵のモチーフもいつもリップやおっぱいや手やハイヒールの足などどこかセンシュアルなものばかりですよね。

VAVADUDU tatoo

全然意識してなかったけど、それを見た人からセクシーだって言われてそういえばって気付いた。みんなにTATOOにしたいって言われてTATOOも始める予定。

—いつもベルリンとパリを行ったり来たりしているのはなぜですか?

両方好きな街だから。ファッションは断然パリ。オールドスクールでエレガント、シック、オートクチュール。そうね、シック。ベルリンはフェティッシュでパーティでストリート。

Vertige Profonde シーツ

こちらもSalon du Salonで行われた展示「Vertige Profonde」より

—日本にも行った事があると聞きました。日本はどうでした?

アイ・ラブ・ジャパン!食べ物も着物もCOMME des GARCONSも!

—最後にGINZAの読者に。VAVAにとってファッションとは?

ファッションは自分を表現する方法。詩的になれる。

 

ベルリンではかなり有名人のVAVAだと思うのですが、今までANDAMのこともLADY GAGAのことも、もちろんゴルチエのことなんて誰からも聞いた事がなかった。それを友達に話したらみんなびっくりしていたくらい。すごい経歴も全く振りかざさずに、ファッションはエクストリームだけど本当にリラックスした自然体な人なのでした。


VAVA DUDUのファッション・アイテムは日本では〈CEMENT〉や〈Wut Berlin〉で時々取り扱いがあるとのこと。 Facebookでも本人から時々買えます。そんなところも気取ってないのだ。

ベルリンでは去年オープンしたショップ〈WSIURA〉にて取り扱いが始まったばかり。実はショップの奥がシェアスタジオになっていて、そこでVAVAは制作を始めたらしい。

WSIURA

WSIURAのオーナーの二人、GRZEGORZ(左)とDAWID

アーティストの一点物と古着で構成される商品は、ジョークも入り交じった独特の目線で選ばれている。店内の鏡がわざとゆがんでいたり(困るけど)、洗濯物を干す網やトルコのプラスティクバッグ、ハエ取り紙までディスプレイされている

オーナーの一人GRZEGORZが手作業でつくる〈MALDOROR〉というリメイクブランドも可愛い。その他にもインディーズ・アーティストの新作が日々店頭に出る。

MALDOROR

 

こちらが〈MALDOROR〉。独学だというパターンのつぎはぎの洋服。

オーナーの二人にVAVAってどんな人?と聞いてみた。

「VAVAはファッション界の本当のパンクだと思う。ハイプから常に距離を置いて、自分の心に素直な人。」

 

WSIURA 地下

Wsiuraの地下は牢屋のような空間😱。たまたまお店にきていたpavanにVAVA DUDUを試着してもらった!可愛い💘

インディペンデントでいることを選択し、ファッション、音楽、入れ墨と表現方法を変えながらも一つ一つ手作りでどんどん形にしていくVAVA DUDU。VAVAに会えるうちはベルリンはまだ大丈夫!などと思う筆者です。

Merci 💙 VAVA

and MAL & DAWID !!

all VAVA’s photos are from VAVA’s Instagram. Arigatoo gozaimasu🙏

あっこ(渡辺彰子) akko

ベルリン在住6年目、普段は料理と、時々裁縫。レシピのビデオ作りました→eyescream.jp/culture/5904

1月30日から4月までベルリンでは〈Gianni Versace〉の回顧展があります!
retrospective-gianniversace.com/de/gianni-versace-retrospective/

Text: Akiko Watanabe

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