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〈エイトン〉とスティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』。本とコート、未来のカノン vol.4

〈エイトン〉とスティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』。本とコート、未来のカノン vol.4

長く着られる飽きのこないお気に入りのコートに似合うのは、未来のクラシックになりうる繰り返し読んでも古びない小説だ。アウターの大きなポケットは読みかけの文庫本の定位置になり、もう行き場に困ることもない。記憶に残る1冊とスタンダードとなる1着。時間の重みを感じさせる“未来のカノン”に、豊﨑由美さんの選書を通して出合う。#本とコート、未来のカノン


 

『エドウィン・マルハウス』
スティーヴン・ミルハウザー

エドウィン・マルハウス

10歳で傑作小説『まんが』を書き上げた後、11歳で死んだ天才少年の伝記を、隣の家に住む同じ年の友人が書いたという奇抜な設定によって、伝記につきまとう「どこまで本当なの?」といううさん臭さ、語りの騙り性、モーツァルトとサリエリに代表される天才と秀才の相克の物語とその歴史を浮かび上がらせる。輝けば輝くほど、しかしその一方で濃い影もさす子供時代という特別な季節の明暗。“成る”のではなく、“生まれつく”としか言いようのない芸術家の業。ここには、日本にもファンの多い作家ミルハウザーが、他の長短篇作品でも繰り返し変奏し続けている二大テーマが共にある。その意味でもお薦めしたい逸品だ。(岸本佐知子訳/河出文庫/¥1,500)

 

厚いモールスキンのキャメルカラーコートは、ラグラン風の肩が落ちたシルエット。デビュー4年、ジェンダーレスなスタイルで男女問わず評価されている〈エイトン〉。少年のように少しやんちゃに緑のニットケープとキャップを合わせて、みずみずしく、それでいてダークで濃密な子ども時代に思いを馳せる。

コート ¥190,000(エイトン | エイトン青山 Tel: 03-6427-6355)/ニットケープ ¥54,000、パンツ ¥98,000(共にプラン C | パラグラフ Tel: 03-5734-1247)/ニット ¥22,000(バトナー Tel: 03-6434-7007)/キャップ ¥7,000(バブアー バイ アレクサチャン | バブアー 渋谷店 Tel: 03-6450-5993)/シューズ ¥37,000(ピッピシック | RHC ロンハーマン Tel: 0120-008-752)

豊﨑由美 とよざき・ゆみ

『週刊新潮』『婦人公論』をはじめとするさまざまな媒体に連載を持つ1961年生まれのライター、書評家。主な著書に『ガタスタ屋の矜持』『まるでダメ男じゃん!』『ニッポンの書評』、大森望との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズなどがある。

Book select&review: Yumi Toyozaki Photo: Naoto Kobayashi, Hiromi Kurokawa Styling: Sumire Hayakawa(KiKi inc.) Hair&Make-up: Hiroko Ishikawa Model: Katya G. Text&Edit: Aiko Ishii

GINZA2020年11月号掲載

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