05 Jan 2017
COMMONOreproducts × タキヒヨー – 世界に誇る、日本のものづくり。デザイナーが信頼する、工場やアトリエに潜む魅力とは?

有名メゾンの展示会で「実はこの生地は日本の〜」と、告白されることがよくある。トップデザイナーをも魅了するその技術とはどんなものなのか? そこで4人のデザイナーに教えてもらいました。クリエイションに欠かせない、技術や職人さんから見えてきたメイド・イン・ジャパンの底力。
世界的なウールの産地として知られる、愛知県尾州、
この地にこだわっている〈COMMONOreproducts〉を訪ねてみた。
名古屋の愛知県製綿センターの中にある、〈COMMONOreproducts〉のアトリエ兼直営店。オリジナル商品のほか、山本さん自らセレクトした雑貨も並ぶ。
「店頭に並ぶアイテムの9割が尾州産です。若い職人とともに伝統技術を学び、地場産業を生かしたものづくりをしていきたい」
とデザイナーの山本洋一郎さん。紡績から織物になるまでの数多くの工程も協業の町内生産で行っているが、特筆すべきは、タキヒヨーが運営する1751LAB企画開発研究所。
ここには、「愛用していくほどに生地が育っていく、その経年変化を大切にしたものを作りたい」という山本さんの想いを叶える、希少な英式紡績機がある。
英国海軍や漁師たちが着用したPコート、ダッフルコート、トレンチコートなど、英式紡績機が紡いだウールの存在は大きい。
英式紡績機で糸から作る、オリジナル生地を使用しているイベリコウールのコート。¥56,000(COMMONOreproducts)
「糸をゆっくリと撚(よ)り合わせ、引きのばしていく。通常よりも何倍も時間がかかりとても非効率的です。でもそのゆっくりとした工程が、糸にかかるストレスを解消するので、独特のやわらかな風合いに仕上がるんです」とは工場長の神尾芳さん。
職人さん(手前)と撚りをかけている糸を観察する。デザイナーの山本さん(右)、工場長の神尾さん、テキスタイル企画開発の大門宏さん(左)はほぼ同世代で、長い付き合い。
「古い伝統や技術は、博物館に置かれても意味がない。いまの時代に合った形で使い続けるものであってほしい」
山本さんの言葉が、印象的だった。よきものづくりを〝いまの気分〟に落とし込む発想も、メイド・イン・ジャパンの魅力なのだ。
Photo: Takehiro Goto
Text&Edit: Nanae Mizushima
GINZA2016年12月号掲載