3Dプリンターを使って服を作るデザイナーもいれば、アフリカの技術に目を向けるブランドもある。あなたが抱く“ファッションの未来”とは、果たして? 年始ですもの、たくさんの夢を描いてみましょう。
お店で買うことがより価値のあるものに!?「ファッション未来予想図2017」テーマ05:未来のお買い物
未来のお買い物
〝ポチる〟はもはや日常動作。このままECは広がり続け、買い物の中心に?
ファッション提案アプリ「スタイラー」運営会社代表取締役の小関翼さんは、「業界全体でのECの売り上げはまだ9%。服については、売る側と買う側の情報格差が大きい。サイズ感や歴史などの情報は今のECでは不十分なんです」と意外な答え。
「アマゾンファッション」のバイスプレジデント、ジェームズ・ピータースさんも、「EC最大の強みは、幅広い品ぞろえ。今後の課題は、どうやったら欲しいものを見つけられるのか、そのシステムです。すでに米国アマゾンでは、出てくるものすべてが即購入できるビデオ番組『Style Code Live』が実現」と、EC第2ステージの幕開けを示唆する。
日本でも、ファッションセンスを学ぶAI「SENSY」や、EC上の服をヴァーチャル試着する「ウェアラブルクロージング」など、最新技術がスタートしている。では、リアルな店舗はなくなるの?
それには、両名とも「NO」。「お店で接客されて買うという行為が価値ある体験になる、そんな時代が来るのでは」(小関さん) 普段はサクッとECで、ゆっくり楽しむなら実店舗で。それが、お買い物の未来形なのかも。
◆ 音声・映像フル活用 ◆
Amazon USA
上: 米国アマゾンで使用できる、音声入力の専用機器〈amazon echo〉。愛称ALEXA。メイク中に、料理中に、フリーハンドでお買い物? 下: 平日朝晩放映の『Style Code Live』には人気TVパーソナリティらが出演。服だけでなく、ゲストが歌手ならCDなど、関連するものすべてが画面下のリンクからポチれる。また〈shoefitr〉では、大量の靴の3Dスキャンデータによって、商品だけでなく、手持ちの靴のデータも照合。フィット感を探りながら買い物ができる。利用は米国内のみ。
◆ 会話型アプリ? ◆
STYLER色や形などの希望を投げれば、全国のショップ店員からおすすめアイテムを教えてもらえる。店員さんとやりとりし、そのままお店のサイトに飛んで購入も可能。会話型という、オンラインショッピングの進化形がここに。styler.link
SENSY
ユーザーのファッションセンスを学習するAI「SENSY」が服や小物、コーディネートまで提案。「いいね」「いまいち」とジャッジしていくのも楽しい。アプリは国内外3000以上のブランドと連携中。sensy.jp
◆ 靴専用サービス登場 ◆
Flickfit
3D技術で、靴のヴァーチャル試着も可能に。日本のスタートアップ「Flickfit」(flickfit.jp)は、3Dスキャンした足のデータをECの商品にリンクさせることで履き心地のシミュレーションを実現。
◆ バーチャル試着 ◆
URBAN RESEARCH
アーバンリサーチ独自開発の「ウェアラブルクロージング」は、3Dで表示された洋服を4Kモニターを通してリアルタイムで試着するシステム。画面から服を選び、鏡に映った自分に合わせてトライオン! 体験型無人店舗として展開予定とのこと。
◆ もっと(!) 未来のお買い物 ◆
お買い物進化の波は、ショップにも押し寄せています。気になる商品にスマホをかざして詳しい説明をゲットしたり、店頭になくてもオンラインで色違いを探して買えたり。着替えなくても、液晶画面上で試着なんてことも! 出会いとときめきに満ちた未来のショッピングシーンよ、早く来い♡
左上 KiTeMiROOM: 楽天技術研究所は、画面の前に立つ人が着ている服を解析して、近い色のアイテムを検索するシステムを開発。ネット上の大量のアイテムを組み合わせて見せてくれるので、似合うかどうか次々ジャッジ。
左下 PhySig: 同じく楽天による新テクノロジーでは、スマホがリモコンになって、リアル世界を操作!?商品のまわりにポインターがプロジェクションで映し出され、スマホの画面上でタップすると商品情報が表示される。
右上 ウィンドウARプロジェクション: パナソニックが開発する、映像投射できる透明シート。ショーウィンドウやガラスケースに貼られ、プロジェクションで使用シーンや着用イメージを見ることも!
右下 LinkRay: パナソニックの光IDソリューション。商品を照らすLEDライトにスマホをかざせば、あら不思議。光に含まれるID信号を専用アプリが読み取って、詳細説明へジャンプ。panasonic.biz/it/light-id/#whatsID
Photo: Getty images
Illustration: WALNUT.
Text&Edit: Itoi Kuriyama, Shunta Ishigami