ジョージア、ファッションの新発信地、そしてその魅力 03: レストランと国立博物館で見つけたもの

ジョージア、ファッションの新発信地、そしてその魅力 03: レストランと国立博物館で見つけたもの

〈ヴェトモン〉のデザイナー、また〈バレンシアガ〉のアーティスティックディレクターであるデムナ・ヴァザリアの生まれ育った地としてファッション関係者から注目を集めるジョージア。首都トリビシで5月に行われたメルセデスベンツ•ファッション•ウィークに参加したスタイリスト吉村結子さんがその魅力について、全3回に分けてレポートしてくれます。

第3回目の今回は吉村さん、一軒家レストランとは国立博物館に行ってきたようです。ジョージア、と聞くと最近オレンジワインで有名ですがさてどんなメニューがあるのか、楽しみです。


一番のお気に入りは招待された一軒家レストラン、シャヴィ・ロミ

ジョージアはロシア、アジア、ヨーロッパと異なるカルチャーを持つエリアに近いため料理もバラエティに富んでいます。例えば小籠包に似たジョージアのソウルフード「ヒンカリ」。可愛いねじりの部分を指でつまんで(この部分は食べない)フォークですくい上げ、まず肉汁(とってもジューシー)をいただきます。オーダーは10個単位でした。ファッションウィークで友達になった地元っ子に連れて行ってもらいました。今回はいくつかのレストランに行った中で一番のお気に入りを紹介したいと思います。

中心部から街のランドマークであるファブリカ(外壁に特徴があるカフェやショップが入った複合施設)を過ぎると急にローカルな住宅街の景色に変わります。こんなところにレストランがあるのかな、と少し不安になるとそこ見えてきたのはユーモラスな食卓を描いた壁画が!それが今回訪ねた一軒家レストラン「SHAVI LOMI(シャヴィ・ロミ)」です。

広い敷地に建つその邸宅はノスタルジーに溢れた映画セットのロケーションを訪れたようでした。その独特な花柄や色合いに心奪われてしまいました。代々受け継がれたラグやファブリックが色とりどりにテーブルを覆っています。サーブされるお皿も料理ごとに柄や色が異なり、食器棚のお気に入りが全てテーブルに集められたんじゃないか、と思うくらい素敵でときめきが止まりませんでした。かなり個人的な趣味で作り上げられた空間がリラックスできる理由は、その人らしさがとってもオープンになっている状態からかもしれない、と食事をしながら思いました。

フムスや野菜、チーズなどを盛り合わせた前菜(正直これだけでお腹いっぱいに!笑)に始まり、小麦粉と水にヨーグルトを加えて作るハチャプリ、サラダそしてクリームスープなどを酸味のある濃いベリージュースと一緒に美味しくいただきました。ハチャプリはクレープのようなチーズ入りパンです。オーブンで焼いたジョージアのソウルフード。バリエーションも豊富で最もポピュラーなものはジョージアの中西部イメレティ地方のハチャプリです。スグルニという塩分の強いチーズが入っていて、このメニューは滞在中、毎日テーブルに上がりました。ボリュームがあるのでメインにたどり着けないので、美味しいのに毎回一切れだけいただいていました。

 

国立博物館では古代の着飾る喜びに思いを馳せて。

国立博物館(GEORGIAN NATIONAL MUSEUM)は200万年の歴史を、自然科学や民族学など他分野に渡ってたどることができる場所です。その中でやはり気になったのが衣装や装飾品のエリア。ギリシャ神話にも登場するコルキス時代の黄金品や民族衣装など国宝や、17世紀を生きたアレキサンドル三世が着ていたとされる宝飾が鋲打ちされたシャツも展示されており見応え十分です。

個人的な話になりますが、民族衣装が好きになったきっかけのひとつが、1970年代の幼少期、高橋真琴氏の「フローラ」の塗り絵に夢中になったこと。
世界中の民族衣装をまとったお洒落でキュートな女の子のディテールから国名も覚えたりもしました。

また私にとってジョージアは1991年に初めて観たセルゲイ・パラジャーノフの映画『ざくろの色』に感激して憧れたに始まります。彼はジョージアの生まれです。博物館には憧れ続けた映画の中で観たものがコレクションされていました。

博物館を訪ねて、気持ちがここで蘇り、着飾る愉しみが引き継がれ長い時間の中で文化になったその軌跡を感じました。またそういった歴史的な衣装にはアイデンティティが手作業で織りこめられており、ひとつひとつを目の前にしながら、そのエッセンスがファンタジーとして現代のモードに採り入れられ、そのつながりに感慨深いものを感じました。フローラやパラジャーノフと、今のジョージアの新しいファッションとが個人的に繋がった、今回のジョージア訪問でした。

吉村結子 よしむら・ゆいこ

スタイリスト。ファッション誌、広告、映像、コラボレーション企画など活動は多岐に渡る。ファッション誌が持つファンタジー、外国映画の素敵なシチュエーション、幼少期から観たそれらのディテールが好きでスタイリストに。おしゃれとスタイリングはドラマティックに!が信条。
旅が大好き。「新しい国に行き続ける」をライフワークにこれまで50ケ国へ。

9月から開催される岡山国際現代美術展に出品されるファビアン・ジロー&ラファエル・シボーニの新作映像作品にスタイリングで参加。ヒステリックグラマーでおなじみの「yokodoll」25周年記念の書籍プロジェクトの撮影がこれから楽しみです。秋になったら、カーリーヘアに変身してみたいです。ロングヘアのスタイルで憧れているのは90年代初頭のマルティーヌ・シットボンのキャンペーン広告の雰囲気です。マーク・アスコリのアートディレクションがかっこいい!

Text: Yuiko Yoshimura

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