GINZA:「これシルク混紡なんですよ(by. 店員さん)」……だそうです。
編集者・ライター 渡部かおり(以後、渡部):「と、言いますと?」と聞き返しましょう。恥ずかしくなんてないですよ! 疑問を持ってここへ質問していただいたことを嬉しく思います。ちなみに、シルク混紡を売りにしているということは、ウール100%生地にくらべて着心地が軽い、上品な光沢感がある、ということなのかなと推測します。
スタイリスト 早川すみれ(以後、早川):シルク混紡のシャツやカットソーは(混紡の割合にもよりますが)やわらかくなめらかな素材感で、女性らしいワンランク上の上品さを演出することができるアイテムが多いです。
スタイリスト 榊原優佳(以後、榊原):私の場合は、最低限注意することだけ覚えておいて、あとは自由にお洋服を選んでいます。まず夏にぴったりのリネン素材。涼しいしガンガン洗えるしと思って前シーズン、トップスを買ったのですが大失敗しました……。汗っかきの私は汗がしみてしまい、1日中気が気じゃなかったです。
早川:私もリネンのお洋服大好きなのですが、座りジワなど、気になることも多いので、 ジャケットやパンツはあえてリネン100%ではないものを選んだりします。
GINZA:リネン=無垢で無害、という謎の思い込みがありましたが、実は難しい素材なのかもしれませんね……。
榊原:あと私はじんましんが出やすいので、やはり化学繊維はチクチクしてかゆくなってしまいます。でももちろん化学繊維=悪、というわけではありません! 近ごろの技術は発達していますし、自分の好きな肌ざわりなどでチョイスできる時代だと感じます。
早川:私も最近「化学繊維もすごく優秀だな」と思うことが多いです。 ポリエステル混素材のシャツはシワになりにくく、パリっと見えますし、サスティナブルなお洋服の中でもやわらかい仕上がりの再生ポリエステル使ったものをよく見ます。
スタイリスト 木村舞子(以後、木村):シワができにくいのは、ポリエステルなどの化学繊維の利点ですよね。ただどうしても、肌が乾燥して着心地がチクチクするものが多いところとマイクロプラスチックによる環境汚染の問題は気になる……。あと、新たに開発された化学繊維の中には、クリーニング(しみ抜き)の薬剤やアイロンの熱で溶けてしまうものもあるんです。過去に私はアセテートで痛い目にあったことがあるので、ケアが難しい素材はおすすめしません。
GINZA:なるほど……。逆に着心地がよい素材があれば知りたいです。
木村:個人的には、洋服の素材は天然素材派です。コットン、シルク、ウールなどは、着心地がよく長持ちします。冬場は静電気も発生しにくいのもポイントです。ベーシックなアイテムは素材重視で選ぶのも手ですし、デザインが気に入っているのであれば化学繊維が入っていてもアリなのかなと思います。
渡部:生活も好きなスタイルもそれぞれなので、ズバリこれだ! と言い切れないのが実情ですよね、残念ながら。しかし、サスティナビリティをトレンドで終わらせないためにも、「素材を知ること」、「1枚の洋服がどんなふうにどんな過程で出来上がっているかを知ること」はとても重要です。知識を得ることは、自分らしい選択ができることへと太いパイプで繋がります。素材のあれこれ、今こそ、GINZAで特集したいですねー。編集長、どうでしょうー?