ファッションはどこに向かうのか? think now fashion 03 – グレン・マーティンスさん 〈Y/プロジェクト〉クリエイティブディレクター 

ファッションはどこに向かうのか? think now fashion 03 – グレン・マーティンスさん 〈Y/プロジェクト〉クリエイティブディレクター 

コレクションからのトレンド提案、ストリートからの流行……同時多発的に新陳代謝を繰り返すファッション。その奥には時代の価値観や感性、私たちがまだ気付いていない、未来への萌芽が潜んでいる。ファッションの仕事に情熱を持って取り組んでいる方をゲストに、ファッションの今と未来を聞く「think now fashion」。第3回は、2013年に〈Y/プロジェクト〉クリエイティブディレクターに就任し、ストリートウェアの要素を取り込んで話題のグレン・マーティンスさんにプロフェッサー栗山がパリコレの合間をぬって直撃取材してきました!

 

--まず〈Y/プロジェクト〉とはどういうブランドなのか教えてください。

「自由」を表現するブランドです。パリ、東京、NY、ロンドンなど、世界各地に存在する異なる文化や、さまざまな時代の要素をミックスしています。そして、ユーモアをもつことも心がけています。服を着ることを楽しんでほしいからです。たとえばふつうの袖丈かと思ったら実は極端に長く伸ばすこともできるとか。ショーの音楽も皆を驚かせるような構成にしました。オペラ調の重々しい「カルミナ・ブラーナ」から始めて「シリアスなショーなのかな」と思わせておき、次に軽快なボサノバの曲をかけ、爆音のパンクが続くんです。

 

--たしかにショーの音楽はおもしろかったです!私の好みは最後のパンクでしたが…〈Y/プロジェクト〉は今モード界で注目を集めているストリートスタイルのブランドのひとつとして挙げられていますが、それについてはどう思われていますか?

ボンバー・ジャケットが好きで、2012年にスタートした自分の名前を冠したブランドから頻繁に登場させています。ヒップホップなど、若い頃を過ごした90年代のロジックが影響を与えていることは確かです。でも、それだけではなく、エレガントさとのコンビネーションが大事だと思っています。ジャージ素材を使用していても、クチュール的な手が込んだディテールやテーラリングを持ち込み、ブランドコンセプトのように異なる国、文化、時代の「るつぼ」を服で表現したいのです。ですから、自分では従来のストリートブランドではないと考えています。

 

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--悪趣味ぎりぎりの靴も印象的ですがこれも〈Y/プロジェクト〉のものですか?

よく聞かれるのですが、実は路上で10ユーロ程度で買ったものなんです!小さいチームなので靴を作るのはコストがかかるので…アクセサリーはベルトと、オーストリア発のアイウェアブランド〈アンディ ウルフ〉とコラボしたサングラスを展開します。

 

--路上で買ったものをショーで使用するということにやっぱりストリート色を感じますが、一方でバロック様式風のディテールもブランドの特徴になっていますからね。

バロック様式はドラマティックなので好きなんです。僕の出身地ベルギーは、歴史的な建築や芸術がたくさんあって美しいところです。でも、同時に24時間営業のお店など、大量消費の象徴のような建物もある。そうしたものとエレガントさや厳格さとのコントラストが興味深いと思っています。

 

--今はパリ在住ですか?

2008年から住んでいます。最初は慣れずに大変でしたが今は大好きです。ちょっと汚いのが玉にきずですが…

 

--日本に行ったことはありますか?

2年前、休暇で10日間滞在したことがあります。東京、京都、箱根、高野山などに行きました。お寺の儀式なども見ることができ、美しく、静かで、リラックスできてとてもよかった。また行ってみたいですが、今はメンズも含めて年に4回ショーを行っているのでなかなか休みを取るのが難しいですね…

 

--今、メンズとウィメンズを同時に発表したり、See Now Buy Nowなどシステムの変動が激しいですが、それについてはどう思われますか?

僕たちは少ない人数と予算でやっていますから、今のやり方が合っていると思います。それぞれが適したシステムを選択すればよいのではないでしょうか。

 

--今後についてはどのように考えていますか?

今ブランドは非常に安定し、成長できていると思います。新しいアイデアを盛り込みながらも、これからも少しずつ発展できればいいですね。

 

--ストリートスタイルを取り入れているブランドは数あれど、バロック様式といった歴史的な薫りを漂わせているのは〈Y/プロジェクト〉ならではだと思います。まだウィメンズでは2回しかショーをやっていないのにこれだけの注目を集めているという急成長ぶりにも驚かされます。次も期待しています!

プロフェッサー栗山 Professor Kuriyama

GINZAで独断と偏見による論を自由気ままに披露している自称モード界のご意見番。その自らの好みを貫き通すファッションは周囲に「怖い」と恐れられがちで、「怖い女」の異名もとる。

Text&Edit: Itoi Kuriyama

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