〈ETRO〉の新作は、ジオメトリックなフラワーモチーフ柄です。フラワーといいつつ、どこかペイズリーを思わせるところが〈ETRO〉らしいですね。
植物と幾何学って、言葉だけで聞くと真逆の存在のように思えるんだけど、実際に絵にしてみると実に相性がいいことがわかります。
以前、ある作家が植物の魅力について「その種の中に、植物のすべての設計図が入っていること」を挙げていました。「すべてが折りたたまれて入っているんだよ」と。
子供の頃、朝顔の種をふやかして割ってみたことがあるでしょうか? 古文書のようにカラカラに乾いた種を水に漬け、やわらかくして中を見ると、やわらかな葉っぱと茎になる部分が小さく小さく折りたたまれています。
これがどんどん開かれて大きくなるのか!と思った時にはとても感動した覚えがあります。
植物の成長過程を観察すると、葉っぱは茎を支柱にまるで螺旋階段の踏み板のように配置されているし、花びらの数は、3や5や8枚といういわゆるフィボナッチ数列が現れます。
数学に萌えるように植物を愛でることってできるんですよね。いや植物だけじゃなくて、動物たちの営みも、光のきらめきも、自然界のあらゆるものを、その設計図に思いを馳せると、とても愛おしく感じます。