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1ドル紙幣をモチーフにしたドレスが話題。彗星のごとく現れた、日本人デザイナー Kota Okuda

1ドル紙幣をモチーフにしたドレスが話題。彗星のごとく現れた、日本人デザイナー Kota Okuda

今年9月、NYコレクションの時期に合わせて行われたパーソンズの卒業コレクションで一際注目を集めた日本人デザイナーがいた。Kota Okuda(奥田浩太)さん、27歳。ドル札やコインをモチーフにした大胆で視覚に訴えかけてくるその作品たちは、オーディエンスを十分に刺激し、多くの議論や意見を飛び交わさせる話題のコレクションとなった。

「女性はお金じゃない!と言い出すフェミニスト団体がいたり、コレクション写真の横に”Weekend mood”と書かれて週末のお金が飛んでいくイメージに使われたり。中には”Kotaは服にお金を使うから、それを投影させて逆転の発想で服をお金にしたんだよね?”と解釈する人がいたりもしましたね。どれも予想外の意見でびっくりしましたけど(笑)色々な人の解釈に委ねることができたり、見た人に楽しんでもらえるエンターテイメント性があるものができたことはよかったと思っています」

その反応はセレブにまで広がりを見せ、まるでフォトショされた画像が歩いてるように見える身体をお札とマネークリップで挟んだキャッチーなルックは、ショーが終わった直後にニッキー・ミナージュ本人から直接”I need it”と連絡がきたり、お財布を散りばめたルックはミュージックビデオに使いたい!とがLAにいるカーディ・Bからラブコールがあったりもしたという。そんなSNSで瞬時にコレクションが世界でシェアされる今の時代らしい注目の広がり方をしているところも面白い。

ランウェイ・コレクションで注目を集めているKotaさんだが、実は彼のバックグラウンドは「ジュエリー」。2012年より3年間ロンドンのセントマーチンズでジュエリー制作を学んだ。2016年に拠点をNYに移してからも、自身のジュエリーラインやファッションデザイナーと組んだアクセサリーラインなどの制作が本業だ。

「普段やってることはこれとは真逆。ザ・ジュエリーをやっています。財布やマネークリップがイメージソースになったのも、僕がアクセサリーを専門にしているからですし、実際、バッグや靴など小物もコレクションのアイテムに加わえました。でも、このようなランウェイでの発表は滅多にできることではないので、”ジュエリーだけれど、ジュエリーじゃない”ものを作ろうと思いました。首や腕に付けるのではなく、”身体全体に対するジュエリー”に挑戦しました。」

作品はすべて手作り。お札は紙幣をプリントした紙を布にボンドでくっつけて、張りを出した。金属で作られたように見えるビキニトップやパンツは、1セント硬貨のリンカーンの肖像部分を手で切り取ったものが組み合わされて作られている。靴は、アクリルにレーザーで彫り込みを入れて、それに熱を加えて手作業で歪めた。完成度の高い仕上がりだが、聞いて驚いたのは制作費がほとんどかかっていないということだ。ビキニトップ1つはちょうどコイン3ドル分。お札とクリップの作品も制作費は全部で26ドルくらいだという。

「価値の不思議を探求するというのが今回メインに据えたコンセプトでした。“価値ってなんだ?”ということを考えた時、例えばおばあちゃんが作ってくれた思い入れのあるセーターのようなパーソナルなものや職人の手仕事、ブランドなど、価値があるとされるものは色々ありますが、最も普遍的でみんなが理解しやすいのは“お金”だろうと思いました。そのお金をテーマにしつつ、安いものでいいものを作る。そして価値について問いかける。それが今回のテーマでした。」

狙い通り、人々を揺さぶるメッセージ性のあるコレクションを発表できた今、Kotaさんは今後ファッションの中でのジュエリーデザイナーの立ち位置を目指していきたいという。

「僕はやっぱりファッションが好きで。このランウェイでそれが再認識できました。世代的に、中高の頃はA BATHING APE®やstussyとかが全盛で。僕もそれに熱狂して並んで買ったりしていて、それがファッションへの興味を持った最初のきっかけでした。特にA BATHING APE®は靴やTシャツのデザイン違いのものが何型もあったりして、アイテムを”プロダクト”として扱ってるようなところがあって、そういう意識は、当時の日本のファッションから無意識にも影響されている気がします。またジュエリーとしては、ラグジュアリーブランドの本人たちがデザイナーだった当時のジュエリーをデザインしていたロバート・グーセンスのような人が憧れです。かつてはそうやってファッションと密接に関わっていたジュエリーデザイナーたちもいたのですが、今は少なくなってきているので、そのような立ち位置で活動していきたいですね」

ロンドンでの経験と、NYで暮らす今。その2つのカルチャーが作品制作にも影響している。

「始めてNYに来たときは、その表面的なところがすごくいいなと思いました。それで移住を決めたのですが、街も汚いし、高いし、辛かったですね。でも、最近ようやく楽しめるようになりました。やっぱり人が面白い。日本やロンドンにいても絶対出会えないようなぶっ飛んだ人たちにいっぱい出会えるのが刺激的ですね。ロンドンでは職人技術を習得することに専念していたのですが、工芸だとどうしても年月をかけて技術を習得してきている師匠を超えられないと痛感しました。今の自分にできることはないかなとファッションとの融合などを模索したのがNYでのこの2年間でした。今回のコレクションもNYだからこそ多くの方に見ていただけたのだと思います。」

奥田浩太 Kota Okuda

新潟市出身, ジュエリーデザイナー。2015年Central Saint Martins ジュエリーデザイン科を卒業し、同年イタリアの ITS (International Talent Support) ジュエリー部門でグランプリを受賞。2016年より拠点をNYに移し、今年 Parsons ファッションデザイン科を卒業。現在は、ハイジュエリーからファッションアクセサリー・コスチュームなど多岐にわたり製作中。自身のブランドに加え、Telfar,Kozaburo,Sea New York, Landlord, IHNN などファッションブランドとのコラボレーションも行なっている。@kotaokuda
www.kotaokuda.com

Text: Momoko Ikeda Photo: Omi Tanaka   Edit:Karin Ohira

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