プロフェッサー栗山の80’sファッション論

プロフェッサー栗山の80’sファッション論

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ストリート旋風も落ち着いてきて、強い服が着たい気分。80年代のパワフルが参考になりそうだが、ギラギラ派手派手にしたいわけでもない。お久しぶりです!自称モード界のご意見番、プロフェッサー栗山が今しっくりくる80年代ファッションを考察する。


2018-19年秋冬は、80年代の映画の衣装と同様に肩が強調されていたり、ビッグシルエットだったり、ボディコンシャスだったりしている。しかし、ただのリバイバルというわけではないような。そこで1973年にパリコレ取材をスタートし、80年代すでに一線で活躍していたスタイリスト、原由美子さんに当時と比較してもらった。

「80年代の盛り上がりは後で落っこちてしまう刹那的なものだというのがわかっています。だから、そのまま再現しても多くには受け入れられない。今季はベテランのデザイナーをはじめ、よく学習している人たちが着やすい感じに再解釈しています」

たしかに今季フォルムは80年代的だが、肩肘張った感じはなく、ナチュラルな佇まい。#MeToo以降、女性の声に耳を傾ける土壌が整い、80年代のように声高にパワフルさをアピールする必要がなくなってきたのか。今季は静かに強さを漂わせる装いなのである。


〈GIVENCHY〉

シャープなシルエットの〈ジバンシィ〉。40年代から50年代にかけて製作された「フィルム・ノワール」の映画を彷彿とさせる重く退廃的な空気を醸し出し、独自の方向へと導いている。

 

〈MAX MARA〉

80年代「パワードレッシング」を打ち出し働く女性たちの支持を得ていた〈マックスマーラ〉はボリューム感で強さを表現。黒いアイメイクやファッションイラストレーター、フランソワ・ベルトゥのアートワークがプリントされたTシャツ、ベルト使いなどがパンチを加えている。

 

〈BALENCIAGA〉

3-Dボディスキャンニングやデジタルフィッティングなど、ハイテクを駆使して作り上げたボディコンシャスなドレスがトップを飾った〈バレンシアガ〉。ただ、モデルは少年のような身体つきで化粧っ気はなく、メガネをかけている。ギーク感との融合が新しい。

 

〈CHANEL〉


©️CHANEL

シャネル〉を象徴するスーツも肩がスクエアになっているがあからさまではない。「80年代すでに活躍していたアーティスティック ディレクターのカール・ラガーフェルドはそのまま再現することはないと思う。当時の経験をふまえてバランスをとっています」(原さん)。

 

〈SAINT LAURENT〉

サンローラン〉は80年代のアーカイブを参照し、花々が刺繡されたパワーショルダーのドレスを発表。ナチュラルなヘアメイクとチャンキーヒールのショートブーツで力を抜いている。

 

〈FENDI〉

肩が強調されているが、素材感や色味に柔らかさもある〈フェンディ〉。構築的なライン+エレガンスは学びたい。

 

〈MARC JACOBS〉

マーク ジェイコブス〉はダイナミックなフォルム。「80年代脚光を浴びていたティエリー・ミュグレーやクロード・モンタナを思わせます。マーク自身はその頃キャリアをスタートさせたばかりでしたので、今改めてトライしてみたくなったのかも」(原さん)。ダークな色使いや雰囲気に静けさが。

Text & Edit: Itoi Kuriyama

GINZA2018年10月号掲載

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