ロエベ最新ブックに登場する日本人アーティストとは?

ロエベ最新ブックに登場する日本人アーティストとは?

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〈LOEWE〉の最新コレクタブルブック『Publication#17』でコラボレーターとして登場したアーティスト・fumiko imano。去年『little Big Man』 から出版した作品集『We Oui!』を用いた今回のコラボレーション作品が話題を呼んでいる。『We Oui!』は作品タイトル通り、セルフポートレイトをカット&コラージュすることでもう1人の自分を作り出し、まるで写真に双子が写っているかのような作品だ。10年以上撮り続けてきたその作品が〈LOEWE〉とのコラボレーションに繋がったきっかけ、今までのファッションフォトへの憧れ、『We Oui!』シリーズを始めた頃のエピソードなど話を聞いた。

loewe ロエベ 取材前に、長年作品や活動を見てきた彼女の親友のペインター・LYが今回のコラボレーションをみて「やっと今までのふみこの呪いが解けたと思う」と言っていた。まるで写真からそのまま出てきたかのようにチャーミングでハッピーな彼女を目の前にその言葉はまったく感じられなかったが、呪いの話を告げるとケラケラと笑いながら「たしかに今までなにやっても寸止め的なのはたくさんあった。同世代の人たちがビッグになっていくのに比べて、自分だけが報われないような感覚から自分を責めたりした時期を振り返ると、今回のコラボレーションで呪いが解けたかもしれない。初めてちゃんと自分を受け入れてもらえたような気がする。しかも、ずっとファンだったM/M Parisにね」あたたかく双子を迎え入れた今回のコラボレーションの発端は、急だった。

l2表紙のイラストレーションも彼女による作品

ロンドン時代に彼女の友人とM/M Parisのミカエルの弟がRCAの同級生だったことをきっかけに繋がっていた10年来の交流が、ある日のメッセージを境にコラボレーションを実現させる。しかも、まさに彼女が”呪い”にかかっている時だった。「去年写真集出した時に、だれもPRしてくれなくて悩んでた時だった。もう永遠に自分で叫んでても世の中に届かないような気がしてて、まわりの友達に相談しても『Keep going!』っていつも言われる台詞ばっかりで。そんな時に、急にM/M Parisから連絡がきたの。はじめは『え、LOEWE BOOKってなあに?』って感じだったけどね」コラボレーションの誘いといっても「ふみこのやりたいようにやっていいよ」という〈LOEWE〉撮影チームからのアーティストへ敬意を示した自由なお題が、写真に映る彼女の無邪気さをより一層際立たせた。(実際に撮影ストーリーを彼らに伝えたのは撮影当日の朝というから驚きだ。)

ロンドンのセントラル・セント・マーチンズのファインアートを専攻してた彼女は、将来への不安からLCF(ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション)のファッションフォトコースに編入。しかし、当時の彼女にはファッションフォトの前提にある「コラボレーション」が許せなかった。「LCFに新しくファッションフォトコースが設立されて、『ファッションフォトならお金になる』と思ったの。でも当時の若すぎる自分は、ファインアート気質ってこともあって自分の作品を誰にも譲りたくなかった」それでも大好きなファッションフォトを諦めきれない彼女は、当時Mert Alas & Marcus Piggottのアシスタントをやるべく電話をかけ続けたり、アポを取ってポートフォリオを見せに行ったり。兎にも角にも好きなことに対して自分を信じて邁進してきた。そうしてロンドンではフォトグラファー・Mark Lebonに師事する。

ロエベ loewe fumiko imano

その後コラボレーションを許せるようになってきたのは、自分の作品(セルフポートレート作品)が確立してからだという。そして偶然にもそのセルフポートレート作品で2002年にイエールに入選した時の審査員にM/M Parisがいたというから、殊更今回のコラボレーションはなにかの運命だったのかもしれない。「帰国してきた頃に、ロンドンであれだけ頑張ってイエールも入選したのに雑誌社まわっても誰も見向きもしてくれなくて。日本にも溶け込めないし、27歳って年齢で当たり前のことができなくてアイデンティティクライシスに陥っていた。でも作品を作り続けることによって、現実は違うけど写真の中では永遠にこどもで居られたんだよね。だから写真の中にいる彼女はすごくこどもっぽい。セルフポートレートを撮ることで、楽しかったり嬉しくなれたから自然と作り続けてきた」その現実の葛藤を励まし続けてきた「写真の中の彼女」がコラボレーションを受け止められるようになったのは、今回M/M Parisがキャスティングしたモデルであるサスキア(彼女以外の他者)と楽しく遊んでいる様子にもあらわれている。

 fumiko imano

取材が終わり、今回の作品でも着用していたパステルカラーの服に着替えている時だった。なにかを思い出したかのように試着室からひょこっと顔だけ出して「そういえばね。このまえジプシーのおばさんに『物事がうまく行かないようにされている』って言われたことあった!もしかしたらその人にずっと呪われてたのかもしれないね。しかもその占い師、最初5ドルで占うって言ってたのに話が終わったら『70ドルちょうだい』って言い初めてそんな持ってない!と思ってたのに財布見たら70ドルぴったり入ってたの!」そうやって無邪気に過去を話す光景に、もう長年の呪いは一つ残らず消え去り、写真の中に暮らす「彼女たち」と同じように多くの人に幸せを振りまくfumiko imanoがそこにはいた。

 

LOEWE 『Publication #17

1200冊限定で出版しているLOEWEのコレクタルブルブック。『Publication #17』では、パリのユネスコ本部を舞台にオランダ人モデルの Saskia de Brauwと fumiko imano ふたりのセルフポートレートをフィーチャー。Jonathan Anderson による LOEWE 2018年春夏ウィメンズコレクションを用いたスタイリングをBenjamin Brunoが担当。リミテッドエディションとなるハードカバー布装本のアートディレクションとデザインはM/M (Paris) によるもの。折り込み式ダストジャケットには、fumiko imano の2014年に発表した画集『I’m Hungry』に登場する動物たちの水彩画が描かれている。Fumiko Imanoとのインタビュービデオが入ったデジタル版はiTunes Store から無料でダウンロード可能。

fumiko imano

写真やビデオ、インスタレーションを通じてセルフポートレートを発表してきたアーティスト。彼女の『Twins』シリーズは、幼少期をブラジルで過ごし、その後のロンドンやパリでの生活や、日本に戻ってから茨城県日立市を活動拠点とした経験をきっかけに制作。35mmのセルフポートレートをカット&ペースとすることで、もうひとりの自分を作り出し、一見すると双子の姉妹を写したスナップ写真のように見えるコラージュ作品をこれまでに写真集や展示で発表してきた。WEBサイト  instagram

 作品集『We Oui!』
https://ja.twelve-books.com/products/we-oui-by-fumiko-imano

「hiruma no cho cho 」をitunesで発信中!https://itunes.apple.com/jp/album/hiruma-no-chocho/1332904953


photography : Mariko Kobayashi

Yoshiko Kurata

1991年生まれ。魚座。プロデューサー/コーディネーターとして百貨店・ファッションブランドと仕事をしているほか、雑誌「QUOTATION」などでライターとしても活動している。学生時代に夢中になったロンドンや東京のファッションから影響を受け、ファッション、カルチャー、フォトグラフィーなどを体系的に考えるのが好き。最近気になるブランドは、kotohayokozawa, perminute, SIRLOIN。
http://yoshiko03.tumblr.com/

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