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〈sulvam〉デザイナー/藤田哲平が語る“テーラードジャケット”| 押さえておきたい、メンズアイテムの基本 vol.1

〈sulvam〉デザイナー/藤田哲平が語る“テーラードジャケット”| 押さえておきたい、メンズアイテムの基本 vol.1

メンズカルチャーを起源とするアイテムの基礎知識を今日的な解釈も含めて解説。〈sulvam〉デザイナーの藤田哲平さんに“テーラードジャケット”についてお話を聞きました。#メンズアイテムの基本


 

そもそも「テーラード」とは

テーラードの意味は「仕立てる」ということ。テーラーは仕立屋さん。人の体に合わせて作られた洋服です。昔は家でも着ていたんです。寝る時ですらストレスのない着心地、これがテーラーメイドの究極。今はラペルのあるジャケットを総称的にテーラードジャケットと呼んでいます。

襟の形は諸説ありますが、将校の詰め襟のジャケットが原型だと言われていて、現代の形が出来上がったのは1920〜30年頃。スーツの発祥地とされる「サヴィル・ロウ」はロンドンの高級な紳士服店が並んでいる通り。上流階級の伊達男たちがお気に入りの店で洋服を仕立て、ステイタスを誇り、粋な遊びを極めた場所なんです。

 


 

テーラードジャケットの
覚えておきたいディテール

メンズアイテムの基本|テーラードジャケット

テーラードカラーは上の部分が襟、下がラペル。切り替え線のゴージはジャケットの顔とも言われ、襟の形や流行に左右されるもの。ゴージラインが低いとラペルが太くクラシック、高いものはラペルが細くモダンな印象になります。

ポケットは、胸ポケットと腰ポケットと内ポケット。内ポケットは懐中時計を出し入れしたり、男性の仕草にも関わるもの。腰ポケットはシルエットを保つために物は入れないという人もいます。

前ボタンは合わせによってシングルとダブルがあります。袖ボタンの部分は完全に開く本切羽と開き見せがあり、本切羽はオーダーメイドの名残。手がかかるのでその分値段も高くなります。

 


 

国別スーツスタイルの違い

メンズアイテムの基本|テーラードジャケット

イギリス、イタリア、アメリカが三大国です。イギリス式はサヴィル・ロウに代表される肩パッドがしっかり入った構築的なデザイン。男性をより男性らしく見せる重量感のあるスタイル。素材はウールが基本でツイードなども。

イタリアは、肩をリラックスさせて見せた作りが多い。比較的温暖なので薄く軽やかな生地が用いられます。薄くて軽いパッドを使用したソフトな雰囲気が特徴。80年代の〈アルマーニ〉のソフトスーツも一世を風靡しました。

アメリカはフロントダーツのないボックスシルエットでサックスーツと呼ばれるもの。動きやすさに重点をおいて、着る人の体型を選ばない。〈ブルックス ブラザーズ〉のブレザーに見られる段返り3つボタンも特徴的です。

 


 

ジャケットの基本ルール

基本的なルールとしてはボタンのかけ方。シングルの場合は3つボタンでも2つボタンでも、一番下のボタンは留めない。ゆとりを持たせることでシワが寄ったりシルエットが崩れるのを防ぐためです。作りとしても一番下は飾りボタンとしてつけていることも多い。開ける方が粋と言う感じです。段返り3つボタンは真ん中だけを留めるのがルールです。

ダブルの場合は、左右対称の位置にボタンがあるのが美しいとされるので全部留める。立っている時はボタンを留めて、座ったらシワが寄らないようにボタンを外す。

ドラマの『スーツ』は弁護士の話ですが、本国版も日本のリメイク版も、仕立てたスーツが体にピッタリ合っていて本当に綺麗に着ています。どのシーンを見ても、全員が粋な男のルールを守っていて、作法も仕草も完璧なんです。シャツとネクタイの合わせ方なども参考になりますよ。

 


 

メンズのジャケットを着るコツは?

そもそもレディスのジャケットとの違いは、女性は右前、男性は左前ということもありますが、絶対的に違うのはバスト。メンズライクな仕様で作られた女性物は、胸の立体を処理するためのダーツを見えない場所にとっている場合が多いです。

メンズのテーラードジャケット=オーバーサイズのジャケットを着ると捉えた場合、もともと体に合わないサイズを羽織っている時点で、本来のテーラードの意味とは違う訳です。ボタンを閉めて着て形が綺麗かというとそうではないですが、違うアプローチで楽しめばいいんじゃないかな。

よりメンズライクに見せたければ、ボタンを開けて羽織る。袖を通さずに肩にかけるのもいい。また、メンズのルールからは外れるけれど、パッドの入った肩と襟を後ろに抜いて着る感じも女性ならではかもしれません。ボタンを留めて、ベルトでウエストマークしても可愛いですね。

 

藤田哲平 ふじた・てっぺい

〈sulvam〉デザイナー
1984年千葉県生まれ。ショップの販売員、バイヤーを経て、2006年から13年まで〈ヨウジヤマモト〉で企画・パタンナーを務める。14年に〈サルバム〉を設立、14-15AWシーズンよりコレクションをスタート。

Illustration: Yoshifumi Takeda Edit: Naoko Sasaki

GINZA2020年12月号掲載

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