プロフェッサー栗山がモードのニュースをわかりやすく解説 – ディオールの新アーティスティックディレクター発表

プロフェッサー栗山がモードのニュースをわかりやすく解説 – ディオールの新アーティスティックディレクター発表

ディオールのアーティスティックディレクターにマリア・グラツィア・キウリが就任

 

GINZAでおなじみの自称モード界のご意見番プロフェッサー栗山による「モードそうだったのか!!」。独断と偏見を交えながら最新ニュースを嚙み砕きます。

勝手気ままな個人的意見を交えつつお送りしているこちらの連載もこのたび3回目を迎えた。

で、お気づきだろうか。3回とも新デザイナーにまつわるニュースである。やっぱりここのところのファッション業界は変動が激しいのだ。

本日の主役はこの方、マリア・グラツィア・キウリさん。

© Maripol

 

7月8日、ディオールのアーティスティックディレクターに就任した。

名前だけではぴんとこない方もたくさんいらっしゃるに違いない。彼女はその前日までピエールパオロ・ピッチョーリと共にヴァレンティノのクリエイティブ・ディレクターを務めていた。

 

ふたりはローマにあるヨーロッパ・デザイン学院在学中に出会い、卒業後に勤めたフェンディでも、続いて17年在籍したヴァレンティノでもほぼセットで動いた。だから、彼女単独でのものづくり、というのがはたしてどういうものなのか実のところよくわからない。彼らの間にどのような役割分担があり、それぞれどのような特色を持っているのだろうか。

 

確実に言えるのは、ピッチョーリ氏が男性で、キウリ氏が女性、ということだ。

男性か女性か、というのはそんなに重要?と思われるかもしれないが、私はものづくりには男女差があるんではないかと考えている。

 

男性が女性の服を手がける際には、「女性への理想」のようなものがちらつく気がする。それは、胸があって、ウエストが細くて、お尻が丸くて、みたいな体型的なことをはじめ、エレガントであってほしい、とかいったイメージ的なことなどだ。一方、女性のデザイナーの場合は、現実的だ。着心地を重視していたり、体型カバーを考慮していたり、実際に女性が服を着た時のことを具体的に内側から考えている。

 

私個人としては、理想を押しつけられてもうっとうしいし、機能性ばかり考えられても夢がなくてつまらないので「女性性」を無視+性を超越するくらいの服が好みなのだが、それはさておき当のキウリ氏はどうなのだろうか。

 

流れるように美しい細身のロングドレスが象徴的なヴァレンティノには、やはり「女性への理想」が大いに見受けられたと思う。そして、ふんだんに装飾が施されるなどデザインには夢があり、女性デザイナーに見られる現実的な機能性重視の面はあまり感じられなかった。キウリ氏はその部分を抑えていたのか、もしくは関心がないのか?「理想」部分が相棒の男性ピッチョーリ氏によるものであれば、キウリ氏は「夢」部分を担当していたんだろうか?

 

ADAGP, Paris 2016.

© Association Willy Maywald/ADAGP, Paris 2016.

 

これまで、イヴ・サンローランや、マルク・ボアン、ジャン・フランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズなどの男性陣が手がけてきたディオール。創始者ムッシュ・ディオールの作品を振り返れば、やっぱりウエストが細くてエレガントな、屈託のない「女性への理想」に満ち満ちていて、それがブランドイメージともなっている。キウリ氏は彼らに連綿と受け継がれてきた「理想」を無視するわけにはいかないだろう。

 

しかし、彼女はディオールにとって初の女性アーティスティックディレクターである。ただ単に「女性への理想」を実現するだけではないはずだ。

完璧な体型を持ち合わせている女性なんてそうそういない。粛々とおしとやかなようすを演じつつも、時には肩の力を抜きたいし、はじけたりもしたい。

そんなリアルな女心を加味しつつ、デザインには夢があって男性の理想からも遠ざからない、いい塩梅のコレクションに仕上げてくれるのかも?

新生ディオールが披露される9月30日が待ち遠しい限りです。

 

プロフェッサー栗山

Professor Kuriyama
GINZAで独断と偏見による論を自由気ままに披露している自称モード界のご意見番。その自らの好みを貫き通すファッションは周囲に「怖い」と恐れられがちで、「怖い女」の異名もとる。

Text&Edit: Itoi Kuriyama

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