男女がお互いのコレクションを自由に選べる雰囲気、そもそもユニセックス、女性にしっくりくるメンズブランド。そんなニュートラルな持ち味の服が気になりまくり。日常に溶け込むさりげなさでいて、服オタクが唸る24の注目株を連載で一挙紹介。20-21AWからピックアップしたのはすべてメンズ服。試す価値あり! #厳選ニュートラルブランド24
コラージュ感覚の〈タクタク〉、ベルギー生産にこだわる〈バージスブルック〉etc. 厳選ニュートラルブランド vol.5
tac:tac
調和の中に潜む
巧みなコラージュスキル
身長や体格が違っても、すんなりおさまりやすいパターン。シンプルなデザインながら、全体的に身幅を大きくとったシルエットで、アレンジしやすいアイテムが見つかる、デザイナーの島瀬敬章とパタンナーの島村幸大太が手がける〈タクタク〉。古着やミリタリー、ストリート、ときにはファッションとはやや距離のある学生服などといった、さまざまなテイストをソースに、気になったディテールをコラージュするような感覚が特徴。左右の色が異なるボトムや、2つの定番デザインを合体させたジャケットなど、遊び心のあるデザインをニュートラルな印象に着地させるのが得意だ。モード好きも古着やカジュアル好きも琴線に触れるポイントがきっと見つかる。
POLYPLOID
ユニークな服は
ロジカルな方法で
〈ポリプロイド〉では、ひとつの核が細胞分裂を繰り返して異なる機能へ枝分かれするように、バリエーションが生まれていく。まず、オフホワイトの生地で作る原型のA。その型を、色や質感の異なる生地で2種類のB、3種類のCに展開する。すると、同じ型でも印象の異なるアイテムが計6種類でき、それぞれに個性がある。このロジカルな方法は、素材と形との組み合わせに唯一の正解はないという、デザイナーのイゾルデ・オーギュスト・リッチリーの考えから生まれたもの。彼女は10代の頃に父の服を着たとき、女性をフラジャイルに演出しがちなウィメンズのドレスにはないパワーを感じた。そんな経験から、自身のブランドでも男女の分け隔てなく着られるワードローブを提案している。
BASISBROEK
ちょうどいいの上をいく
この質で、この価格
〈バージスブルック〉はベルギーに拠点を置く、自国での生産にこだわったユニセックスブランド。その名はフラマン語で「ベーシックなパンツ」の意味で、2004年のスタート時はパンツがメインだったそう。シーズンごとのテーマは設定せず、デザインチームは長く飽きられないワードローブを目指す。注目したいのは、驚きのコストパフォーマンスだ。100年を越える歴史ある自社ファクトリーで生産工程のすべてを行うことで、中間マージンを抑えられ、質を落とさずに、ぐっと手の届きやすい価格の実現を可能にした。ワークやミリタリーの要素を感じさせながらも、とろみやわずかに光沢のある生地を使って、どこかドレッシーなムードも漂わせている。
O project
穏やかでワイルド
新鮮なゆとりのバランス
メンズにとっても十分ゆとりのあるシルエットで、性別に関係なく着られるデイリーウェアをつくる〈オー プロジェクト〉は、アントワープ王立芸術アカデミーを卒業したデザイナー、ヤン ヤン ヴァン エシュによるベルギーのブランド。ベルギーメイドのジャージー、モルトンなどのカットソーを中心としたコレクションは、ビッグなだけに自由なレイヤードが楽しめる。ドローコードがついたアイテムなら、着る人にとってしっくりくるシルエット感も見つけやすい。いい意味で土臭さのあるテイストは、ワークウェアやミリタリーのカラーパターンと相性がよく、色味を統一してスタイリングするのもおすすめ。1〜5のサイズ展開から好みのバランスを選んで。
Photo: Kaori Ouchi Text&Edit: Yoshikatsu Yamato