1日ニューヨークの街を歩けば、アメリカ以外の国出身の人に何人すれ違うだろうか?10人?20人?30人?この街の魅力は、ダイバーシティ=多様性ということで、NYFWで感じたあんなことやこんなことの後編のテーマはモデルのお話。前編はこちらから!
すべての女性に捧ぐ!NYFWのモデル事情
今回のNYFWで個人的に強く印象に残ったことのひとつは、モデルの多様化。ゼロサイズや、人種、ヤングティーンの起用など、モデルにまつわる問題は、長い間、熱い論争を繰り広げているけれど、最近のNYFWは変わってきている。今回の〈マイケル・コース〉が発表したコレクションは、まさにその変化の代表例。
(All photos courtesy of Getty Images for Michael Kors)
ファーストルックを飾ったのは、キャロライン・マーフィー。1990年から活躍するベテラントップモデルは、小麦色の肌のヘルシービューティで会場を魅了。ピンクのタイダイ柄、大人の女性が着こなすとこんなに素敵だったなんて!
リーフ柄のプリントドレスはセクシーでグラマラスに。アメリカでは超人気モデルのひとり、アシュリー・グラハムもランウェイに登場。今回は、彼女を代表とするカーブモデルが大躍進!「#BeautyBeyondSize」をモットーにした彼女たちの活躍は、「細ければ美しい」といった間違った女性のボディイメージを払拭する。
セレブリティモデル代表はベラ・ハディッド(上)とケンダル・ジェンナー(下)。2人揃って、スパンコールが輝くブラックドレスで登場。ジジやキムといった姉の人気を後追いするようにキャリアをスタートした彼女たちだけれど、いつの間にか実力で着実にステップアップしている。
さらには、世界各国出身のトップモデルたちがこぞって登場とあって、リゾート感たっぷりの全74ルックのボリュームあるコレクションには、人種や年齢、体型の違うさまざまな女性の美が表現された。驚いたのは、それぞれのルックが実によく似合っていたということ。モデルだから着こなして当たり前だけれど、もしかしたら、これこそ幅広い層から支持を集める〈マイケル・コース〉のマジックなのかもしれない。
続いて、注目したいのは〈トム〉。「無駄を減らし、古いものから新しいものを作り、アップサイクルする。デザインはさまざまなレベルの問題を解決すること」というテーマで、持続可能なサステイナビリティを追求している。今回は、NYのパフォーマンスアートの聖地「ザ・キッチン」でプレゼンテーションを発表。
ドキドキと会場に足を踏み入れ、最初に見えたこちらのルックでもうノックダウン。花柄のイメージを覆すデザインと、凛々しく遠くを見つめる彼女の立ち姿が、なんて美しいのだろう!
クラシックバレエにポストモダンのアプローチを取り入れたダンサーPam Tanowitzに着想源を得たコレクション。会場では生演奏とともにダンスパフォーマンスが行われていた。
(All Look Book Imagery by Sara Kerens/ Courtesy of Tome)
7色の虹色をキーカラーに、ストライプやプリーツなど、クラシックなパターンや手法にモダンなアプローチを掛け合わせたコレクションは、デザインコンシャスながら、着心地の良さそうなアイテムばかり。こちらのブランドも独自の基準でのモデル選びにセンスが光る!
こんな風にモデルに関してだけでなく、NYFWがほかの都市より、群を抜いているなぁと思うのは、ツァイトガイスト(時代精神)が色濃く反映されている点。フェミニズム、政治や社会問題など、もしかしたら、それはファンタジックな美を描くファッションの世界では、時にタブーで相反することに思われることかもしれない。でも、世界で最も多様な人種が暮らす街ならでは特に、自分たちの意見について、声を大にして唱えていくことが大切。それは、NYを拠点にするデザイナー、アーティストの作品を見ると、いつも感じることだったりする。だって、結局、私たちの生きるリアル・ワールドを変えるのは、私たちしかいないから。
おっと、ファッションのお話から外れましたが、最新コレクションを見ながら、こんな風にニューヨークらしさを考えた2018春夏シーズンとなりました。