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モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー

環境負荷が高く、自動車産業と同等のCO2が排出されていると言われるアパレル産業。そんな状況を変えようとしている機関「MIL」を取材した。

MILとは?

多くの人気ブランドを傘下に持つグローバル・ラグジュアリー・グループ、ケリング。「ラグジュアリー」とは「あらゆる面で質が高いこと」と捉え、素材やクラフツマンシップ、クリエイティビティに並び、サステイナビリティも品質定義の指標のひとつであると考えている。その信念に則り、「地球温暖化」「生物多様性」「海洋」という3つの分野において実践的目標の達成を協力して目指す「ファッション協定」(2​0​2​2年7月時点で世界のアパレル企業76社が署名)を主導しているのをはじめ、100%ファーフリーを宣言するなど、ファッション業界のサステイナビリティ施策をリード。そんなケリングが、2013年イタリアにある本社内に設立したのがマテリアル・イノベーション・ラボ(MIL)だ。サステイナブルな素材やプロセスをグループのブランドのコレクションに組み込むことを目的とし、日々サプライヤーとともに開発に取り組んでいる。3800に及ぶ環境負荷の少ない素材を所蔵するライブラリーもある。

 

MILの責任者、クリスチャン・トゥビトさんにインタビュー

──MILの具体的な活動内容は?  

素材の調達、製造、在庫管理、配送、販売といった一連の流れをサステイナブルにするために、時にはスタートアップ企業や取引先などの協力を得ながら技術革新を進めています。そして、それらがグループのブランドのコレクションに採用するレベルかどうかも検証しています。

──これまでにMILが関わった代表的な事例を教えてください。

まずはリサイクルナイロン「エコニール」(1)を、2015年にラグジュアリー分野に導入したことです。

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー エコニール
(1)「エコニール」

現在ではグッチ(2・3)をはじめとするケリング・グループの全ブランド、そしてファッション業界全体で一般的となっています。

──最近ではどんな例がありますか?

昨年、ケリング・グループ内で発生した余剰のシルクに生分解性のあるP​L​A(ポリ乳酸)バイオプラスチック繊維を混ぜた「ヌーベル」(4)が完成しました。

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー ヌーベル
(4)「ヌーベル」

双方を混ぜ合わせると、とても柔らかい中綿ができるんです。着色や変色の方法もサステイナブルで、環境と社会に配慮して加工・流通されたことを示すGOTS認証を獲得しています。黒色顔料「バイオブラック・ピグメント」(5)も挙げさせてください。

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー バイオブラック・ピグメント
(5)「バイオブラック・ピグメント」

森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切に生産されているとFSC(森林管理協議会)から認証を受けた木材廃棄物によって得られます。CO2の発生はごくわずかで、化石燃料由来のカーボンブラック顔料の代替となり得ます。

──その他の画期的だった計画は?

ケリングはテキスタイル業界において初めてオリテイン社が開発した法医学的追跡を採用しています。この技術によって、素材の原産国表記を科学的に検証することができるのです。現在、各ブランドが綿素材の原産国を証明するために導入し始めています。

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー
Courtesy of Kering

──ケリングは昨年100%ファーフリーを宣言しましたが、代替素材についてはどうお考えですか?

長い毛足を再現するためにはアクリルやモダクリル繊維が適当だとされてきましたが、これらはリサイクルすることができないため、ケリング・グループのブランドは2025年までにモダクリルの使用を中止する予定です。MILは、それに代わる合成素材や天然素材の研究を行っており、この変革に参加してもらえるようサプライヤーに働きかけています。

──ファッションを消費する時に心がけるべきことを教えてください。

①洋服の素材や生産過程を意識してみましょう。販売員に尋ねても。

②常に原材料の品質を確認し、耐久性のあるものを購入すること。

③環境問題に関心を持つこと。

④サステイナビリティはクールであり、クールであるためにはサステイナブルである必要がある、ということを忘れないでください!

モード界のサステイナビリティ最前線〈MIL〉にインタビュー
Courtesy of Kering

Profile

クリスチャン・トゥビト

ミラノ工科大学で工業デザインを専攻。企業向けに素材選択をフォローするマテリアルコネクションイタリア社を経てケリングに。ビジネススクールなどで教鞭もとっている。

Photo: Wataru Kitao Text&Edit: Itoi Kuriyama

10月号

GINZA2022年10月号掲載

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