10 May 2022
人気コラボレーション「Uniqlo and Mame Kurogouchi」の第3弾がリリース!黒河内真衣子特別インタビュー

ファーストコレクションの発表から1年、「Uniqlo and Mame Kurogouchi」の3回目となる22年春夏コレクションがリリースされた。より着心地よく、より美しく進化した最新コレクションについて、その裏にある繊細な積み重ねをデザイナー・黒河内真衣子に聞いた。
「以前から〈ユニクロ〉のインナーウエアには興味があって、実際に購入して研究していました。着心地のよさをアップデートさせていく技術力に可能性を感じていましたし、その技術を用いて〈マメ クロゴウチ〉らしいデザインのインナーのシリーズを作れないか、というところからこのコラボレーションは始まっています」との言葉に裏付けられるように、3シーズン目となる今回は、これまでになく着心地にこだわったコレクションとなっている。
新素材のエアリズムシルクブレンドは、黒河内自身が素材開発にも携わり、気温も湿度も高い日本の夏を少しでも快適に過ごせるようにと、何度も試作を重ねて生み出されたもの。
「一点だけヒーローピースを選ぶとしたら?」との問いに、大いに悩みながら「一つだけは難しいので二つ挙げさせてください」と、ピックアップした内の一つがエアリズムシルクブレンドのキャミソールだ。夏は体を締め付けるインナーを着ることが苦痛だという、自身の経験も反映させて作られた取り外し可能なカップ付きのキャミソールは、カップ付きで着用してもブラジャーをつけていないかのような解放感で「絶対に私自身もこの夏にはヘビーユーザーになります」と話す。
ちなみにもう一点はエアリズムプランジ ブラスリップで、胸元が空いた服のインナーとしても、あるいは上からシースルーのアイテムを重ねても胸のカッティングがきれいに見えるからなのだとか。
一見シンプルなアースカラー中心だが、繊細なカラーパレットにも「ユニクロのスタッフの方々がびっくりするくらい、たくさんリクエストをしました」と言うように、黒河内が時間をかけて考え抜いた、細かいこだわりが反映されている。“LifeWear”というユニクロの理念の中で、日常的に使えるベーシックカラーを提案するのがこのコレクション自体において重要なことであり、さらにはベーシックな色の中に季節を感じられるように心を砕いたという。
「同じ白でも春を感じられる白はどんな白なのか、ベージュはどうか、というようなことをじっくり考えました。ほんの少しかもしれないけれど、その絶妙なアップデートというのがインナーウエアにおいては大切なことだと思っています」。
そして、ファッションデザイナーならではの発想で、色の楽しみ方も教えてくれた。
「シームレスニットのワイヤレスブラはさらしのような真っ白をイメージした白ですし、その上に重ねられるシアークルーネックシャツは少しエクリュがかっています。例えばこの二つを重ねて着たら、異なる白のレイヤードによって立体的に見える、ということも意識しました。白同士で重ねてもモダンですし、逆にエクリュの中にブラウンや黒を透けさせた着こなしもヘルシーで素敵だと思います」。
ここで話題になったシアークルーネックTシャツは今コレクションで初お目見えしたもの。「都会の夏って、室内は寒くて外は暑いということが多いですよね。そういった時に上から重ねられるシアーなトップが欲しいと思って」作られたアイテムだ。上から重ねるだけでなく、インナーとしても使えて、透け感を生かした重ね着を楽しめる。
そのほか、超薄型の吸水ショーツも今シーズン新しく加わったラインナップで、このプロジェクトに多くの女性が関わっているからこそ生まれたのだという。
「女性が不調なのは決まった日だけに限らないと思うんです。彼女たちがいつでも快適に、と同時にいつでもきれいにいられるように、インナーウエアというベーシックな部分から底上げしていきたい。これはユニクロの“LifeWear”という考え方にも通じるし、改めて素晴らしい理念だなと思います」。
一番肌に近いところに着るインナーウエアというのは、着心地や素材感がダイレクトに伝わるアイテム。だからこそ、先シーズンと何が変わったか分からない、というくらいの小さなアップデートをし続けることがとても大切だと黒河内は言う。
「見た目では、何が変わったのか分からない、と感じる程度の細やかなアップデートができるのは、ユニクロの技術があってこそ。一つずつ小さな進歩を積み重ねることによるデザインの進化は、実際にこのコレクションを着ていただいた時の小さな喜びへと繋がる。そんなことを意識しながら作っています。このコレクションで少しでも合う下着がなくて困っている人を救えたらうれしいです」。

Uniqlo and Mame Kurogouchi
インナー12型をはじめとした全16型のフルラインナップは、124店舗とオンラインストアにて販売中。一部商品を国内全店舗にて販売。また、一部商品は発売日が異なるものがございます。詳しくはHPをご覧ください。
黒河内真衣子 くろごうちまいこ
2010年に〈Mame Kurogouchi〉を設立。革新的な素材使い、伝統技術を織り混ぜたディテールと、女性を美しく見せるための「曲線美」が国内外で注目を集めるファッションデザイナー。本コラボレーションは、世界中の〈ユニクロ〉でも展開される。昨年のコラボレーション第一弾発売時には、ブランド10周年をたどる展覧会「10 Mame Kurogouchi」が出身地である長野県立美術館にて開催され、話題を呼んだ。
Text: Kayori Morita